1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

キャリア、結婚、出産……。アラサーになって考える人生プラン

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ーDATAー

高崎さん(仮名)33歳 / 職業:会社員

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高崎さん(仮名・33歳)には、不妊につながる可能性が高い子宮筋腫があった。いつか子どもを授かりたいと思っている高崎さんは、現在つきあっている彼と相談し、一生で一度しか受けることのできない子宮筋腫の手術を受けることに。アラサーならではのキャリア・結婚・妊娠についての葛藤を語ってくれた。

彼から「35歳までに出産したほうがいい」と言われて

妊活もしたいし仕事もしたい。アラサー女性の画像_1

――先月、子宮筋腫の手術を受けたのですか?

はい。不妊になる可能性がある大きい子宮筋腫(※)を取りました。手術を受けるタイミングを悩みましたが、先月受けました。(以下、高崎さん)。

※子宮筋腫:子宮の筋肉に生じる良性の腫瘍。大きくなると経血量が多い月経過多や、不正出血、妊娠中の場合は流産や早産の原因になる可能性がある。



――先月受けることにしたのはなぜですか?

現在つきあっている彼と妊活を考えているからです。

実は2018年にも子宮筋腫の手術を受けているんです。その時は子宮の内側にあった筋腫を取る手術で、子宮の膜自体を切ったり縫ったりすることはなかったのですが、今回受けたのは、子宮の外側の筋腫を取る手術です。子宮の膜自体を切ったり縫ったりする手術のため、体への負担が大きく、受診した医師の先生から一生で一度しか受けることができないと言われました。

また、手術を受けても時間がたてば筋腫ができる可能性があります。だから先生からは「妊娠を考えた時に大きな筋腫を取る手術を受けるように」とタイミングについてもお話がありました。


――彼には相談したのですか?

私の場合筋腫が大きいので、朝起きた時(※尿がたまっている時)にお腹がぽこっと出るんです。それを見たら彼がびっくりするだろうと思い、彼にはつきあう時に子宮筋腫があることを伝えました。



――彼はその時どんな反応をされましたか?

親身になって話を聞いてくれました。そして「35歳までに出産したほうがいい」とアドバイスされました。



――なぜ彼は「35歳までに出産したほうがいい」とアドバイスをしたのでしょうか。

彼のお母さんが流産した経験があったからだそうです。年齢が上がるにつれ、母体のリスクが上がることを彼は母親から聞いたそうです。

子宮筋腫の術後、半年は妊活ができない

妊活もしたいし仕事もしたい。アラサー女性の画像_2

――彼から「35歳までに出産したほうがいい」と言われた時、どんな気持ちでしたか?

出産にはタイムリミットがあることは私もわかっていましたが、それを言われた時はまだ彼とつきあって数ヵ月、私は32歳になっていたので正直戸惑いましたね。

でも友人の意見は違って、「つきあって数ヵ月なのに、そんなに親身になってくれるのはよくない?」と言われました。



――これまでのパートナーに子宮筋腫や妊活について話したことはありますか?

今まで結婚を考えられないような人とばかり付き合っていたので、話したことはありませんでした。だから友人の「親身になってくれるいい彼」という言葉に、そういう捉え方もできるのだなと思いました。それから彼は真剣に私との将来を考えてくれている、とポジティブに考えるようになりました。



――彼は高崎さんとの結婚を考えていたのでしょうか?

そうですね。彼との出会いは大学時代の友人からの紹介で、しかも彼はその友人の親戚だったんです。だから共通の知り合いが多い状況での交際スタートだったし、つきあってすぐにお互いの両親に紹介していたので、お互い結婚は意識していたと思います。


――そんな中での彼からのアドバイスだったのですね。

そうですね。最初は彼の言葉にちょっとムッとしましたが、現実として出産にはタイムリミットがある。それに子宮筋腫の手術をすると、術後半年は妊活ができないんです。

彼とはまだつきあって数ヵ月だし「こんな重要な決断を今していいの?」と悩みましたが、これから結婚して、出産して……と考えたら35歳はすぐにやってくる。彼の言葉もあってすぐに手術をすることに決意しました。

アラサーになって考える、キャリアと結婚・出産

妊活もしたいし仕事もしたい。アラサー女性の画像_3

――それで先月、手術を終えたのですね?

はい。現在は術後なので、妊活は来年の3月ごろから開始になります。理想としては、その頃には婚約・もしくは結婚していればいいなと思っています。


――彼とも将来について話し合っているのですか?

そうですね。人生プランに大きく関わる手術をしたので、今後のことを整理したエクセルを作っています。一緒に生活を始める際の引っ越しの候補地とか、子育て支援のこととか。

でも、手術をしたからといって必ず子どもを授かれるわけではありません。もし授かれなくても、それはそれで運命だったんだな、と受け入れる準備もしています。



――手術を受けたことで、具体的な人生プランを設計したのですね。

結婚、妊活など優先順位を決めなければいけないって、とても難しいですよね。

仕事では最近役職をもらい、責任ある仕事をまかされるようになりました。仕事は楽しいし、やりがいを感じています。

先日、仕事で今後3年間続くプロジェクトをまかされた時に、ふと3年以内に私が妊娠したら……?と考えたんです。

周囲に迷惑をかけてしまうし、私の穴を誰が埋めるのか、肩書を捨てるのか、そんなことをぐるぐる考え悩みました。でも最終的にはなるようになるという気持ちに。そうじゃなきゃ、子どもは授かれないと思います。



――20代後半から30代にかけて高崎さんと同じような悩みを持つ女性は多いですが、どう思われますか?

アラサーは選択しなければいけないことが多いですよね。同時に、周囲の同世代のことも気になる時期です。

大好きな友達の結婚や出産に対して「おめでとう!」と言いながら、心の中にモヤっとした気持ちになってしまったこともぶっちゃけあります。そんな自分に対して「うわ~ヤなやつ!」って、自己嫌悪に陥った経験も多々ありました。

後編に続く。友人の結婚や出産に素直に喜べない自分に自己嫌悪

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。