育休から職場復帰したワーママの本音「余裕がなくボロボロ。私には両立できない」【モア・リポート78・前編】

1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。20代、30代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします！

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ーDATAー

伊東さん（仮名）33歳 ／ 職業：フリーランス

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伊東さん（仮名・33歳）は、3人の子どもを育てている。以前勤めていた会社では、第1子・第2子と連続育休を3年間取得後、職場復帰。職場や夫の理解もあり「仕事と子育ては両立できる」と思っていた伊東さんだが、復帰後1年で会社を退職することに。「仕事と子育ての両立」について語ってくれた。

――子育てを機に、働き方を変えたのですか？

勤めていた会社で3年間の育休を取得し、第1子、第2子を育てました。その後、職場復帰しましたが、1年後に退職しました（以下同、伊東さん）。

――職場復帰したのは子どもが何歳の時ですか？

上の子が2歳、下の子が10ヶ月の時です。ふたり同時に保育園に入れて、復職。復帰前「仕事と子育ては両立できる」と思っていましたが、現実はそうはいきませんでした。

――仕事に復帰した後はどのような生活でしたか？

8時前に家を出て、子どもたちを保育園に送り、9時半から仕事へ。17時前まで仕事をして子どもを保育園に迎えに行って、夕飯を食べさせて寝かしつけをし、あっという間に一日が終わる……という生活でした。
2歳と0歳では食べるものも違うので別々に作る必要がありました。一気に2人のお世話をするのは大変でしたね。

――家族の協力はありましたか？

夫は育児にとても協力的で、育休を取ってくれました。6年ほど前の話なので、当時男性が育休を取るケースは少なくて、夫は子育て中の男性のロールモデルのような形でメディアに取り上げられたこともあります。

――では、子育ては分担することができていたのですか？

夫は協力的だったのですが、育休期間は女性に比べると短かく、第1子の時は3ヵ月間、第2子の時は１ヵ月間でした。復帰後は朝早く出て、夜遅くに帰ってくる生活だったので、どうしても育児に参加できる時間は私よりも少なかったですね。

また、互いの両親も遠方に住んでいるので、頼ることはできません。私のワンオペになってしまうことがほとんどでした。



――職場復帰後は仕事をしながらワンオペ育児をしていたのですね。

必死すぎて当時のことはあまり覚えていません（苦笑）。嵐のように日々が過ぎていきました。

――職場は子育てに理解がありましたか？

はい。職場の雰囲気はとてもよかったです。接客業だったので、土日も仕事だったのですが「休み取っていいよ」「お子さん優先してね」と、優しい言葉をかけてもらいました。

――理解のある職場だったけれど、1年で退職したのはなぜですか？

私自身の問題だと思います。どうしても周りに気をつかってしまうんですよね。時短勤務である私の仕事分は誰かがカバーしなければいけないし、申し訳なく感じました。当時はコロナ禍で保育園が休みになってしまって、まるまる一週間お休みをもらうこともありました。

――会社の理解はあったけれど、ご自身が心苦しく思われていたのですね。

そうですね。職場復帰してからもっと働きたいという気持ちと、子どもとの時間をもっと取りたいという気持ちの間でずっとモヤモヤを抱えていましたね。しだいにそのモヤモヤを家庭に持ち帰ってしまうようになっていったんです。

――「モヤモヤを家庭に持ち帰ってしまう」とは具体的にどのような状態ですか？

長女は癇癪（かんしゃく）持ちで、感情の切り替えが苦手なこともあり、急に怒ったり、泣いたりすることがあります。本当は優しく寄り添ってあげたいのに、冷たく当たってしまったり、きつく怒ってしまったりすることがありました。

後から、罪悪感でさいなまれ「こんなママでごめんね」って泣きながら長女を寝かしつけていました。とにかく自分に余裕がなかった。今振り返ってみてもあの時の自分はボロボロだったと思います。

それが積み重なって、退職を決意したんです。