1980年──、いまから約40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして多様性社会を生きる今、「モア・リポート」と並行して性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載をお届けします!

不安から始まった。半年間の育休を取得した男性役職者の経験談

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ーDATAー

よこすけさん(Xのユーザー名) 

年齢:30代/職業:会社員/既婚

@yokosuke_zubora

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子どもが産まれ、半年間の男性育休を取得したよこすけさん。よこすけさんが育休を取得するまでには様々な苦労や葛藤があったという。育休を取得した部下について、よこすけさんの上司が「男性が育休取って何するんだろうな」と話しているのを耳にしたこともあって……。

社内の男性育休取得者の期間は一か月未満が多かった

男性の育休はデメリット? ひっかかる上司の画像_1

――よこすけさんが育休に入るまで、社内に管理職での育休取得者がいなかった?

はい。僕が会社で初めて、管理職での育休を取得しました。当時僕は35歳で、販売・サービス系の会社に勤めていました。(以下、よこすけさん)




――育休を取得した期間はどのくらいですか?

子どもが生後2ヶ月になった2022年の10月から2023年4月の半年間です。



――お子さんが生後2ヶ月になったタイミングで取得した理由は?

会社の期変わりで、仕事の引継ぎにちょうどいいタイミングだったからです。産まれてから最初の1か月は妻が実家に里帰りしていたので、僕も妻の実家に寝泊まりして出勤する生活を送っていました。



――育休の取得に関して、事前に家族と相談していたのですか?

そうですね。妻は34歳という年齢で初めての妊娠だったため、妊娠がわかった時に「不安もあるので、子どもといてほしい。育休を取ることは権利だし、取ろう!」と男性の育休取得に前向きでした。妻もフルタイムで働く会社員で、育休を取得していました。






――会社への相談はどのようにしましたか?

正直、上司に育休取得することを言いづらいと感じていていました。管理職で男性育休を取った前例がなく、僕が初めての育休取得者になるからです。




――一般社員で育休を取得した人はいましたか?

いましたが、人数は多くなかったと思います。期間も短く、1か月未満という方が多かったですね。

「育休取って何するんだろうね」上司が発した何気ない一言

男性の育休はデメリット? ひっかかる上司の画像_2

――なぜ上司に言いづらさを感じたのでしょうか?

管理職かつ半年の育休希望ということで、社内に前例がない状況だったので、どう相談しようかとまず悩みました。

もう一つひっかかっることがありました。以前、上司が育休を取得した男性社員について「男性が育休取って何するんだろうな?」と言っていたのを耳にしたんです。





――その言葉を聞いた時どう感じましたか?

上司としては悪気があったわけでも嫌味で言ったわけでもなく、素朴な疑問として発した言葉だったのだと思います。上司にも子どもがいますが、彼が子育てをしていた当時は男性育休がそもそもなく、「男性が育休を取る」ということ自体がイメージできなかったのではないかと。

そういう経緯もあって、上司になかなか相談しづらい状況だったんです。

まずは人事に相談!そこで半年間の育休を決めた

男性の育休はデメリット? ひっかかる上司の画像_3

――では、どのように育休の取得を進めたのでしょうか?

まずは会社の人事部に「育休を取りたいと思っている」と、自身の現状をふまえた上で相談しました。

部署唯一の管理職である自分がそもそも育休を取得できるのか、育休中の仕事はどうなるのか、復職後のポジションはどうなるのかなど、気になることはすべて相談しました。




――相談した結果、どうでしたか?

人事部からは「もし上司に言いづらければ、人事部から言うこともできるよ」とアドバイスをもらいました。また、1か月未満の男性育休取得者が多かった会社でしたが「仕事での代わりはいても、子どものパパはあなたしかいないから!」と半年間の育休を応援してくれたんです。




――人事部が育休を後押ししてくれたのですね!

管理職である自分が半年間育休を取ることで周囲に迷惑をかけてしまうのではないか、と後ろめたい気持ちがあったのですが、人事部の言葉で育休を決めました。

その後、直属の上司に育休について話すことにしました。

後編に続く。上司にいつ伝える? 職場復帰後デメリットはあった?

取材・文/毒島サチコ

ライター・インタビュアー
毒島サチコ

MORE世代の体験談を取材した「モア・リポート」担当のライター・インタビュアー。

現代を生きる女性のリアルな恋愛観やその背景にひそむ社会的な問題など、多角的な視点から“恋愛”を考察する。