男性の育休はデメリット? 半年間の取得を決めた管理職パパの経験談【モア・ボイス23・後編】
2023年「モア・リポート」と並行して、性別を問わずジェンダーレスに20・30代の体験談を取材し、彼らの恋愛やセックスの本音に迫る「モア・ボイス」の連載。今回のテーマは、男性育休について。
管理職で男性育休を半年取得。育休を通じて感じたこと
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
ーDATAー
よこすけさん(Xのユーザー名)
年齢:30代/職業:会社員/既婚
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
子どもが産まれ、半年間の男性育休を取得したよこすけさん。よこすけさんが育休を取得するまでには様々な苦労や葛藤があったという。社内で育休を取得した部下について、よこすけさんの上司が「男性が育休取って何するんだろうな」と話しているのを耳にしたこともあって……。
「育休を取りたいです」と上司に伝えた

――よこすけさんは部署で初めての管理職での育休取得者だったんですよね?
はい。半年間の育休を検討していましたが、社内にほぼ前例がない中だったので、どう相談しようかと悩みました。
以前、直属の上司が育休を取得した男性社員について「男性が育休取って何するんだろうな」と話していたのを耳にしました。そのことが気がかりだったので、まず人事部に現状を踏まえて相談し、その後、上司に話すことにしました。(以下、よこすけさん)
――上司にはどのように話されたのですか?
ストレートに「育休を取りたいです」と伝えました。
――上司はどのような反応でしたか?
育休取得することを拒否することはできないことですから、「わかった」と承諾してくれました。関係性が悪くなるとか、そういうこともありませんでした。その後、すぐに引継ぎについての相談を一緒にしていく流れになりましたね。
管理職の育休が初めてのことだったので、上司も僕もどうしたらいいかまったくわからず、ゼロからのスタートでした。育休中の半年間、誰が僕のポジションを兼務するかなど、引継ぎ資料を作りながら、かなり事細かに進めていきました。
――女性の場合は安定期に入ってからなど、一般的な妊娠を会社に伝える時期がありますが、よこすけさんは「育休を取得したい」とどのタイミングで相談しましたか?
僕は出産予定日の4か月前に相談しました。
半年間の育休は、あっという間

――半年間の育休はどうでしたか?
今振り返ってみると本当にあっという間だったなと思います。
――育休中、家庭ではどのように育児を分担していましたか?
母乳育児で、ミルクをつくる作業はほぼなかったので、僕は授乳以外のおむつ替えや、沐浴、寝かしつけに加え、家事全般をメインに行なっていました。夜中の授乳時は妻と一緒に起きて、妻が授乳、僕がおむつ替え、という感じで分担していました。
――育児は大変だと感じましたか?
大変な部分も多かったですが、子どもが笑ったり寝返りしたり、“初めての瞬間”に立ちあえたのは嬉しかったです。育休を取らなかったら、その瞬間に立ちあえなかったし、仕事を理由に育児を妻まかせにしてしまう部分が多かったと思います。
――半年という育休期間についてはどう感じますか?
もっと長く取ってもよかったなと感じました。一日中子どもと一緒にいられるのは人生のほんのわずかな時間だと感じたし、半年間は本当にあっという間でしたから。
――育休の取得期間について、女性の9割以上が6か月以上である一方、男性は約4割が2週間未満であるというデータもあります。(※参照:令和5年育児休業取得率の調査結果講評、改正育児・介護休業法等の概要について 厚生労働省)
2週間や1か月だと短すぎる気がします。役所への手続きくらいで終わってしまうのではないでしょうか。半年育休を取って、やっと育児がわかってきたと感じたので、育休は半年以上は取ったほうがいいのではないかと思います。
管理職として「育休とる?」と部下に声をかけるように

――自身の育休を振り返ってみて、今どう思いますか?
シンプルに「取ってよかった!」という思いが大きいですね。
――復職後はどうですか?
育休時と変わらず、妻と分担しながら育児をしています。会社の部下から妻が出産を控えていると報告をもらうこともあります。その時は「育休とか考えてるの!?」と自分から聞くようにしています。
――これから男性育休の取得を考えている世代へのアドバイスはありますか?
育休を取りたいという思いがあるなら、遠慮しないで「育休を取ろう!」ということを伝えたいです。昔に比べると会社へ言いやすくなったと思うし、自身の部下を見ていても、これから結婚や子育てを考える世代はプライベートを重視する傾向があるのではないかと感じています。
また、育休復帰後の時短勤務や、保育園のお迎え・早退などの対応は依然として母親任せの風潮があります。育休取得はもちろん、父親の時短勤務や保育園のお迎えも増えていけばいいですね。
育休取得の先輩である僕たちが“社内、社会で言いやすい雰囲気を作る”ということも心がけていきたいです。
取材・文/毒島サチコ