“推し”で生活が豊かに。恋愛は必要ない

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
ーDATAー
山田さん(仮名)26歳 /未婚 /会社員(人材系)
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

知られざる“推し活”の世界

「大谷選手の活躍が、そのまま仕事の活力」の画像_1
――推しがいる?

はい。プロ野球の大谷翔平選手を推しています。彼が高校生の時から応援していて、ファン歴は10年以上です。(以下、山田さん)

――好きになったきっかけは? 

「推そう!」って思ったわけじゃなくて、高1のとき、野球が好きな父の影響で高校野球を観て。当時高3だった大谷翔平選手が活躍しているのを見て自然と推すようになりました。

 ――野球が好きだった?

いや、野球がすごく好きというわけではなく…「大谷選手が好き!」なんです。

――どういうところが推しポイント?

 かっこいいし、ハンサムで長身。漫画から飛び出してきたようなルックスが好きです。それに、うわついた話もあまりなく、なによりストイック。熱愛報道がネットでは噂されることもありますが、公式に発表したものはないので、ないと信じています。

試合は深夜。睡眠時間は3時間の日も

「大谷選手の活躍が、そのまま仕事の活力」の画像_2
――“推し”中心の生活?

そうですね。アメリカ時間だと、試合が始まるのは早い時で日本の深夜3時頃。

私は深夜に起きて、試合を見て、そのまま会社に行き、仕事をしながらSNSチェックをして、家に帰って、試合をチェック……と推し中心の生活です(笑)。睡眠時間が3~4時間のことも多いですね。

――仕事に支障は出ない?

大谷選手の活躍が、そのまま仕事の活力になります。ホームランを打ってくれた日は「私も頑張ろう!」と思えるし、大谷選手のポジティブな考え方も尊敬できるし。

ちなみに、大谷選手が使っていた目標達成シート(マンダラチャート)をうちの会社も採用していて、私はそこで「社員優秀賞」を取るのが目標!と書いたのですが、昨年達成しました!

「恋愛は必要ない」“推し”と恋愛

「大谷選手の活躍が、そのまま仕事の活力」の画像_3
――“推し”がいることで、仕事にポジティブな影響を与えているのですね。ご自身の恋愛など、私生活ではどうでしょうか?

高校時代に野球部の人とお付き合いをしていたのですが、社会人になって1年目に別れました。理由は社会人になり、お互い忙しく、すれ違いが多くなったからです。

 野球部の方だったのである程度理解もあり、推し活も堂々としていましたが、私自身、一人の時間がもっと欲しかったっていうのはあります

社会人になって年上の方とお付き合いする機会もありましたが、束縛が激しく連絡もマメでとにかく私がどこで何をしているのか気になって仕方ない方だったので面倒になり。すぐに別れました(笑)。

現在は、恋愛願望も結婚願望もなく…。

子供が欲しいっていうのはありますけど、子供を産むためには、彼氏を作って恋愛して、結婚してって、たくさんの時間が必要だし。それよりも今は、大谷選手を推している時間のほうが大切です!

 それに、大谷選手が好きすぎて、一般の男性をなかなかかっこいいと思えないんです。

大谷選手が恋愛の対象、とはもちろん思わないですし、線引きは出来ているのですが。じゃあ現実で大谷選手みたいな人がいるか……絶対いないですよね(笑)。

それに、もし今恋人が出来たとしても相手に申し訳ないので……。

――どんなところが申し訳なく感じる?

たとえば、デートの約束をしたとしても、試合が長引いたら試合を優先しちゃうし(笑)。
あまりに私がメジャーリーグにハマりすぎてるから、引かれるんじゃないかなって思ったり。

“同担拒否”がないファンコミュニティ

「大谷選手の活躍が、そのまま仕事の活力」の画像_4
――では、同じ大谷選手のファン同士だと恋愛に発展することもありえる?

そうですね。でも、なかなか身近に私ほど推している人はいなくて。ファン同士で繋がって応援するためにTwitterアカウントを開設しています。

みんな深夜3時の試合前に「今起きたよー!」とか報告し合って、一緒に試合を観戦しながらつぶやくんです。アイドルとかでよくある同担拒否(※同じ対象を応援する他のファン (同担)と交流を持ちたくないという姿勢)がファン内で全くないのもいいですね。

 大谷選手のファンは、男女ともに学生からお孫さんがいる方まで年齢層が幅広く、世代を超えて熱く語り合っています。

 “推し活”で、毎日楽しく、充実した日々を送れています。
取材・文/毒島サチコ