1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。
そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代=20代の女性の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

月1で、女性用風俗に通っています。

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ーDATAー
平山さん(仮名)29歳 / 未婚 / 職業:接客業
初体験:14歳 / 経験人数:6人 / セックスとは:愛情を伝え、受け取る行為。いつもは出せない感情を出せる行為
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女性用風俗に通う理由は、性欲解消じゃない

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―――女性用風俗に通っているんですか?

はい、月に1回、性的なサービスをしてくれる男性のところに通っています。(以下、平山さん)

―――行くまでの流れは?

三年前、SNSでその男性のアカウントを知り「この日にお願いします」と予約を取りました。

値段は、プレイありが1時間1万円、話を聞いてもらうだけだともう少し安くなります。会う場所も、事務所かホテルかで選べます。ホテルを選んだ場合は、料金にホテル代が加算されます。

すぐにするわけじゃなくて、人生全般に対する不満とか悩みを聞いてもらって、そこから、少しずつ触ってもらう感じです。

―――通う理由は、性欲解消のため?

いいえ。
もちろんプロの方なので、身体的にも気持ちよくなれるんですが、性欲発散っていうより、精神的な部分でめちゃくちゃお世話になっている感じです。ただ話をするだけの日もあります。

ただ話を聞いてもらうだけじゃなくて、「そういうのじゃないでしょ」「違うでしょ?」って言ってくれたりもします。ソフトなSMというか、会話とプレイを通して自分を解放できるんです。

男性に肌を見せるときは、綺麗な自分を見てもらいたいと思うものですよね? でも、彼は汚い自分を見せても、ちゃんと受け止めてくれます。

初めて会った時、「ダメな私を殴ってください」と頼んだ

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―――はじめて行ったときは、緊張しませんでしたか?

いえ、SNSで彼の存在は知っていたので、そこまで緊張しなかったですね。
それに、私は初回からホテルで待ち合わせして……「私を殴ってください」ってお願いしたいんです。

―――え、殴ってもらった!? 

はい。もちろんプレイの一環としてです。

私は昔から、人にののしられたり、殴られたいって願望があって。誰かが落ち込んでいるとき、人って「大丈夫だよ」「そんなことないよ」って励ましますよね。でも、それって上辺だけの励ましだと思うんです。「本当は私のことダメな人間って思ってるくせに」って思っちゃう。だから、もっと本心でけなしてほしい。むしろそっちのほうが、ダメな自分を受け入れてくれるみたいな気がして。

今まで私はどんなことがあっても泣けなかったんです。落ち込んだときも、全然涙が出てこなかった。
でも、プレイだけど、罵倒されて、殴られて、この日はじめて泣けたんです。それがすごく気持ちよかった。

セックスレス、孤独、不倫が原因で離婚……

―――最初、通おうと思ったきっかけは?

当時は女性用風俗という言葉も身近になくて「こんなのあるんだ~」と興味本位で見ていたんですが、その男性が、いつも人生の格言のようなことを呟いていたんです。「あなたが欲しいのは安定じゃなくて安心」って。

その時、私は結婚していていました。でも、日々孤独を抱えていました。SNSを見ているうちに「彼に一度会ってみたいな」と思うようになって、離婚した後に実際に会ってみたんです。

―――なぜ離婚を?

私の不倫が原因です。結婚と同時に夫が転勤になり、全く知らない土地に引っ越したんです。私もそこで新しく仕事を始めたんですが、そこで出会った男性と不倫をしてしまって。まさか自分が不倫をするなんて、結婚当初は思ってもみなかった。
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ー不倫をした理由は?

寂しかった。夫はとても忙しい人で、家での会話がほとんどなかったんです。生活は安定していましたが、夫の両親と会う機会も多くて、私にはそれもストレスが溜まる原因に。だけど、見知らぬ土地で頼れるのは夫しかいない。でも相談できない。

それで、話を聞いてくれた職場の上司と関係を持ってしまったんです。最終的に不倫がバレ、離婚。私は実家に帰りました。

そのとき、SNSで見た彼の格言がふと頭に浮かびました。セックスをしたいというより、何か人生のアドバイスをくれるんじゃないかという思いで。

それで、初回で殴ってもらって、話をとことん聞いてもらった。それから月1回通うようになりました。プレイありの日もあれば、なしの日もありますが、精神的に支えてもらっています。
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私にとって、女性用風俗は「カウンセリング」

ーでは、パートナーが出来たら通うのをやめますか?

今パートナーはいません。それにできたとしても、今の月1の彼との時間を「やめたい」と思うことはないです。

私にとって、女性用風俗はカウンセリング。今や生活になくてはならないものになっているんです。
取材・文/毒島サチコ