1980年──、いまから40年前。女性の「性」の本音を語る「モア・リポート」が誕生し、2017年までに延べ1万2千人を超える女性たちの性を見つめてきました。

そして、恋愛やセックスがいっそう多様化している現在。MORE世代の体験談を取材した新「モア・リポート」をお届けします!

失恋がきっかけでレンタル彼女に

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ーDATAー
秋倉さん(仮名)29歳 /独身 /職業:レンタル彼女・コンサル
初体験:16歳 /経験人数:秘密
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最近話題のレンタル彼女。仕事は“彼女”だけではない?

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――秋倉さんは、レンタル彼女?

はい。今まで1000人以上の老若男女にレンタルされてきました(以下、秋倉さん)

――そもそもレンタル彼女とは?

レンタルしてくれた方とショッピングをしたり、映画を観たり、お話ししたり…主にデートをするサービスです。身体の関係は一切ありません。

ーーどんな人が利用するんですか?

30~40代の男性が多いです。

会社の役員の方から、女性とお付き合いした経験が少ない方、キャバクラやガールズバーに行くのは怖いけれど、女性と話したい方などさまざまです。

レンタル彼女は、きらびやかすぎず、言ってしまえば普通に周りにいそうな子が多いです。だからこそ、気張らずにデートができる。最近はデートというより、悩み相談を受けることが増えていますね。

ーー恋愛を求めて利用する人だけではないのですね

はい。もちろん疑似恋愛がしたくてレンタルする方もいらっしゃいますが、ここ数年「誰にも言えない悩み」を相談するためにレンタル彼女を利用する男性が増えました。

ーーたとえばどんな相談を?

最近だと、職場の若い女性との接し方が分からなくて「これって、セクハラって言われたりしないかな?」「どう接したらいいかな?」と相談を受けたり、好きな女性に送るLINEの文面を一緒に考えてほしいと言われたり、デートの練習をしたり。

「風俗嬢にハマってしまった」「好きな人がバイセクシャルだった」など、誰にも相談できない悩みを抱えてレンタル彼女を頼る方もいますね。

ーー相談を聞いてほしくて利用する方が多いんですね

そうなんです。女性と話せる場は沢山あっても、他のキャストやお店の人がいることも多いのでこっそりと相談できる場所って少ないなぁと思うんです。

レンタル彼女は、1対1でしっかり話を聞くことができるし、さまざまな境遇のキャストがいるので、自分の悩みに合わせてキャストを選ぶこともできる。私も相談されたら、具体的に「私ならこうするかな!」とアドバイスするようにしています。

お客さんが、レンタル彼女を本気で好きになったら?

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ーー相談が多いとはいえ、お客さんがレンタル彼女に対して、本気になってしまうこともあるのでは?

レンタル彼女をしているのは圧倒的に大学生が多いんですが、30~40代のお客さんで大学生のレンタル彼女にガチ恋しちゃうケースは多いです。

基本レンタル彼女は話を合わせてくれるから「気が合う」と勘違いしちゃって……。レンタル彼女が仕事と割り切っていても、お客さんがそうなっちゃうことはありますね。

ーーガチ恋されやすいレンタル彼女の特徴はあるのでしょうか?

たとえばですが、フリフリのワンピースを着て「マイメロ大好き♡」みたいなタイプのレンタル彼女は、恋愛経験少なめの男性に指名されやすい傾向にあります。

そういう男性は何度かサービスを利用した後「そろそろ彼女になってよ!」とレンタル彼女に迫ったり……。

ーー秋倉さんはどうですか?

私はみんなのものだぞ!と暗に伝えるようにしています。

あくまでお客さんはお客さん。たとえば「可愛いね」と言われたら「ありがとう。“みんな”に言われる」って返してみたりとか(笑)。

秋倉さんがレンタル彼女になったワケ

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ーーなぜ、秋倉さんはレンタル彼女に?

レンタル彼女になったきっかけは……失恋です(笑)。

8年前の大学2年生の時に、付き合っていた彼氏に振られてしまって。

「男でできた穴は男で埋めるしかない!」と思って、衝動的にレンタル彼氏を利用しようと思ったんです。でも、好みの男性が見つからなくて……。

いろいろ探していたら、偶然レンタル彼女のサイトにたどり着きました。当時今ほどレンタル彼女の知名度がなかったのですが「やってみたい!」って思ったんです。

それに私は高校まで一貫校に通っていて、井の中の蛙でした。

大学に入って合コンでひと見知りを克服し、SMバーなどの未知の世界に飛び込んでみたり……。完全なる大学デビューだったので、知らない世界に興味があったんです。

ーーレンタル彼女をやってみてどうでしたか?

日々驚きと発見の連続でした。
最初は今よりも疑似恋愛を求めてくるお客さんが多かったですね。

大企業の役員のお客さんが、大学生じゃ絶対いけないような会員制の高級レストランに連れて行ってくれることもあれば、日雇いの仕事をしていて、給料の半分を私に使ってくださるお客さんも。いろいろな方と接することで世界観が広がりました。

大学卒業と共にレンタル彼女も卒業

ーーずっとレンタル彼女を続けた?

はい。でも大学卒業を機にレンタル彼女は辞めて一般企業に就職しました。

仕事に慣れてきたタイミングで、趣味でレンタル彼女時代のことを書いたブログをはじめたんです。

それが思いのほか話題になって。「もう一度レンタル彼女をやりたいな」と思い始めました。

自身がレンタル彼女をやっていた時に思ったのは、レンタル彼女はあくまでも疑似恋愛を楽しむサービスだと思っている方が多いこと。

もちろん、“彼女”とついているので、そう思われるのは仕方ないのですが……。

でも実際、レンタル彼女を利用する人の多くが“彼女”より“友人”=相談相手を求めていたんです。

だから、恋人稼業もするけれど、もっと幅広く「相談場所」としても利用してほしいな、という気持ちでクラウドファンディングをして、自分のレンタル事務所を立ち上げました。

世の中には、相談相手を求める人が多い

ーーレンタル彼女の仕事を通して、幅広いニーズに気付いたんですね

そうですね。私がレンタル彼女という仕事を通じて知ったのは「世の中には、相談相手を求めている人が多い」ということ。

私の運営するレンタル事務所は、男性を含む幅広いキャストが所属しています。

「レンタル彼女」という言葉から想像されるサービスだけでなく、心のデトックスや、楽しい思い出作り、恋愛練習など、皆様の人生をちょっぴりお手伝いする存在になったらいいなと思っています。

失恋をきっかけに、レンタル彼女になり、気付けば自らレンタル事務所を立ち上げていました。私の人生、ウケますよね(笑)。

でも今のところ、楽しい日々を送れています。私のことが気になった方は、ぜひ私を見つけてレンタルしてみてください!
取材・文/毒島サチコ