息苦しい世の中に

生きづらいこんな世の中だからこそ、悩める20代女子たちに兼近さんが届ける、優しさにあふれた前向きなメッセージ集。

2022年MORE1月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。
EXIT兼近大樹さん

——他人と比べてしまう

「他人のキラキラした姿や生活を目にして『いいなぁ』と思うことは僕もあります。でも『その人になりたいか?』と考えたら答えは『NO』。キラキラ人生を生き続けるのも、それはそれでキツいと思うから。SNSの一枚の写真、テレビの数分の映像、友達のプチ自慢……。その人の表側だけを見てすべてわかった気になってはいけない。裏側ではどえらい苦労を積み重ねているかもしれませんよ」(兼近さん、以下同)

——自分のことが好きになれない

「『誰かのために何かをする』に幸せを感じる人、『誰かに何かしてもらうこと』に幸せを感じる人、人間には2種類のタイプが存在すると思うんですよ。自分が前者だと気づけば“誰かのため”が苦痛じゃなくなる。『したいことをしている』喜びをちゃんと感じることができる。大事なのは自分と対話して自分を知ること。そうやって自分を満たすことが“好き”につながるんじゃないかな」
EXIT兼近大樹さん

——人を許せない

猫飼ったらいいんじゃないですか? 人を許せないのはきっと自分のルールや常識を相手に押しつけているから。それって、泣き続ければ欲しいおもちゃが手に入ると思い込んでいる子供と同じだと思うんですよ。まずは思いどおりにならない物ごとがあることを知る。そのためにはまず、猫かなって(笑)

——将来が漠然と不安

「僕は『明日死んでもいい』という感覚で生きているんですよ。5年後、10年後のことを考えると『お金貯めなきゃ』とか、『この人と仲よくしとかなきゃ』とか不安やムダな忖度が生まれる。でも『明日で終わり』と考えればそんなよけいなものがなくなる。この先、何が起こるかなんて誰にもわからないんだから。『ちゃんと楽しんで生きているか』、『やりたいことができているのか』。未来を怖がるよりも、今を怖がったほうがいいと僕は思うんです」
EXIT兼近大樹さん

——仕事、お金、恋人……今、持っているものを失うのが怖い

時間は流れていくから『ずっと同じ』はありえない。なのに、失うのが怖いからと必死に手にしているものを守り続ける。僕はそっちのほうが『怖い』と思ってしまいます。恋人を失った時にひとりの楽しみに出合えるかもしれない。仕事を失った時に自分に合う天職に出合えるかもしれない。守り続けることで失っているもの、あるかもしれませんよ?

——嫌われてしまいそうで本音を言えない。「私には本当の友達はいないんじゃないか」とたまに孤独を感じてしまいます

友達とわかりあえているかどうか確認する方法なんてないんだから。『私たち、わかりあえているよね♡』でいいんですよ(笑)。『嫌われたくない』気持ちは僕もよくわかるけど、相手が歩み寄っているのに自分が後退したら距離は縮まらない。大事なのは『相手を理解しよう』と歩み寄る気持ち。相手が一歩下がったら『なんで下がったんだろう?』と理解するためにもう一歩進んでみる。そうやって、人との距離は縮まっていくんじゃないかな」

【兼近大樹さんプロフィール】Daiki Kanechika

かねちか・だいき●1991年5月11日、北海道生まれ。人気お笑いコンビ「EXIT」として活動中の漫才師。ニュース番組のMC、音楽活動など、型にはまらぬ表現はいつも話題の的

『むき出し』兼近大樹 著

兼近大樹 著『むき出し』
主人公「石山」に大きな影響をもたらした人々との出会い、そして成長してから自らの過去をどう受け入れるか、その過程が鮮烈な言葉で描かれている。(文藝春秋¥1760)
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撮影/吉田 崇 ヘア&メイク/KOKI NOGUCHI(TRON) スタイリスト/庄 将司 取材・原文/石井美輪 構成・企画/芹澤美希(MORE)