EXIT 兼近大樹さんインタビュー【後編】「“ついて来い”ではなく、ついて来れない人にも目を向けられる人間でありたい」

初の小説『むき出し』が発売され、あっという間に話題になっているEXITの兼近大樹さん。MORE1月号(11月27日発売)では、作品の中で表現したかったことや、今の社会について感じていることについてのスペシャルロングインタビューを掲載しますが、本誌発売に先駆けてDAILY MOREでお届けする【後編】では、執筆中のエピソードや、次回作の予告まで飛び出し…!?

初めて書いた小説『むき出し』

EXIT兼近のインタビュー
――兼近さんが初めて書いた小説『むき出し』は発売と同時に大きな話題に。MORE本誌(1月号・11月27日発売)では今作を書こうと思ったきっかけから物語に込めた想い、そして、執筆の苦労までたっぷり語っていただきました。

兼近さん「いやー、執筆は本当に大変でしたね(笑)。この本は7〜8年前から構想をスタートさせて、約2年前から本格的に書き始めたんですけど。最初はすごい量になっちゃって。それをどんどん減らしながら書き上げていったんですよ。やっぱり、分厚い本を読むときって“だりーな”と思っちゃうじゃないですか。僕自身がずっとそういう人間だったんで。そんな自分みたいな人にも読んでもらいたい思いがあったからこそ、手に取りやすい厚さにしたくて」

ーー芸人として忙しい毎日を送っているだけに、いつ小説を書いていたのかも気になるところ。

兼近さん「そこは会社にお願いして空き時間をつくってもらったんですよ。夜、書ける時間を空けてもらったり、5日間くらいホテルにこもってウワッと書いたり。俗に言う“カンヅメ”ってやつですね。あの時間はちょっと気持ちよかったです。オレ、作家みたいじゃんって(笑)。思うぞんぶん原稿用紙に向き合える幸せな時間でしたね」

ーー実はちゃんと文章を書いたのは小学生の作文以来。「学びながら書いた」約2年間だったとか。

兼近さん「『むき出し』は主人公の石山の成長物語でもあるんですけど、それを書きながら僕自身も成長しました(笑)。だから、作品が一度完成した時も序盤を書き替えたんですよ。最初と最後では僕自身の文章力も変わっていたので。書くのは大変だったけど楽しかった。今作は石山の成長と共に、読んでくれている人の思考も広がる小説にしたくて、幼少期の文章は子供っぽく、思春期では厨二病っぽい文章をイメージしたり……実は文体もちょっと変えていたりして。これはもう自己満足でしかないんですけど、そんなこだわりも結構詰まっているんですよ」

周りが求めてくれるのならば“二冊目”もあるかもしれない

兼近さん「タイトルを『むき出し』にした理由は、まず目に留まるものにしたかったっていうのと、主人公の、すべてを曝け出して生きている姿を描いているのと、そこにはやっぱり自分の想いや考えも出ていると思うのでいろんな意味で『むき出し』がベストだと思ったんです。なかには、僕のことが嫌いで“嫌いなところを見つけてやる!”って、この本を手に取る人もいるかもしれない。でも、それでいいと僕は思っているんです。読んでもらえたら、何かを感じてもらえたら、考えるきっかけになったら……それだけでうれしいと僕は思っているので」

ーー「こっちもあるよ」「あっちもあるよ」と自分以外の視点を届け、兼近さんの世界を広げてくれた本。「誰かにとって、今作がそんな一冊になれたらうれしい」と兼近さんは微笑む。

兼近さん「MOREの本誌インタビューでもお話したんですけど、目の前にいる誰かのことを、目の前にある世界のことを、考えるのってすごく大事なことだと思うんですよ。僕ひとりの力では世界を変えることはできないけれど、変える力をもった人たちの手助けをすることはできる、何かを考えるきっかけを届けることはできるかもしれない……。主人公の石山は自分なりのヒーロー観を持っている男なんですけど、僕にもやっぱりそれはあって。子供の頃は石山みたいに“オレだ!”“ついて来い!”という“オレがオレが”な感じだったんだけど、大人になった今はそれが“誰かを助けることができる人になりたい”に変わった。”オレ”ではなく”誰か”、”ついて来い”ではなく、”ついて来れない人にもちゃんと目を向けることができる”人間でありたい。それが今の僕のヒーロー像なんです」

ーー大きな話題を呼んでいる初作品。最後に「この先も、兼近さんは小説を書き続けるのか」と質問してみると、こんな答えが返ってきた。

兼近さん「僕の中で芸人の仕事と書く仕事はまったく違うものなんです。正直、芸人をやっているほうがめちゃくちゃ自分らしくて。やっぱり客前に立っている時が一番“自分やってるな”って感じるんです。それに比べると小説は第二人格というか、違う自分をおろして書いている感じで……疲れるんですよね(笑)。だからこそ、”あの疲れと苦しみをもう一度味わうのか”と考えると、“味わいたくない”と思う自分と“味わいたい”と切望している自分がいて。最近は、その違うふたりの自分の入れ替わりが激しい日々なんですよ(笑)。二冊目に関しては、もしも本がめちゃくちゃ売れて、周りから求められたら……。でも、期待されるのも苦手なんですよね、オレ(笑)。もし、書くとしたら、今度は全然違う話を書きたいなと思っていて。地下アイドルの話なんですけど……」

 
ーー消極的なのかと思いきや、次から次へとあふれ出してくる“二冊目”の構想。作家・兼近大樹が次作を書き始める日は意外と近いのかもしれない。

11月27日発売のMORE1月号ではさらにDEEPなインタビューを掲載。そちらも是非チェックして!
EXIT兼近のインタビュー
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かねちか・だいき●1991年5月11日、北海道生まれ。人気お笑いコンビ「EXIT」として活動中の漫才師。ニュース番組のMC、音楽活動など、型にはまらぬ表現はいつも話題の的

初の小説『むき出し』 兼近大樹 著

兼近大樹初の小説『むき出し』書影
主人公「石山」に大きな影響をもたらした人々との出会い、そして成長してから自らの過去をどう 受け入れるか、その過程が鮮烈な言葉で描かれている。(文藝春秋 ¥1760) 

「表紙は若手の画家・菊地虹さんに今作を読んでいくつか描いてもらい選びました。多種多様な人がいることを表すようなカラフルな色彩、本を開いて一枚の絵になったとき太陽の真ん中に入る僕の名前、その太陽に向かって手を伸ばし明るいものを求めているようなイメージがすごくいいなと思って」(兼近さん)

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