【川口春奈さん】仕事の魅力「責任感を持つと同時に、こんな不思議な仕事ってなかなかない」
【川口春奈さんインタビュー】 “カッコいい”の理想形
真面目で、おちゃめで、飾らない。私たちの憧れに、もっと近づきたくて
仕事に対しては誰よりも真剣に向きあう。だけど、ときどきは自分のご機嫌を取ることも忘れない。いつだって自然体で、「好き」がブレない人。そんな川口春奈さんを見ていたらわかった、私たちがなりたい、カッコいい女性像。
2022年MORE6月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。
2022年MORE6月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。
HARUNA KAWAGUCHI
かわぐち・はるな●1995年2月10日生まれ、長崎県出身。2022年度前期NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』で比嘉良子役を演じている。『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』にレギュラー出演中。映画『極主夫道 ザ・シネマ』が6月公開予定
求めてもらって、応援してもらえる。それが、私を突き動かす原動力
自分自身の機嫌を取るのはすごく得意かもしれません
バラエティ番組にレギュラーで登場しながら、数多くの映画やドラマ、そしてCMに出演。昨年末には『第72回NHK紅白歌合戦』の司会という大役を務め上げ、現在はNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』の撮影に挑む日々。そこから見えてきたのは、ひとつひとつの仕事に真摯に取り組む姿勢。そんなカッコいい姿にもっと迫りたくて、インタビュー冒頭「自分のことを仕事人間だと思いますか?」と尋ねてみた。すると、「すごくストイックかと聞かれたら、そういうわけでもなくて。私の仕事は、集中してやらなきゃいけないことが多い時とゆっくりできる時の繰り返し。だから、忙しい波が去ったら、ちょっと遠出して、のんびりする。そういうメリハリは、必要です。ずーっと気を張っていると、しんどくなっちゃうので」と困ったように笑う。自分に正直で、飾らない人だ。
川口春奈さん(以下、川口)「作品に入っている最中は常に頭のどこかしらでそのことを考えているから、アドレナリンが出続けていて、寝る時間はあっても脳みそは起きっぱなし、という感じです。でも、そういう期間も……楽しいです。正確にはまだ楽しいって言えるほどの余裕はないけれど、求められたり、必要とされていると感じたりすることが、今の仕事をやる意味だと思っていて。それが、自分を突き動かしてくれる原動力でもあります」
自分自身を追い込み、カメラの前に立つ。それほどまでにストイックに向きあえる、仕事の魅力とは。
川口「この仕事って、やっぱり特殊だと思うんです。自分はみんなのことを知らないのに、みんなは自分のことを知っていて、よくも悪くも影響を与えることができる立場で。だからこそ気をつけないといけないこともあります。でも、その一方で好きなことを発信できて、それで応援してもらえたり、私のおかげで頑張れていますって言ってくださる方がいたりする。責任感を持つと同時に、こんな不思議な仕事ってなかなかないかなと思っています」
仕事は楽しみながら、オフの時間も充実させたい。川口さんは「基本的に飽き性だから、締めるところは締めて、遊ぶ時は遊ぶやり方が性格に合っているだけです」と謙遜するけれど、それはきっと大切なモチベーションの保ち方。
川口「作品が終わったら旅行するとか、今週頑張ったらおいしいおすしを食べられるとか、お楽しみを先につくっておくんです。食べることがすごく好きなので、以前はおすしのためだけに飛行機に乗って九州まで行ったことも(笑)。自分自身の甘やかし方は、超うまい自信があります」
上手に自分の機嫌を取るテクニックは、スケジュールにポツンとできたオフの一日にも発揮される。
川口「お休みがあると、“○時から×時は美容院、×時からは友達とランチ”……っていうふうに、1時間単位の予定でゲームみたいに埋めつくしちゃう。せっかちだから、段取りよく動かないとダメなんです。でも、たまに詰め込んだことに疲れてきてしまうんですよね。それで、この間は予定を全部バラして、その時に思いついたお店に行ったり、会いたいと思った人に会いにいったりしてみたんです。それが、学校をズル休みした時のような背徳感があって、甘えているなって思いながらも楽しくて。何も予定がない日も、たまにはあっていい。そんなふうに思える、きっかけになりました」
川口春奈さん(以下、川口)「作品に入っている最中は常に頭のどこかしらでそのことを考えているから、アドレナリンが出続けていて、寝る時間はあっても脳みそは起きっぱなし、という感じです。でも、そういう期間も……楽しいです。正確にはまだ楽しいって言えるほどの余裕はないけれど、求められたり、必要とされていると感じたりすることが、今の仕事をやる意味だと思っていて。それが、自分を突き動かしてくれる原動力でもあります」
自分自身を追い込み、カメラの前に立つ。それほどまでにストイックに向きあえる、仕事の魅力とは。
川口「この仕事って、やっぱり特殊だと思うんです。自分はみんなのことを知らないのに、みんなは自分のことを知っていて、よくも悪くも影響を与えることができる立場で。だからこそ気をつけないといけないこともあります。でも、その一方で好きなことを発信できて、それで応援してもらえたり、私のおかげで頑張れていますって言ってくださる方がいたりする。責任感を持つと同時に、こんな不思議な仕事ってなかなかないかなと思っています」
仕事は楽しみながら、オフの時間も充実させたい。川口さんは「基本的に飽き性だから、締めるところは締めて、遊ぶ時は遊ぶやり方が性格に合っているだけです」と謙遜するけれど、それはきっと大切なモチベーションの保ち方。
川口「作品が終わったら旅行するとか、今週頑張ったらおいしいおすしを食べられるとか、お楽しみを先につくっておくんです。食べることがすごく好きなので、以前はおすしのためだけに飛行機に乗って九州まで行ったことも(笑)。自分自身の甘やかし方は、超うまい自信があります」
上手に自分の機嫌を取るテクニックは、スケジュールにポツンとできたオフの一日にも発揮される。
川口「お休みがあると、“○時から×時は美容院、×時からは友達とランチ”……っていうふうに、1時間単位の予定でゲームみたいに埋めつくしちゃう。せっかちだから、段取りよく動かないとダメなんです。でも、たまに詰め込んだことに疲れてきてしまうんですよね。それで、この間は予定を全部バラして、その時に思いついたお店に行ったり、会いたいと思った人に会いにいったりしてみたんです。それが、学校をズル休みした時のような背徳感があって、甘えているなって思いながらも楽しくて。何も予定がない日も、たまにはあっていい。そんなふうに思える、きっかけになりました」
デニムとスニーカーは「好き」がブレない私の定番
『NHK紅白歌合戦』の特別企画では、川口さんが生まれ育った長崎県にある五島列島の海を訪れ、SDGsについて学ぶ様子が放送された。
川口「地元の海に限らず、地球環境に関する問題はいろいろなところで起きているので、まずは知ることが大事。そして、日常生活の中で些細なことから気をつけていきたいという想いが強くなりました。大好きな洋服に対しても、ブランドのバックボーンを見るようになったり、単純に可愛いから買うんじゃなくて、ちゃんと着るのかを一回考えたり。最近は、周りのスタイリストさんや友達の影響も受けて、好きなものや自分らしいスタイルがちょっとずつ定まってきた気がします」
この日、撮影スタジオに現れた川口さんの私服は、『リダン』のデニムに『コンバース』のハイカットスニーカー。
川口「デニムとスニーカーは、“好き”がブレない私の定番。全身モードやハイブランドで固めるよりも、ストリート要素でどこか抜け感を出したいっていうのは、ずっと変わらないですね。『リダン』のデニムって、同じサイズでも一本一本の顔が違うので、出合いがあるし、いいなと思ったら、ずっとはいちゃう。だんだん自分の体になじむようになって、味も出てくるところが好きなんです。『コンバース』のスニーカーも、ソールがすり減るまではき続けて、今愛用しているのは3代目です」
川口「地元の海に限らず、地球環境に関する問題はいろいろなところで起きているので、まずは知ることが大事。そして、日常生活の中で些細なことから気をつけていきたいという想いが強くなりました。大好きな洋服に対しても、ブランドのバックボーンを見るようになったり、単純に可愛いから買うんじゃなくて、ちゃんと着るのかを一回考えたり。最近は、周りのスタイリストさんや友達の影響も受けて、好きなものや自分らしいスタイルがちょっとずつ定まってきた気がします」
この日、撮影スタジオに現れた川口さんの私服は、『リダン』のデニムに『コンバース』のハイカットスニーカー。
川口「デニムとスニーカーは、“好き”がブレない私の定番。全身モードやハイブランドで固めるよりも、ストリート要素でどこか抜け感を出したいっていうのは、ずっと変わらないですね。『リダン』のデニムって、同じサイズでも一本一本の顔が違うので、出合いがあるし、いいなと思ったら、ずっとはいちゃう。だんだん自分の体になじむようになって、味も出てくるところが好きなんです。『コンバース』のスニーカーも、ソールがすり減るまではき続けて、今愛用しているのは3代目です」
常に100%じゃないほうが色気があってカッコいい
川口さんといえば、自身の公式YouTubeチャンネル『はーちゃんねる』でひとり温泉を楽しむ様子やリアルな家飲み風景を公開するなど、どこまでも自然体な姿が印象的。そして、そんなふうに無理に自分をよく見せようとしないところは、周りの人に対しても同じ。
川口「好き嫌いがハッキリしているので、プライベートでは好きな人たちとばっかりいます。いい言い方をすればまっすぐなのかもしれないけど、単に不器用なんです(笑)。だから、媚びも売れないし、上手に八方美人もできない。親しい友達はそれをわかったうえでつきあってくれているから、一緒にいてラク。そういう人たちの前では基本イケてないです。プライドがない分、すぐに相談するし、頼っちゃう。みんなからは“末っ子の甘えん坊だね”って言われているくらい。ただ、仕事上の関係となると、居心地がいいという理由だけでは成り立たないから、その場合はちゃんとコミュニケーションを取って、相手のことを知ろうとします。私はコミュニケーションって鏡だと思っているので、自分がこうしてほしいなって思うのと同じことをやってみる。あとは、距離感ですね。ビジネスパートナーとは、ある程度の距離を保つことでいい仕事ができるはず。だから、深入りはしないけど、困った時には助けるよっていうスタンスを心がけています」
いつだって自分らしさを忘れない川口さんが考える、カッコいい人。
川口「私は、どこか抜けているというか、隙のある人が好き。普段はバリバリ仕事しているのに……っていう前提がありつつですけど(笑)。常に100%じゃない人は色気があるし、カッコいいなって思います」
仕事に全力を注ぎながら、不器用なところもさらけ出す。川口さんも、その定義に当てはめると、十分カッコいい人だと思うけれど。
川口「いやいや、全然です。もしいつか理想どおりのカッコいい人になれたとしても、そこで満足したら終わりだと思うので、向上心や好奇心は死ぬまで持っていたい。失敗しながら、人に弱みを見せながら、いつまでもやりたいことに向かって一生懸命走り続ける人でいたいです」
川口「好き嫌いがハッキリしているので、プライベートでは好きな人たちとばっかりいます。いい言い方をすればまっすぐなのかもしれないけど、単に不器用なんです(笑)。だから、媚びも売れないし、上手に八方美人もできない。親しい友達はそれをわかったうえでつきあってくれているから、一緒にいてラク。そういう人たちの前では基本イケてないです。プライドがない分、すぐに相談するし、頼っちゃう。みんなからは“末っ子の甘えん坊だね”って言われているくらい。ただ、仕事上の関係となると、居心地がいいという理由だけでは成り立たないから、その場合はちゃんとコミュニケーションを取って、相手のことを知ろうとします。私はコミュニケーションって鏡だと思っているので、自分がこうしてほしいなって思うのと同じことをやってみる。あとは、距離感ですね。ビジネスパートナーとは、ある程度の距離を保つことでいい仕事ができるはず。だから、深入りはしないけど、困った時には助けるよっていうスタンスを心がけています」
いつだって自分らしさを忘れない川口さんが考える、カッコいい人。
川口「私は、どこか抜けているというか、隙のある人が好き。普段はバリバリ仕事しているのに……っていう前提がありつつですけど(笑)。常に100%じゃない人は色気があるし、カッコいいなって思います」
仕事に全力を注ぎながら、不器用なところもさらけ出す。川口さんも、その定義に当てはめると、十分カッコいい人だと思うけれど。
川口「いやいや、全然です。もしいつか理想どおりのカッコいい人になれたとしても、そこで満足したら終わりだと思うので、向上心や好奇心は死ぬまで持っていたい。失敗しながら、人に弱みを見せながら、いつまでもやりたいことに向かって一生懸命走り続ける人でいたいです」
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撮影/三瓶康友 ヘア&メイク/中山友恵 スタイリスト/石上美津江 取材・原文/吉川由希子 構成・企画/福井小夜子(MORE)