【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——観月ありささん

創刊45周年を記念して、MOREと“同い年”の女性にこれまでの歩みを振り返ってもらう短期集中連載がスタート。好評連載第2回は、10代の衝撃デビューから変わらないヘルシーな美しさで女優、歌手として活躍する観月ありささん。天性の明るさとまっすぐな心で走り続けてきた道を振り返ってもらいました。

2022年MORE8月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

「思いもよらない方向へ転がる人生。大事なのはそれを受け入れ楽しむこと!」

MORE創刊45周年特別連載、観月ありささん撮りおろし
「むちゃして遊んだ20代、“1年生”に戻った30代。40代の私は未来にワクワクしている」

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10代&20代の頃 ——仕事とは無縁のつながりが当時の自分には不可欠だった

観月ありさ「20代は悩み多き時期ですよね。大人の階段を上るにつれて『このままでいいのかな』と考え始め『本当の私って?』、『幸せって?』そんな疑問と向きあうようになるというか。かくいう私もそのひとり。当時は『この仕事でいいのかな』と悩んでは『もうやめたい』という言葉を繰り返していたんですよ。

私が女優デビューしたのは14歳の頃。めまぐるしく環境が変わっていく中、油断すると急流に流されてしまいそうで。踏ん張るだけで精いっぱいな自分がいるかたわら、真剣に目の前の仕事に打ち込んでいるからこそ、周りの大人たちに『なめられたくない』、『負けたくない』と思う自分も。10代の頃は譲れないものがたくさんあって。とがっていたし、頑なで、まるで反骨精神のかたまりでした(笑)。そんな私が少しやわらかくなったのが20代。自分や周りを『ま、いっか』と許すことをしだいに覚え、周りから求められるものに対しても柔軟に対応できるように。でも、今度はそこで生まれた世間のイメージと本当の自分がかけ離れるようになってしまって……。

芸能界という特殊で狭い世界でギュウッと縮こまっていた自分のバランスをとるように、プライベートはまったく関係のない世界へ。いわゆる一般的な、“普通の友達”と過ごすようになり、大学生の友達と河原でBBQをしたり、安い居酒屋で朝まで飲んだり。あの頃はとても忙しかったけれど、仕事の移動車を降りたら“普通の女の子”に。その時間が当時の私には必要だったし、体力もあり余っていたから。友達と遊びにいった海で『富士山に登ると人生観が変わるらしい』と盛り上がり、帰り道に富士山へ。ご来光を眺めてから撮影現場に直行。筋肉痛で震える足を隠しながら、涼しい顔でカメラの前に立ったこともあったりして(笑)」
2002年MORE11月号
「25歳の頃。時代を感じますね(笑)」(観月さん)
2002年MORE11月号

30代の頃

観月ありさ「自分と仕事と人生の“バランスのとり方”を必死に探した20代。プライベートは冒険に満ちていたけれど、仕事に関しては『失敗したくない』、『失敗するのが怖い』といちばん守りに入っていた気がします。でも、30代になると今度はそんな自分に飽きてしまって。『新しい自分に出会いたい』と挑戦したのが初めての舞台。それは『同じお芝居のはずなのに何をどうしたらいいのかわからない』、まるで違う競技種目をやっているような感覚で。あまりの悔しさに稽古場で泣いてしまったこともあったりして。

プライベートでは38歳で結婚。それまでの私は結婚願望が皆無で自由をこよなく愛する性格ゆえに『この先もずっと、ひとりで生きていくんだろうな』と信じて疑わなかったのに。まさかの結婚を機に私の人生は大きく変わりました。たとえば、夫婦で知人のお宅にお邪魔する時。仕事現場での手みやげはマネージャーさんが用意してくれるのが常なので、自分で買うという常識がスポンと抜け落ちていたり……。自分がいろんなことを置き去りにして生きてきたことを痛感。

30代は仕事もプライベートも“1年生”からやり直し(笑)。でも、それが新鮮ですごく楽しかった!!」

45歳の今

観月ありさ「30代の経験は『まだまだ新しい世界があること』を私に教えてくれました。40代、体力の低下は認めざるをえないけど、私の好奇心はまだまだ枯れていません。行きたい場所もやりたいこともたくさんあるし、いろんな国や場所でいろんな人に出会いさまざまな価値観に触れたい。今までの自分の歩みを振り返ると、思いもよらない方向に転がっていくことが多く、『人生は面白いなぁ』ってあらためて思う。だからこそ、悩んでいるモア読者がいるなら伝えたい。『そんなに自分を追い詰めないでいいよ』って。考えたところで人生はよくも悪くも思いどおりにならないことだらけなんだから。大事なのはきっと、そんな不確定な未来を楽しめる自分であることなんだよね。これからの自分自身もそんな未来を楽しめる人でありたいと思っています」

悩める読者へのアドバイス

友達づくりのコツは考えすぎないこと
観月ありさ「知らない世界を教えてくれて、話すことで自分の考えが整理される、今も昔もずっと大切な存在。友達づくりのコツは考えすぎずに誘い誘われること。共通点を探すこと。私なんて『酒飲みは全員友達だ』と思っていますからね(笑)」

PROFILE

Alisa Mizuki
1976年12月5日生まれ、東京都出身。91年の映画初主演、歌手デビュー以来数々のドラマ、CM、舞台などに出演。6月15日にはデビュー30周年を記念したアルバム『Ali30』(アリサーティ)を発売
Mizuki's 45years
4歳  子役として芸能活動をスタート
14歳 シングル『伝説の少女』で歌手デビュー、
    日本レコード大賞新人賞受賞
    映画『超少女REIKO』、ドラマ『放課後』で初主演
    以後、2021年まで30年連続でドラマ主演を果たす
15歳 シングル『TOO SHY SHY BOY!』が36万枚を超えるヒット
19歳 ドラマ『ナースのお仕事』主演
24歳 ドラマ『私を旅館に連れてって』主演
28歳 ドラマ『鬼嫁日記』主演
30歳 『歌の翼にキミを乗せ』で舞台初主演
31歳 ドラマ『斉藤さん』主演
35歳 ドラマ『濃姫』で時代劇初主演
37歳 『オーシャンズ11』でミュージカル初出演
38歳 結婚
45歳 ドラマ『奪い愛、高校教師』主演
   (主演作の一部を抜粋)
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撮影/TISCH(MARE) ヘア&メイク/黒田啓蔵(Iris) スタイリスト/後藤仁子 取材・原文/石井美輪 構成・企画/内海七恵(MORE)