東 啓介連載「tone0714」vol.5
オフの日にはカメラ片手にふらりと散歩したりするという、写真が趣味の東さん。今回は、これまでに撮影した4枚の写真について。彼の琴線に触れたのは……?

東啓介の視線の先。風景の中にある思い
photo1:モノクロの街、いつか色づく街

――わりと最近の写真なんですね。
東:コロナ禍になってからカメラを持って気軽に外を出歩けず、この時に久しぶりに撮影をしました。2枚目に出てくる赤い桶の写真も、同じ時期に撮ったものです。
この時、久しぶりに夕方の街を歩いていたんです。ふと、歩道橋から下を見てみたら、思った以上に人がたくさん見えて。「あ、結構人いるんだ、撮ろっ」と思って撮りました。
ファインダーをのぞいていたら、「外食をする人がいる」とか「なんだか笑い声も聞こえてくる」とか、そういうことが懐かしく思えて。それで、あえて写真をモノクロにして“懐かしさ”を出しました。
――懐かしさ……。確かに、まだまだコロナ禍は継続中ですもんね。
東:そうなんです。だからこそ、この人々の様子が“いいなぁ”と思って。ちなみに、ここは渋谷の宮下公園に新しくできたMIYASHITA PARKです。僕自身はまだこのパーク内へ行ったことがないんですけど(笑)。
場所柄ですかね、やっぱり人が多くて。でも、なんかそれがいい。「このまま、“あの頃の日常”に戻ったらいいな」なんてことを考えながら撮っていました。
――ご自身の希望を込めてシャッターを切ったと。
東:はい。今はモノクロだけど、いつかこの写真が色づいたらいいな、そんな日が早く来たらいいなっていう、僕の希望を込めて。
photo2:日常と非日常。相反しつつ融合する

東:これも散歩中の1枚です。道端にある「変なもの」を探すことが好きで。えっと、「変なもの」じゃ分かりにくいか……。「日常と非日常が融合しているようなもの」って言った方がいいのかな?
草や木がたくさんある自然の中に、桶や水道の蛇口といった実用的な物があるのが面白いなと思って撮りました。奥にある桶の赤とホースの水色と、手前の緑色のコントラストもきれいだなって。あと、完全に僕の好みですけど、ちょっと、ごちゃごちゃしている感じが好きなんですよね。
――生活の気配も感じますね。ひっくり返された桶やホースから、誰かが水やりをしている姿が目に浮かびます。
東:言われてみれば生活感が……。もしかしたら、それは僕が“人”が好きだからかもしれないです。
初対面の人に「好奇心旺盛だよね」って、よく言われるんですよ。僕としては、せっかくお会いできたのだから、相手のことを知りたいと思って、ついあれこれ聞いちゃう。もちろん、初対面なので当たりさわりのない質問を。それで嫌われたら嫌われたでいいやって感じで、さらっと聞くんですけど。
……そっかぁ、無意識に、写真の被写体にもそれを求めちゃってるのかな。「ねぇねぇ、あなたのこと教えて」って(笑)。
photo3:必要とされなくなった双眼鏡は

東:これねー、これはね……いつ撮ったか忘れた(笑)。多分今年だと思います! 「どこかの“灯台”に行きたいな」っていう気持ちになった時の写真なので。
――灯台で撮ったんですか?
東:いえ、羽田空港です(笑)。灯台って展望台があるところが多くないですか? 僕的には遠くを眺める場所というイメージがあって。それでまあ、灯台よりは行きやすいので、空港へ行ったんです。ほら、空港に展望デッキがあるから。まだ人が全然いない時期にふらっと行って、この写真だけ撮って、ふらっと帰りました。
――飛行機に乗るわけでもなく、誰かを見送るでもなく、ひとり空港へ。
東:しかも、人々の行動制限は緩和されたけど、まだ空港の営業はほとんどしていないという時に行ったので、人が本当にいないし、飛行機も全然飛んでいなかったんです。ただ、展望デッキは開放されていて。そこに、これ(双眼鏡)がポツンとあったんですよ。
――これもモノクロですね。理由があるんですか?
東:寂しいなぁと思ったから。
ほんとだったら、空港って、たくさんの人や飛行機が集まっては去る、そんな場所ですよね。展望デッキにあるこの双眼鏡も、機体を鑑賞したり、人々を乗せて飛び立っていく姿を眺めたりするものなのに、展望デッキには誰もいないし、飛んでいない。空港のスタッフを除けば、この時、僕以外誰もいなかった。双眼鏡という存在が、もう、この世に必要なくなってしまったような感じがして、モノクロにしました。誰にも必要とされていない、その寂しげな感じに心惹かれたんでしょうね、その時。
実際、この日は僕も双眼鏡を覗いていないですし。
photo4:「足もと」という異世界

僕、お城の石垣が好きなんです。重機のない時代、人の力で「この石がここにはまるから」と、大きな石を均等に積みあげていった、その不思議。しかも何百年も前に作られたのに、いまだにそれが崩れないなんて、本当にすごいと思っていて。
だから石垣はもちろん、石が積まれていたり、並んでいたりすると目が行きがちなんです。
――丸亀城(香川県にある石垣の名城)などは、石垣しか残っていないけれど、本当に美しいですもんね。
東:分かってもらえてうれしいです!
ただ、この写真に関しては、石がたくさん並んでいるということだけでなく、「足もとに石があったから目に入った」という、そのシチュエーションも印象に残っていて。
僕、普段は足もとをあまり見ないんですよ。
――足もとを見ない?
東:以前、応援してくださるファンの方に「猫背、めっちゃひどいですよ」と言われたことがあって、それ以降仕事の時はなるべく背筋を伸ばすようにしてるんです。足もとを見るとどうしても背中が丸くなっちゃうんで、それで見ないんです。
あと、仕事の合間に写真を撮ることもあまりしません。仕事に本格的なカメラを持っていくと荷物になるというのもあるんですけど、「撮るぞ!」と決めて出かけた方が、撮る意欲も増すんで。
だから写真を撮る日は、足もとにあるものに惹かれるんですよね。実際、足もとにはたくさんの「変なもの」が転がっている。なるべくアンテナを広げていたいなと。猫背になってるかもしれませんが(笑)。
――今回の4枚の写真に、作品タイトルはありますか?
東:いえ。昔はそれなりに付けていたんですけど、今は付けていません。なんというか、タイトルを付けることによって、写真のイメージがタイトル方向に引っ張られる感じがして。
先のことはわからないですけど、少なくとも今は僕の写真で何かを伝えるというより、見てくださった方が受け止めたその気持ちを知りたいっていう思いが強いですね。
皆さん、感想をお待ちしてます!
東さんのお誕生日に行ったロケ撮影の一部を公開
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東さんがいる夏の風景、いいですね~。
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