つづく、つづける。モアモデル・井桁弘恵と一緒に学ぶSDGs【Vol.7】

3月8日は、「国際女性デー」。『UN Women』の日本事務所所長とアジア3カ国で生きる女性が、私たちが生きやすい社会とその実現のためにできることを、ジェンダー平等の視点から語る。
What’s SDGs?

国際女性デーに考えるジェンダー平等
まずは自分の周囲の状況を知り、調べ、疑問には声を上げて!

お話を聞いたのは……
約20年間、海外を拠点に国連機関で勤務。2017年に、ジェンダー平等や女性のエンパワメントを推進する『UN Women』の日本事務所の所長に就任。公式サイト■https://japan.unwomen.org/ja
毎年3月8日に制定されている国際女性デーとはなんですか?
今年のテーマ、「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」について教えてください。
生きやすい社会の実現のために私たちができることとは?
アジア3カ国の読者世代女子が語る「私の国での女性の権利と働き方」
韓国代表

エンターテインメント業勤務
日本の大学を卒業後、日本で大手メーカーに就職。昨年、帰国し、エンタメ関連の仕事に従事
台湾代表

現地日系企業勤務
日本の大学に2年間留学。帰国後は、現地の日系企業に就職。現在は、メーカーに勤める
日本代表

製薬会社役員『Healthtech Women Japan』代表
製薬会社に勤めるかわたら、女性が生きやすい社会の研究を、公衆衛生学の観点から行う
私たちの未来についてリモート対談を開催!

韓国・台湾・日本のジェンダー平等の現在地
竹之下さん(以下、敬称略) 日本は、『世界経済フォーラム』が2021年3月に発表した、世界の男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」で120位にランキングされたことからも、向きあうべきジェンダー問題が山積していると思います。個人的には、会社の上層部が男性ばかりで女性が少なく、自分の今後のキャリアをイメージしづらい時にジェンダーギャップを感じますね。
井桁 私が働いているエンタメ業界は、実力主義社会なところがあるのでジェンダーギャップを感じることは正直少なくて。最近は、プロデューサーやスタッフにもすごく女性が増えている印象。でも、ほかの業界で働く友人に話を聞くとキャリア形成や結婚・出産のタイミングなどに悩みを抱えている人は多いですね。その背景には、ロールモデルがいないことや、いまだに子育ては女性側に大きな負担がかかることを表しているのかな、と。
レベッカさん(以下、敬称略) 台湾は総統に女性が就任したこと、第三性の人や30代の女性政治家が増えていることもあって、ジェンダー平等な社会づくりがこの何年かで急速に進んでいると思います。2019年には、アジアで初めて同性婚を認める特別法が施行されたし、育休や生理休暇など男女ともに休みを取りやすい。以前、日本人の同僚男性が、台湾人の男性が育休を取ることに驚いていたことが印象的でした! でも、業種によってはジェンダーバランスが悪い企業もあるので、そういう点は改善の余地があるかな。
チェさん(以下、敬称略) 韓国は、兵役制度の影響などから男性社会が根強いのですが、この数十年の間に台湾同様、少しずつジェンダーギャップは改善されていると思います。それは、女性がおかしいことにはしっかりと声を上げてきたことも大きいかも。あと、あらゆるタイプの女性の活躍が多様なメディアで取り上げられることが急増してきたのもいい流れ。最近の作品ですが、ドラマ『恋愛ワードを入力してください 〜Search WWW〜』(Netflixでも配信中)のように、職場において管理職の女性が主人公として描かれたドラマが増えたのもわかりやすい例です。
レべッカ 面白そう! 台湾のおすすめ作品は、ドラマ『未来ママ』。結婚、妊娠、出産がテーマで、台湾の読者世代女性のリアルを感じ取ってもらえそう。竹之下さんは、もうすぐご出産されると聞きました!
竹之下 そうなんです。出産してもキャリアを積みたいので今、ワークライフバランスをどう取るべきか考え中で。さっきチェさんがロールモデルの話をされていましたが、日本にも多様な生き方、働き方をしている女性のロールモデルが増えるといいなと思います。
井桁 たしかに。自分にとってベストなワークライフバランスが探れる、選択肢が豊富な社会っていいですね。
竹之下 素敵ですよね。直近で多くのライフイベントを控える私たち世代が、次世代のそういったモデルになれるといいですよね……。
ジェンダーインクルーシブな社会を目指してできること
チェ 女性に限らず、誰もが生きやすい社会を実現するのに大切なのは「意思表示」をすることだと信じています。私は、働いていておかしいと感じることがあれば、上司に「少しお時間いいですか?」って、すぐに話しかけます! そうしないと、状況は変わらないので。
レベッカ 台湾人もおかしいと感じることには声を上げます。だって、誰もが主張する権利を持っているし。あと、自分がいる環境の改善点や、よさに気づくためには「学ぶ」ことも大切! たとえば、欧州のジェンダー事情を探ってみるとか。
竹之下 欧州の様子を見ていると、どんなジェンダー、人種、価値観を持っている人も、それぞれに個性を発揮できる、ジェンダーインクルーシブ社会が理想だと感じます。そこを目指すには、日本人の場合まず身近な人に、今感じている違和感や不安を話して、何がいちばんの課題かを明確にすることが、最初の一歩として必要かな。たとえば、日本は育児休業や生理休暇制度自体はあっても、周りに迷惑をかけるのでは? と遠慮して、台湾のように取得する人が少ない。そういう文化を抜本的に変えるには、周りの人と話して問題を洗い出すところから始めないといけない気がするんです。
井桁 たしかに。今日は、お三方のお話を聞いて、コミュニケーションの大切さを再確認しました。身近なことで言うと、私は最近、生理で調子が悪い時、自分から周りの人に「今日は生理で本調子じゃない」と伝えるようにしていて。自らオープンに話すと、自分も相手も気持ちよく過ごせるし、相手も話してくれるようになって。こうやって今後も自ら率先して、話しやすい社会の雰囲気をつくっていきたいです。
いげちゃんのSDGsなコツコツ日記。
