投票で生活は変えられる。参議院議員選挙に向けて20代がやるべきこととは?【SDGs連載 vol.10】
つづく、つづける。モアモデル・井桁弘恵と一緒に学ぶSDGs【Vol.10】
日々、よく耳にする“SDGs”という言葉。なんのために取り組むの? 私にできることは何? SDGsに興味を持ち始めた井桁弘恵が、そんな疑問に向きあいます!
選挙のたびに話題に上がる、投票率の低さ。目前に控える参議院議員選挙を前に、若者に向けて政治情報を発信する『NO YOUTH NO JAPAN』代表の能條桃子さんに、政治参加について聞いた。
選挙のたびに話題に上がる、投票率の低さ。目前に控える参議院議員選挙を前に、若者に向けて政治情報を発信する『NO YOUTH NO JAPAN』代表の能條桃子さんに、政治参加について聞いた。
What’s SDGs?
国連で採択された、2030年までに達成すべき17のゴールのことで、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。私たちが地球に住み続けるために、貧困、飢餓、環境、教育、ジェンダー平等などの問題を、世界が協力して解決することを目指す。
私たちの政治参加
お話を聞いたのは……
『NO YOUTH NO JAPAN』能條桃子さん
1998年生まれ、神奈川県出身。デンマーク留学をきっかけに、一般社団法人『NO YOUTH NO JAPAN』を創設。30歳以下が政治参加をする社会を目指して、多岐にわたる活動を展開
「政治を考えるのは自身の人生を考えること」(いげちゃん)
「正解はないから、考え悩むことがまず一歩」(能條さん)
1998年生まれ、神奈川県出身。デンマーク留学をきっかけに、一般社団法人『NO YOUTH NO JAPAN』を創設。30歳以下が政治参加をする社会を目指して、多岐にわたる活動を展開
「政治を考えるのは自身の人生を考えること」(いげちゃん)
「正解はないから、考え悩むことがまず一歩」(能條さん)
海外生活を通して知った 社会は変えられる
井桁『NO YOUTH NO JAPAN』(※1)の活動を始めるきっかけは?
能條 大学生の時にデンマークに留学して、この国の民主主義や選挙のあり方に感化されて立ち上げました。デンマークは、20代の投票率が、80 %超えなのに対して日本は30 %台なんです! 同世代が声を上げて、社会を変えていく姿には衝撃を受けました。それと、この国は女性の社会進出も進んでいて、留学中に当時41歳の女性首相(※2)が誕生する瞬間を目の当たりにしたことも、この活動の原点です。井桁さんが、政治を意識するようになったのはいつ頃ですか?
井桁 私も大学生の時です。自分でお金の管理をするようになり、「なぜこんなに税金を払うのだろう?」と友人と話すようになったり、外国人留学生と文化の違いについて話していたら、いつの間にか政治の話になって。デンマークの若者は、どのように政治参加をしているのですか。
能條 選挙参加はもちろんのこと、デモ活動も盛んです。具体例を挙げるなら、私の留学中は、ちょうど環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの「Fridays for future」(※3)運動が、世界に広がりを見せていたタイミングで、デンマークの若者もその動きにいち早く呼応して、気候変動対策のデモを起こしていました。ほかにも、若者のメンタルヘルスケアにかかる医療費無償化を訴える活動をしていた友人がいて。私が留学している間に、実際に無償化になったんですよ。
井桁 すごい! なぜ、そんなに自分ごととして政治に関心を持ち、アクションを起こせる人が多いのか気になります。
能條 約100年前から主権者教育を行っていることが大きいですね。たとえば、学校では、選挙の時に候補者へのインタビューが宿題で出るんです。
井桁 日本でもそういう学校教育がされるようになるとよいけど、そのためには投票に行く人を増やさないと。今の若者の投票率の低さを改善するためにはどうしたらいいんだろう……。
能條 今の若者に限らず、日本の20代の投票率は、この30年くらいずっと低いまま。それこそこの現状を抜本的に変えるには、やっぱり学校教育の改善が必要。でも教育の場というのは、学校だけでなく、家庭や地域、メディアとかいろんな場所にあるといいなと。気軽に情報にアクセスできれば、政治に関心を持つ人が増えると思います。
井桁 たしかに。それでいうと能條さんが運営する『NO YOUTH NO JAPAN』のインスタグラムは、若者の学びの場になっていますよね。
能條 大学生の時にデンマークに留学して、この国の民主主義や選挙のあり方に感化されて立ち上げました。デンマークは、20代の投票率が、80 %超えなのに対して日本は30 %台なんです! 同世代が声を上げて、社会を変えていく姿には衝撃を受けました。それと、この国は女性の社会進出も進んでいて、留学中に当時41歳の女性首相(※2)が誕生する瞬間を目の当たりにしたことも、この活動の原点です。井桁さんが、政治を意識するようになったのはいつ頃ですか?
井桁 私も大学生の時です。自分でお金の管理をするようになり、「なぜこんなに税金を払うのだろう?」と友人と話すようになったり、外国人留学生と文化の違いについて話していたら、いつの間にか政治の話になって。デンマークの若者は、どのように政治参加をしているのですか。
能條 選挙参加はもちろんのこと、デモ活動も盛んです。具体例を挙げるなら、私の留学中は、ちょうど環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの「Fridays for future」(※3)運動が、世界に広がりを見せていたタイミングで、デンマークの若者もその動きにいち早く呼応して、気候変動対策のデモを起こしていました。ほかにも、若者のメンタルヘルスケアにかかる医療費無償化を訴える活動をしていた友人がいて。私が留学している間に、実際に無償化になったんですよ。
井桁 すごい! なぜ、そんなに自分ごととして政治に関心を持ち、アクションを起こせる人が多いのか気になります。
能條 約100年前から主権者教育を行っていることが大きいですね。たとえば、学校では、選挙の時に候補者へのインタビューが宿題で出るんです。
井桁 日本でもそういう学校教育がされるようになるとよいけど、そのためには投票に行く人を増やさないと。今の若者の投票率の低さを改善するためにはどうしたらいいんだろう……。
能條 今の若者に限らず、日本の20代の投票率は、この30年くらいずっと低いまま。それこそこの現状を抜本的に変えるには、やっぱり学校教育の改善が必要。でも教育の場というのは、学校だけでなく、家庭や地域、メディアとかいろんな場所にあるといいなと。気軽に情報にアクセスできれば、政治に関心を持つ人が増えると思います。
井桁 たしかに。それでいうと能條さんが運営する『NO YOUTH NO JAPAN』のインスタグラムは、若者の学びの場になっていますよね。
参議院選挙における20代の投票率は、約30年前から平均30%台で、投票率の大きな変化は見られない。また、衆議院選挙は、参議院選挙と比較すると投票率は多少上がるものの、こちらもこの10年ほどは、30%台にとどまり続けているのが現状
※総務省HP「参議院議員通常選挙における年代別投票率(抽出)の推移」より抜粋
※総務省HP「参議院議員通常選挙における年代別投票率(抽出)の推移」より抜粋
ジャケット¥63800/エンケル(エスロー) ワンピース¥18700/ショールーム 233(ジャスト・フィーメール) メガネ¥27500/ショールーム シャルメール(スプリング ストリングス) イヤカフ(2個セット)¥12800/GEMMA ALUS JAPAN(ジェンマ アルス)
半径1メートルの話は政治につながっている
能條 見てくださったインスタグラムでは、選挙やあらゆる社会問題をわかりやすく解説しています。井桁さんは今、気になっていることってありますか?
井桁 子育て。街を見渡すと、もっと安心して子育てできる環境づくりが進んだらいいのにと思うことがあって。能條さんは?
能條 私は、ジェンダーと気候変動の問題に特に関心があります。あと、妊娠中絶薬の問題も、友人との会話の話題に上がることが多くて気になっています。
井桁 私も。緊急避妊薬の問題もありますよね。でも、これが問題だと感じていても、いち個人の私に何ができるのか、正直わからなくて……。
能條 同じ問題に関心があって、アクションを起こしている人を探し、その人を手伝うのはどうですか? たとえば自治体に改善してほしいことをメッセージする。ほかにも、SNSでその事柄について発信している人から情報を得たり、自分でも発信してみたり。署名やデモに参加することなどもそうですね。
井桁 政治に参加する方法って、たくさんあるんですね!
能條 いろんな例を出したけど、井桁さんと私が、今感じているモヤモヤをさっき話し合ったように、まずは、身近な人と「話すこと」も政治参加かな、と。
井桁 こうして話すことで、政治との心理的距離が縮まりますね。ちなみに、政治に興味がわく作品があれば教えてほしいです。
能條 Netflixドキュメンタリー『レボリューション—米国議会に挑んだ女性たち—』(※4)はイチ押し。アメリカの下院議員選挙に出馬した女性新人候補者を追った作品で、社会を変えるために立ち上がる姿に刺激を受けます。あと、台湾の「ひまわり運動」をリードした若者たちを追った映画『私たちの青春、台湾』(※4)も、若者の政治参加について考えるきっかけになります。
井桁 どちらも気になる! チェックしてみますね。
井桁 子育て。街を見渡すと、もっと安心して子育てできる環境づくりが進んだらいいのにと思うことがあって。能條さんは?
能條 私は、ジェンダーと気候変動の問題に特に関心があります。あと、妊娠中絶薬の問題も、友人との会話の話題に上がることが多くて気になっています。
井桁 私も。緊急避妊薬の問題もありますよね。でも、これが問題だと感じていても、いち個人の私に何ができるのか、正直わからなくて……。
能條 同じ問題に関心があって、アクションを起こしている人を探し、その人を手伝うのはどうですか? たとえば自治体に改善してほしいことをメッセージする。ほかにも、SNSでその事柄について発信している人から情報を得たり、自分でも発信してみたり。署名やデモに参加することなどもそうですね。
井桁 政治に参加する方法って、たくさんあるんですね!
能條 いろんな例を出したけど、井桁さんと私が、今感じているモヤモヤをさっき話し合ったように、まずは、身近な人と「話すこと」も政治参加かな、と。
井桁 こうして話すことで、政治との心理的距離が縮まりますね。ちなみに、政治に興味がわく作品があれば教えてほしいです。
能條 Netflixドキュメンタリー『レボリューション—米国議会に挑んだ女性たち—』(※4)はイチ押し。アメリカの下院議員選挙に出馬した女性新人候補者を追った作品で、社会を変えるために立ち上がる姿に刺激を受けます。あと、台湾の「ひまわり運動」をリードした若者たちを追った映画『私たちの青春、台湾』(※4)も、若者の政治参加について考えるきっかけになります。
井桁 どちらも気になる! チェックしてみますね。
次の参議院議員選挙に向けて私たちができること
井桁 もうすぐ参議院議院選挙が始まりますよね。私は、昨年の衆議院議院選挙の時に、友人と選挙について一緒に勉強して、投票先を決めました。でも正直、自分が出した答えが、果たしてよかったのかわからなくて。
能條 投票に正解はないので、自分なりのベストアンサーを出せば大丈夫。最近は、わかりやすく選挙についてまとめたサイトや、自分の考えに近い政党を割り出してくれるマッチングアプリ(※5)などがたくさんあるので、活用するといいですよ。
井桁 マッチングアプリは前回の選挙の時に使って、参考になりました。最後に、能條さんが、今後取り組みたいことは?
能條 ただ政治に関心を持とうと呼びかけるのではなく、今の若者がおかれた状況をまず可視化して、それを変えていけるような働きかけをしたいと考えています。選挙においては、駅前のような行きやすい場所に投票所があるといいなと思っていて。その理想を実現させるためのアクションを起こしたいですね。
井桁 投票所が近くなれば、投票率も上がりそう。私もこうなればいいのにを大切に、自分にできることをしていきます。
能條 投票に正解はないので、自分なりのベストアンサーを出せば大丈夫。最近は、わかりやすく選挙についてまとめたサイトや、自分の考えに近い政党を割り出してくれるマッチングアプリ(※5)などがたくさんあるので、活用するといいですよ。
井桁 マッチングアプリは前回の選挙の時に使って、参考になりました。最後に、能條さんが、今後取り組みたいことは?
能條 ただ政治に関心を持とうと呼びかけるのではなく、今の若者がおかれた状況をまず可視化して、それを変えていけるような働きかけをしたいと考えています。選挙においては、駅前のような行きやすい場所に投票所があるといいなと思っていて。その理想を実現させるためのアクションを起こしたいですね。
井桁 投票所が近くなれば、投票率も上がりそう。私もこうなればいいのにを大切に、自分にできることをしていきます。
すぐにできる3つの政治参加
【1】人と“気になること”を共有する
「問題に感じていることを人と共有するのは、社会の課題解決への一歩。デモへの参加は、同じ考えを持つ仲間を見つける好機。フェス感覚で気軽に関心のあるデモに参加してみて」(能條さん、以下同)
(左)BLM運動に連帯を示す『Black Lives Matter Tokyo』主催「ピースフル・マーチ」に参加
(右)「緊急気候マーチ0422」で温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを求めた
(右)「緊急気候マーチ0422」で温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを求めた
【2】投票に行く
「投票は、自分の存在を国に知らせる手段。選挙には正解がありません。自分の価値観で投票先を選んで。一票を投じることがあなたの抱える課題を解決する一歩です」
【3】自分の意見を示し、伝える
「SNS上での自分の意見を発信したり、ハッシュタグで同意やスタンスを表明したり。署名もオンラインでできる時代。気になる問題に対して、自分の考えを示すことは社会を動かす原動力です」
性差別発言をした、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長・森喜朗氏の処遇の検討と再発防止策を求める署名を15万筆以上集めた
政治がキニナル TOPICS
【※1】『NO YOUTH NO JAPAN』
若い世代の政治参加を身近にするために、インスタグラム(@noyouth_nojapan)で、30歳以下が知っておくべき政治や社会問題をわかりやすくポップに解説。
【※2】デンマーク首相 「メッテ・フレデリクセン」
メッテ・フレデリクセンが、2019年にデンマーク史上最年少の首相に就任。当時41歳。この国の女性首相としては2人目で、当時発足した内閣では全閣僚のうち7人が女性。
写真:picture alliance/アフロ
写真:picture alliance/アフロ
【※3】「Fridays for future(未来のための金曜日)」
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリが、気候変動対策をスウェーデン議会に訴えかけた運動が起源。このアクションは全世界に広がり日本でも行われている。
【※4】『レボリューション-米国議会に挑んだ女性たち-』、『私たちの青春、台湾』
2018年の中間選挙に出馬した、4人の女性を追った作品。本作に登場するアレクサンドリア・オカシオ=コルテスは、米国史上最年少28歳で下院議員に当選した
Netflix映画『レボリューション −米国議会に挑んだ女性たち−』独占配信中
Netflix映画『レボリューション −米国議会に挑んだ女性たち−』独占配信中
2014年に台湾で起きた抗議活動「ひまわり運動」を牽引した若者たちの記録。
●DVD発売中 ¥4400(マクザム) © 7th Day Film All rights reserved.
●DVD発売中 ¥4400(マクザム) © 7th Day Film All rights reserved.
【※5】「政党マッチングアプリ」
選挙期間に入ると、メディアや社会派団体などが、「政党マッチングサイト」をローンチ。数十の質問に答えるだけで、自分の考えに近い政党や議員を導き出してくれる。
いげちゃんのSDGsなコツコツ日記。
自分の理想の未来を叶えるために政治参加
「政治を考えることは、自分の人生を考えることにつながっていると気づくことができました。将来どういう子育てをして、どんな老後を築きたいか……。そこに向きあえば、自ずと有権者として政治参加することの重要性を身をもって感じることができると思います」(いげちゃん)
撮影/野田若葉(TRON) ヘア&メイク/河嶋 希(io) スタイリスト/辻村真理 取材・原文/海渡理恵 構成・企画/青山玲子(MORE) 撮影協力/TITLES