春と夏に乱れやすいってホント!? 「自律神経」についてよくわかる5つのQ&A
整えないと心身によくない影響が出るといわれる自律神経。「自律神経ってよくわからない……」なんて人のために、自律神経のギモンにお答えします! 【教えてくれたのは……小林弘幸先生】 順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者。『怒らなければすべて健康』など著書多数
Q.そもそも「自律神経」ってどんな神経?
A.人間の生命活動に欠かせない神経
「自律神経の役割は、血液循環や呼吸、消化吸収、新陳代謝や体温調整などを24時間365日、一瞬も休むことなくコントロールすること。私たちの生命活動に欠かせない神経で、アクセルのような働きをする『交感神経』と、ブレーキのような役割を持つ『副交感神経』のふたつからなっています。一日の中で昼間は交感神経が、夜は副交感神経が優位になるのが本来のリズムです」(小林先生、以下同)
Q.自律神経が乱れるとどうなるの?
A.さまざまな不調が生じます
「冷えや便秘、不眠症、肩こり、イライラ、疲労感、外出がイヤになるなど、自律神経が乱れるとさまざまな不調を感じやすくなります。もちろん自律神経が乱れないに越したことはありませんが、生きている限りさまざまな刺激を受けるため、乱れは必ず起きてしまいます。大切なのは、もし自律神経が乱れてもきちんと元のバランスに戻せるよう、自分の変化に気づける状態をつくることです」
Q.副交感神経さえ整っていればいいの?
A.どちらか一方だけではダメ!
「交感神経と副交感神経の理想のバランスは、1 対1 もしくは1対1.5ぐらいまで。副交感神経だけが高ければいいのではなく、緊張する場面では交感神経が優位になり、夜などのゆったりした場面では副交感神経がきちんと優位になって、それぞれのバランスが高いレベルでキープされているのがベストな状態と言えます」
Q.自律神経が乱れるのは、女性特有のもの?
A.No! 男女ともに乱れます
「女性より10年も早く副交感神経の機能低下がスタートする男性のほうが、自律神経の乱れからくる不調を感じる人は多いと考えられます。機能が低下し始めるタイミングに男女差がある理由は、いまだ明らかになっていません。また、子供は比較的影響を受けにくく、自律神経が乱れ始めるのは、社会に出て多くの刺激を受ける20歳前後からのようです」
Q.年を取ると乱れやすいの?
A.10年で15%ずつ機能が低下
「自律神経は、何もケアしなければ10年で15%ずつ機能が低下していきます。特に男性は30歳、女性は40歳を過ぎた頃から副交感神経の機能が急降下するので、自律神経が自然と乱れがちに。たとえば、年を取ると怒りっぽくなるのは、加齢によって副交感神経が低くなっているのも理由のひとつ。年齢とともに低下するとはいえ、生活習慣の改善で対処できます」
Q.自律神経が乱れやすい時期は?
A.春と夏。季節の変わり目も
「まずひとつが、初出社や初登校といった新しい場所や初対面の人に会うなど、精神的な刺激を受けやすい春。そして、屋内外の気温差が大きくなる夏。きちんと水分補給せずに空調の効いた室内と酷暑の屋外を行き来していると体調を崩してしまい、自律神経がうまく機能しなくなります。梅雨など季節の変わり目も、影響を受けやすい時期のひとつです」