福岡在住、1997年~98年生まれの4人組ネオソウルバンド、yonawo。艶やかな歌声とメロウなグルーヴがジワジワと評判を呼び、代表曲「矜羯羅がる(こんがらがる)」のストリーミングでの累計再生が100万を突破。自宅でiPadの「GarageBand」で録ったというデモ音源が、世界中で多くの人に聴かれる事態になった。モアモデルの鈴木友菜さんも「今、最も気になるバンドのひとつ」と公言し、続々とモア世代女子もトリコにしている彼らが、来る4月15日に初のミニアルバム「LOBSTER(ロブスター)」をリリース。今やネット出身のアーティストや、自室で制作した音源がチャートをにぎわせるのは珍しいことではないけれど、取材現場で会った4人の姿は驚くほど自然体だった。
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Profile
yonawo●(写真右から)斉藤雄哉(Gt)、荒谷翔大(Vo)、野元喬文(Dr)、田中慧(B)
の4人からなる新世代ネオソウルバンド。2019年11月にメジャーデビューし、デジタルシングル「ミルクチョコ」、「Mademoiselle」を2か月連続でリリース。数々の著名人がファンを公言し、各地のフェス・イベントからオファーが殺到している。
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荒谷さん「“矜羯羅がる”の再生数が100万突破したとスタッフの方から聞いて。そんなにたくさん聴いてもらえている実感はないけれど、めっちゃうれしいですね。 “矜羯羅がる”は自宅でiPadに付いているマイク付きイヤホンで、ひそひそ歌いながら録ったんです。メンバーの(斉藤)雄哉(G)がレコーディングの勉強をしていて、家に録音機材もあるので真っ先に聴かせたら、『これ録り直さなくてもいけるんじゃない?』って言ってくれて。それで、雄哉にミックスだけしてもらいました」

斉藤さん「デモの段階でもうバッチリだったんです。結果、ここまで大きな反響をもらえるようになるなんて僕も実感はないですけど、“矜羯羅がる”をコートジボワールの人がレゲエでカバーしてくれた動画があって。それを観て『言語とかは関係ないんだ!』って、すごく可能性を感じました。今って僕たちが気軽に洋楽を聴く感じで、どの国の音楽でも聴けるから」

荒谷さん「去年の年末に初の海外公演として台湾でライブした時も、『本当に僕たちのファンっているのかな?』って思ってたけど、たくさんの方が来てくれたのですごく楽しかったです」
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そもそも彼らはバンドを結成する目的で集まったのではなく、気の合う地元の友人たち同士が一緒に過ごす中で、自然と楽器を手にし、バンドが生まれたのだという。

荒谷さん「なにもしなくても一緒にいて居心地が良いのが僕たちにとっては一番大事。たとえば、このメンバーでいると、移動中すら楽しいんですよね。そこに『音楽』が乗っかって、曲作りが始まったっていう流れで。そういう感じだから、メジャーデビューした実感も未だにないのかもしれないです(笑)」

斉藤さん「地方でのライブだったり、東京での取材も、みんなと一緒にいて普通に楽しいから仕事じゃないみたいだし。最近ふと思ったのは、元々は僕たちみんな他人同士なわけで。僕、一回別の高校から転入したから、(田中)慧(B)とのもっちゃん(野元喬文/Dr)と同級生になったんです。だから、転入してなかったら当然他人のままだし、あらちゃん(荒谷)とも中学でサッカーやってなかったら知り合ってない。趣味や気が合う人は世の中にいっぱいいるんだろうけど、たまたま集まってバンドやってるって幸せだなって(笑)」
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趣味が合う友人同士だからこそ、好きなアーティストのMVやジャケットのアートワークで盛り上がることも多く、一緒に服を買いに行くこともあるのだとか。ちなみに、yonawoのアートワークはドラムの野元さんが担当している。

荒谷さん
「みんなのもっちゃんの絵が好きだったので」

斉藤さん「高校の授業中も描きよったし(笑)。ほんとにずっと描いてるので、自然と目に入るんですよね」

野元さん「姉ちゃんもお母さんも絵を描くのが好きで。だから、物心つくかつかないくらいの時からずっと描いてるんです。描いた絵を見せるとみんな喜んでくれるのもうれしくて」

荒谷さん「自分たちがリスナーとして好きなバンドも、音楽がかっこいいのはもちろん、ライブ演出やMVもかっこいいっていうところが重要。アークティック・モンキーズのセカンドアルバム『フェイヴァリット・ワースト・ナイトメア』をお店で見て『ジャケめっちゃかっこいいじゃん!』って思って買って聴いたら、音もすごくかっこよくてみんなでハマって盛り上がったことも。アークティック・モンキーズはMVもどれもかっこいい。ダニエル・シーザーとかもね」

野元さん「チャイルディッシュ・ガンビーノとか」

荒谷さん「あと、タイラー・ザ・クリエイターもめちゃくちゃかっこいい!」

田中さん「ラット・ボーイのMV観て、『この服かっこいい!』って盛り上がって同じアディダスのスウェット買ったり(笑)」

荒谷さん「みんな行く古着屋さんもあるし。服の趣味も近いから、店の中で取り合いになって(笑)」

斉藤さん「『それ俺の!』とか言ってね(笑)」

荒谷さん「『貸すけん!貸すけん!』って(笑)」
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メンバー共通で盛り上がった話になると、とめどなくエピソードが溢れてくる。そんな彼らの等身大の日常からうまれた音楽が、生活スタイルも環境も違う多くの人々に聴かれるというのはどういう感覚なのか聞いてみた。

荒谷さん「曲を書く時は特にリスナーのことをイメージしないんですけど、できあがった曲が同世代だけじゃなく、もっと上の世代の方だったり、それこそモア読者のような働く女性だったり、自分たちの想像を超えた幅広い方々にまで届くなんて思ってもなかったので、めちゃくちゃうれしいんです。音楽って、その人の世界に入り込む一種のツールっていう面がある。もしかしたら、実際会って話しても踏み込めないような部分にまで、僕たちの音楽がするっと忍び込んでいけるような感覚があるのがおもしろい。聴いてくれている人々の日常を僕が知らなくても、生活の一部としてyonawoの音楽が存在しているっていうところが、音楽って良いなってすごく思うんですよね」

4/15リリース! ファーストミニアルバム『LOBSTER』をチェック!

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「LOBSTER」
●4/15発売 ¥1500/アトランティック・ジャパン(ワーナーミュージック・ジャパン)
取材・文/小松香里 撮影/藤澤由加