同居している家族以外とはなかなか会うこともできず、テレビをつければ不安になるニュースが耳に入ってくる……。そんな日々の中で、今、「思いっきり笑う」ことが減っていませんか? オンライン飲みをするもよし、コメディ映画やお笑い番組を観るもよし――でも、こんな時こそ、本を手に取ってみてはいかがでしょうか。
そこで今回は、MORE本誌でも新刊紹介を担当している私、千吉良美樹が、思わず笑いがこみ上げてくる3冊をご紹介します。笑うことを自粛する必要はありません! 笑って、感動して、また明日から明るく過ごしましょう♪

1冊目:『辛酸なめ子の世界恋愛文學全集』辛酸なめ子

ライフハックBOOKガイド「こんな状況だの画像_1
(祥伝社文庫 ¥680)
このBOOKガイドを読んでくださっているということは、当然、あなたは“読む本”を探しているはずです。おうちで過ごす時間が長い今こそ、普段なら手に取らないような本や、仕事とは関係のないような本を読むチャンス。そこでまずおすすめしたいのが、日本、ロシア、イギリス、イタリア、オーストリア、アメリカの「恋愛文学」を、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが紹介した本書です。

たとえば、日本文学では『竹取物語』に始まり、『乙女の港』(川端康成)、『肉体の学校』(三島由紀夫)、『女のいない男たち』(村上春樹)など26作品を、辛酸さんがちょっとナナメな視点から読み解きます。それぞれの作品から“心に刻みたい愛の名(迷!?)文”をピックアップし、登場人物や作者の恋愛感にツッコミまくり。普段なら、“純文学を手に取るのはどうもハードルが高い……”と感じる人も少なくないでしょう。でも、本書を副読本にして読み進めると、思わぬところで笑いがこみ上げてくるはずです。二度どころか、数十度おいしい思いをさせてくれる一冊です。

2冊目:『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい ①』松本ひで吉

ライフハックBOOKガイド「こんな状況だの画像_2
(講談社 ¥850)
おうち時間が増え、海外ではペットを家族に迎える人が増えているというニュースが報じられていました。ただ、“こんな時、ペットがそばにいてくれたら……”と思ったところで、簡単に飼えるわけでもありません。

そこで、“笑いたい”だけでなく、“ペットを見てほっこりしたい!”という欲求まで満たしてくれるのが、このコミックエッセイです。人懐っこくて天真爛漫な「犬くん」と、ツンデレで憎めない「猫さま」との日常を描いた本書は、もともと著者のツイッターで発信されていたもの。感情豊かに暑苦しいくらいの愛情表現をしてくる犬くんに対して、時に凶悪なくらい自分勝手に生活する猫さま。その2匹のギャップに一喜一憂する著者の姿に、毎回笑わされます。私自身、現在は猫1匹と暮らしていますが、本書を読んで、「いずれは犬も……そのために仕事頑張ろう」と、活力をもらっています。(4巻まで発売中)

3冊目:『いやよいやも旅のうち』北大路公子

ライフハックBOOKガイド「こんな状況だの画像_3
(集英社文庫 ¥660)
「旅をする」。その行為を想像する時、名物のあれを食べて、名所に行って、この温泉につかって、できればあの神社にも立ち寄って……なんて、プランを考えているだけで、ワクワクするのではないでしょうか。でも、著者は違います。「旅が嫌い(なぜなら目的地を決め、日程を決め、宿を決め……と決めることが多すぎるから)」と言い切るのです。

北大路公子さんは、エッセイ連載のために仕方なく同意し、“いやいや”旅先にへ向かいます。北海道、山梨、岩手、三重、香川、沖縄。そこでは、担当編集者があえて“いやなこと(=面倒臭いこと)”を計画し、やっぱり“いやいや”対応していくことになる。でも“いやなこと”だからこそ、ひとりでは体験しなかったであろう「楽しかった」、「おいしかった」の数々が、より際立ちます。北大路さんの軽快な文章でひと笑いした後は、きっと今まで“行こう”と思わなかった場所へも行ってみたくなるはず。その未来の計画を立てながらニヤニヤするのもまた、楽しいひとときのはずなのです。
心と体を元気にしてくれる本3選、いかがでしたか? 本に癒されたり、救われたり、励まされたり……。そんな体験の一助になれたらうれしいです! 
→ こちらの記事もぜひ! ライフハックBOOKガイド:「ひとりでいると不安ばかりが増してしまう」――そんな時に読みたい、心と体を元気にしてくれる本3選
文/千吉良美樹