12星座全体の運勢

「大きな物語に取り込まれていく」

6月21日の夏至の日の夕方16~18時にかけて、蟹座1度で部分日食(新月)が起こり、晴れていれば日本全国で欠けていく太陽が観測できます。これは日食と新月、そして一年のうち最も日が長くなる夏至が重なる特別なタイミングであり、時代の移り変わりの上でもひとつの節目となっていきそうです。そのキーワードは、「大きな物語」。これは例えば「むかしむかし、あるところに……」といった語りで始まる昔話のように、歴史ないし共同体のもつ空間的・時間的射程の中に自らを位置づけ直していくことで、個人として好き勝手に振る舞う自由を失う代わりに、手で触れられる夢のような生々しい物語の中へと取りこまれていく。今季はそんな"クラい”感覚の極致をぜひ味わっていきたいところです。

牡羊座(おひつじ座)

今週のおひつじ座のキーワードは、「先祖」。

牡羊座のイラスト
一般的に、かつての戦争中には厳しい言論統制で思想が圧殺され、それが敗戦を機にひっくり返り一気に自由な思想が展開されるようになったというイメージがありますが、実際には、戦後活躍した多くの知識人の出発点はむしろ戦争末期から敗戦の年までにあり、困難な状況こそが強靭な思想を鍛えていたのでした。

日本民俗学の父である柳田國男もまた、多くの人の死と直面する中で「日本人の多数が、もとは死後の世界を近く親しく、何かその消息に通じているような気持を、抱いていた」といった日本人のもともとの死生観や霊魂観をたどっていくことで、やがて日本の神は先祖神に由来するということを突き詰めていったのです。

柳田は繰り返し"死者(先祖)との親しさ”という観念について指摘しますが、それは抽象的な理論からではなく、あくまで庶民の生活文化の収集整理を通して、次のように語られました。

第三には生人の今はの時の念願が、死後には必ず達成するものと思っていたことで、これによって子孫のためにいろいろの計画を立てたのみか、更に再び三たび生まれ代わって、同じ事業を続けられるもののごとく、思った者の多かったというのが第四である。」(※傍線は筆者)

父母やさらにその上の世代の"物語”をたどることによって、かえって自分の生きる道が明確に浮き上がることもある。特に今季のおひつじ座には、そうした視座を自分なりに掘り下げ鍛えていくことも必要であるように思います。


出典:柳田國男『先祖の話』(角川ソフィア文庫)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ