彼の名を世に知らしめたのは『刀剣乱舞』をはじめとする“2.5次元”舞台だった。その高い演技力でカリスマ的な人気を誇る俳優・鈴木拡樹さん。活躍の場を広げながら注目を集めている彼が挑んだ新たな舞台『アルキメデスの大戦』。

数字をキーワードに、舞台にかける熱い想いと素顔をひもときました。
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シャツ・パンツ/パッゾ(Request) 靴/スタジオ ファブワーク(+TSUBASA) メガネ/リュネット・ジュラ 青山グラン店 靴下/スタイリスト私物

1:「これだけは嘘をつかない」といちばん信じているもの

『アルキメデスの大戦』で僕が演じる櫂 直は「数字は嘘をつかない」と信じている人。僕はそこまで確たるものを持っていなくてどちらかと言えば「一度は疑う目を持とう」と考えるタイプなんです。その理由は「迷いなく心から信じたいから」。人であっても、作品であっても、共に前に進む時は心の中で「信じる?」、「信じない?」と自問自答。信じると決めたのならば何があってもそれを受け入れる。中途半端は迷いを生む。だからこその覚悟づくりの作業というか。まあ、ただの保身なのかもしれませんが(笑)。
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0:ゼロから始まる役づくりのセオリー

ひとつの役をいただいた時、僕はその役を自分の親友のように考えるんです。性格、普段のクセ、何に興味を持ち、何を大切にして生きているのか……その人がどんな人物なのか、誰よりもよく知っている立場に立つ。相手のことを深く知っていれば、舞台やカメラの前で不測の事態が起きた時もとっさにカバーすることができる。血縁者ではないけれど、いちばん近くにいる親友。その距離感を大切にしています。
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1/100:100年にひとりと称される天才になれるとしたら

櫂 直は「100年にひとり」と称される数学の天才。彼のように、誰よりも秀でた才能を手に入れることができるのならば、それは“器用”ですかね。器用さが欲しいです。僕は不器用のかたまりのような人間なので。何をするにもすぐに会得することができない。手に入れるのは何度も何度も練習を繰り返した先。できないことが少しずつ形になっていく、その過程を楽しんでいる自分もいるのですが、やっぱり、器用な人には憧れがあります。
INFORMATION
このインタビューは公演中止発表前に行われたものです。6月30日から上演予定だった舞台『アルキメデスの大戦』は全公演中止となりました。詳細は公式ホームぺージにてご確認ください。■https://www.tohostage.com/archimedes/

PROFILE
すずき・ひろき●1985年6月4日生まれ。大阪府出身。2007年、テレビドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビュー。劇団☆新感線『髑髏城の七人 Season月《下弦の月》』や舞台『刀剣乱舞』シリーズなど舞台を中心に活躍。映画『死神遣いの事件帖-傀儡夜曲-』が公開中
取材・原文/石井美輪 撮影/新田君彦 ヘア&メイク/AKI スタイリスト/中村美保