マンガをこよなく愛し、マンガと共に生きてきた内田理央。そんな彼女がテーマにそった2冊を紹介する「#ウチダマンガ店」。今回、内田理央が「終戦記念日を前に読んでほしい」と選んだのは、戦争を取り扱ったふたつの作品。平和を考えるきっかけに。

【vol.05】平和の尊さを知るマンガ

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「この機会に、戦争マンガを読んでほしいなと思って、この2作品を選びました。どちらも優しいタッチの絵で、苦手意識のある人やあまり読んだことがない人でも挑戦しやすいマンガです。『ペリリュー』の主人公は、優しくて臆病なタイプ。だからこそ自分とも重ねられて、“私がこの状況に置かれたら、どうするだろう”と考えるきっかけになります。『凍りの掌』はシベリア抑留の話。主人公は極寒の中、満足な防寒具もなく、過酷な労働を強いられるんです。絶望の中でなんとか生きようとしている主人公を見ていると、こんな平和な時代に生まれた私が弱音を吐いてる場合じゃない! と気が引き締まります。どちらも主人公が今を生きる私たちとどこか似ているから、理解しやすい。教科書で読むだけだと、出来事や数字の羅列で、そこにいたひとりひとりの人間のことはわからないじゃないですか。でも、身近に感じられるキャラクターが主人公のマンガを読めば、自分みたいな若者が戦争の中で生きていて、そこには葛藤や弱音があったんだとわかる。共感もしやすい。ごく普通の人々が過酷な状況に置かれることが“戦争”なんだと実感できます。平和の大切さを語り継いでいくひとりとして、戦争の作品に触れることは大切だと思っています」(内田理央)

(右)『凍りの掌』(左)『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』

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(右)小澤昌一は終戦後、シベリアの荒野へと向かわされ、収容所で過酷な重労働を課される。『新装版 凍りの掌 シベリア抑留記』おざわゆき(講談社 ¥880)

(左)漫画家志望の兵士・田丸は、ペリリュー島でサバイバルしながら米軍と戦うが……? 『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』武田一義、平塚柾緒〈太平洋戦争研究会〉(白泉社 1〜9巻各¥600)
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取材・原文/東 美希 撮影/横山創大(モデル) ヘア&メイク/川添カユミ(ilumini.) モデル/内田理央(モア専属) スタイリスト/辻村真理