日本郵政グループの女子陸上部キャプテンとしてチームを牽引する27歳。世界の舞台で戦ってきたトップアスリートが実践する、前向きでいるための秘訣とは。
「日本郵政グループ女子陸上部」キャプテン
鍋島莉奈 選手
“ ネガティブになった時は一度、思いきって諦める。
また前に進んでいくために必要な作業だと思います。”
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鍋島選手の主戦場は、1周400mのトラックを12周半走る5000mと25周走る10000m。スピードと持久力、そして試合運びの戦略も要求される過酷な競技だ。

「私自身、走っているうちに『いったい、何が楽しいんだろう?』って思うことがあるんです(笑)。走ることが好きで好きでしょうがない選手もいるけれど、私にとってはやっぱりつらいことのほうが多い。それでも競技を続けられているのは、いい結果が出た時の喜びが何よりも大きいからだと思います」

たったひとりで走る陸上は孤独な個人競技に思えるけれど、実は“究極の集団スポーツ”だと言う。

「高校の恩師がそう言っていたんです。たしかに、ひとりでは乗り越えられないつらい練習も仲間がいるからこそ『もうちょっと頑張ろう』と踏ん張ることができるし、ライバルがいるからこそ負けたくないと思える。チームメイトが大きな心の支えになっていると思います」

後輩からイジられることもあるという鍋島選手。そのキャラクターはとにかく明るくておおらかだ。

「基本的にはポジティブなんです。でもケガで走れなくなってしまうととことんネガティブになってしまいますね。そういう時の対処法は、とりあえず一度、走ることを諦めること。実際、無理を押してトレーニングをしてもいい効果は現れにくいんです。ケガで落ち込んでいる状態だということを認めて一時休止することは、結果的に心の状態を取り戻すポジティブな作業だと思っています。みなさんも、壁に直面した時は、勇気を出して立ち止まってみてください!」
 Rina Nabeshima  1993年12月16日生まれ、高知県出身。中学から陸上を始め、2016年の大学卒業と同時に日本郵政へ入社。日本陸上競技選手権大会では、2017年・2018年に5000m、2019年に10000mで優勝。

鍋島選手に質問! 自分らしくいるためのヒケツ

大舞台でどうしようもなく緊張したり、大好きなものに囲まれてリラックスしたり。アスリートの飾らない素顔に、共感必至!
レース中のりりしい表情もステキ!
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5000mや10000mは長いようでいて、実は数十m単位での戦略が勝利のためには必要だそう
鍋島選手のストレス解消法は?
あえてボーッとする自分だけの時間を確保するようにしています
ギュギュッとやるべきことを詰め込んで休む時間を確保するくらい、オンとオフはしっかり切り替えています。オフの時間には、チームからの連絡が来てほしくないくらい(笑)。あえて陸上のことは考えずに映画を観たり、大会が終わったら行ってみたい焼肉屋さんを調べたり、大きな抱き枕を抱えてボーッとしたり。最近好きなのは韓国ドラマ。今さらですが、後輩に『愛の不時着』をおすすめしてもらってめちゃくちゃハマってます(笑)。
モチベーションを上げるためのアイテムはある?
お気に入りのアクセサリーを身につけてニヤニヤしています!
アクセサリーが好きなので、遠征中でも必ずひとつはつけていくようにしています。今しているのは3年前に買った『ティファニー』のスマイルペンダント。好きなものを身につけているだけで気分も上がるし、頑張ろうって思えるんです。女子選手の中には、レースや強度の高いハードな練習の前にメイクをしっかりして気分を上げてから臨む人もいるくらい。海外遠征でも、現地でネイルサロンを見つけて本番前に爪をきれいにしてもらってレースに出る選手もいました。私が出ている5000mや10000mはトラックを周回するだけの競技なので、それぞれの女子選手の個性やこだわりを見つけてみるのも面白いと思います。
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スマイルモチーフがお気に入り
ロンドンで行われた世界選手権の翌年に、ずっと欲しかった念願のペンダントをゲット。自己投資も大きな力に!
スポーツ選手ってどんな一日を送ってる?
毎日5時に起きて朝練! 高校時代からこの生活なのでもう慣れました(笑)
コロナ禍になる前はほとんどを海外や地方でトレーニングしていました。今は東京で寮生活を送っていますが、基本は毎日5時に起きて6時から朝練。その後、午前中と午後にも練習があるので、一日3回走ることが多いです。距離としては一日30km。多い時は40kmを超えることも。もう、走って走って、走ってしかいないです(笑)。この生活がずっと続くわけではないけれど、やっぱり朝起きて仕事をして夕方に帰宅する生活に憧れがあります。
心が折れそうな時、どうやって克服した?
2017年にロンドンで開催された世界選手権は先輩の存在が支えに
普段からあまりプレッシャーを感じないように心がけているのですが、5000mの日本代表として初めてロンドンで開催された世界選手権に出場した時は、どうコントロールしようとしても緊張感が抜けませんでした。世界で戦うということはこういうことかと実感したし、正直、逃げ出したくなりましたね。その中でも助けられたのは、チームメイトの先輩が同部屋だったこと。先輩は毎朝実家から持ってきたみそでみそ汁を作ったり、どんな時でも動じずにマイワールドを貫く人なんです(笑)。一緒に生活できたことで、なんとか精神を保てた気がします。最後のレースを走り終えた時は、それまでの緊張感から解かれて、涙が止まらなくなったほど。重責から解放されて体が軽くなった瞬間でした。
キャプテンとして後輩への接し方のアドバイスはある?
とにかく誰にでも、何に対しても興味を持ってコミュニケーション!
高校を卒業したばかりの選手とは9歳年が離れています。もう、はやっていることや興味があることが全然違うので、あえて「私にも教えて!」と言って積極的にコミュニケーションを取るようにしています。正直、後輩が夢中になっている動画アプリの面白さが、最初はわからなかったんですけどね。それでも、練習以外の場で交流を持つことで、ひとりひとりの性格や個性を把握することができている気がします。私が思ったことをなんでも口にするオープンな性格なので、チームメイトも積極的に意見を言いあえる風通しのよさがあると思います。ただし風通しがよすぎるのか、後輩からこの前、ものすごく辛いカップ焼きそばを食べさせられました……(笑)。

郵政創業150年の日本郵政グループはさまざまな取り組みを行っています

女子陸上部をはじめとした、スポーツの応援
女子陸上部の創部をはじめ、ほかには「3×3 バスケットボール」や「ゴールボール」などの競技への支援を行い、スポーツを盛り上げています。

SDGsへの積極的な取り組み
持続可能でよりよい社会を実現するための17の目標「SDGs」。日本郵政グループは環境に優しい配達方法の採用や全国での植樹などを通じ積極的に参加。
◆Information
創業150年の特別なグッズが当たる!
日本郵政グループ公式Instagram(@japanposthd_official)をフォロー&関連投稿に「いいね!」すると、抽選で郵政創業150年特別グッズが当たるキャンペーンを6月30日まで実施中。詳しくは公式Instagramをチェックしてみて!
日本郵政グループ 公式インスタグラム
●問い合わせ先/日本郵政 オリンピック・パラリンピック室 03・3477・0199
撮影/藤澤由香 取材・文/松山 梢 構成・企画/渡辺真衣(MORE) 写真協力/アフロ