It girlの「私の履歴書」

選んだ生き方にこそ、センスが表れる

生きることは、選ぶことの連続。「センスがいい」と憧れられる女性たちは、どのように選択し、自分らしく輝いているのか。この新連載でひもといていきます。第1回は、人気ブランド『louren(ローレン)』のディレクター・佐藤涼実さんが登場。

佐藤涼実(さとうすずみ)さん

IT企業で働きながら、ECブランドを立ち上げ! 夢だった店舗もオープン

佐藤涼実さん
Job :
『louren』ディレクター、デザイナー
Profile :
1994年生まれ。2018年、アパレルブランド『louren』を立ち上げ、ディレクターとして活躍。
https://louren.jp/

History

2017
4年制大学のデザイン工学部を卒業。その後、新卒で入った会社でWEBデザイナー職に
2018
ECサイト中心のアパレルブランド『louren』を立ち上げ。当初は副業としてスタート
2020
新卒で入社した会社を退職。独立し、『louren』のディレクター、デザイナーを本業にする
2021
東京・恵比寿に『louren』の実店舗をオープン。立ち上げ当初からの夢を実現

佐藤涼実さんの選択

“正解はわからないけど、自分次第で選んだ道を正解にはできる”

佐藤涼実さん
WEBデザイナーとして企業勤めをしながら、並行してアパレルブランドを立ち上げた彼女の経歴を聞くと、変化を恐れないチャレンジングな性格に思える。「そんなそんな、私はもともと安定志向で心配性なんですよ」。彼女が口にしたのは、意外な言葉だった。

「最初にディレクターの話をいただいたのは、社会人1年目の頃。実は、その時は一度見送らせていただいたんです。昔からデザインやモノづくりは好きでしたが、会社員をやめてどうなるかわからない道を選ぶのは怖かったですし、本業の仕事に慣れていない1年目の私に両立するのは難しいと思いました。でも、2年目になり業務をひととおり経験すると、“ディレクターをやってみたい”と前向きな気持ちに。自分から1度『やりたい』と伝えたら、もう後には引けないと思い、あえて自分に責任を課して1年越しでお受けしました」

その後、本業としていた会社を退職。

「少しずつですが、事業が軌道に乗ってきたこと、約2年間の経験が背中を押してくれたこともあり決断できました。独立後も試行錯誤することばかりでしたが、自分にしかできない、唯一無二の仕事は新鮮で楽しいんです」

独立してからはさらにアンテナを張り、自分の直感を磨き続けたという。

「私がいちばん大事にしているのは“飽きられない”こと。そのためには、ただ流行を追うだけではなく、自分の頭の中の引出しを常に満タンにしていたいと思っています。たとえば、男女問わず街中を歩いている人のファッションを観察したり、好きなお店の内装や照明、インテリアを見たり。素敵だと思ったものはスマホのメモ帳に細かくメモし、すぐに思い返せるようにしています」

その“書きグセ”は、アイデア出し以外にも生かされている。

「仕事やプライベートの目標も紙に書いて冷蔵庫に貼っています(笑)。アナログですが、やりたいことがブレないので。迷った時は紙を見てがむしゃらに行動。私はそうやっていつも、選んだ道を気合で正解にしている気がします」

“私にしかつくれないブランドでお客様の魅力を引き出したい”

佐藤涼実さんがディレクターをする『louren』
「きれいなシルエットやさりげない肌見せで女性の隠れた魅力を引き出したい。そんな想いをこめてデザインしています。来店されたお客様にも服を着た時と同じ高揚感を味わってほしくて、天井を高くして開放感を演出したり、新作アイテムに合ったお花を選んだりと空間づくりにもこだわります」(佐藤さん、以下同)
佐藤涼実さんの働き方
「ひと言でディレクターといっても仕事内容は多岐にわたります。デザインやパターン、生地の打ち合わせ、サイトの管理まで……今はほかのスタッフと一緒に行っていますが、立ち上げ当初はひとりで手探り状態でした。お客様がECサイトメインで商品を選ぶ分、私にはすべての工程をきちんと自分の目で確認する責任があると思っていて。たとえば生地も、1回目のサンプルの時点から、データではなく実物を確認するなどこだわっています」

Suzumi’s OSHIGOTO STYLE

FASHION

佐藤涼実さんのファッション
「持ちものと同様ファッションも基本はシンプルベースですが、細部に遊び心があるアイテムを選んだり、小物でハズしたりするのが好みです。スーツ着用のお取引先の方と会う日はフォーマルめに、ファッション系の方と会う日はエッジをきかせるなど、TPOを重視」

MAKE-UP

佐藤涼実さんのメイク
「“似合う”を追求し落ち着いたのがブラウン系メイク。はっきりした顔立ちなので、ラメは使わずこっくりカラーで上品に」

BAG

佐藤涼実さんのバッグの中身
「『A VACATION』のバッグの中身はミニマム。ブランドの顔として見られる立場なので、クセのないシンプルなアイテムを選ぶようにしています」

Private

佐藤涼実さんのプライベート
「こだわりを詰め込んだ新居で過ごす時間が至福。特にテラスは、開放感があって落ち着きます。仕事が終わった後のお酒が特別おいしく感じるんです」
撮影/山根悠太郎 取材・原文/宮田彩加 構成・企画/西脇素子(MORE)