【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——佐田真由美さん

同世代の憧れを一身に集めカリスマモデルとして注目を浴びた20代を経て、女優として、ディレクターとして、多彩に活躍の場を広げてきた佐田さん。そのパワフルな人生の原動力とは?

2022年MORE9月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

「“誰か”や“何か”のせいにしない。自分の道は自分自身で切り開く」

佐田真由美さんインタビュー「20代は自分の画像_1
「自分の世界は自分でつくるものだと思う。ならば、私はポジティブな世界の住人でありたい」

タンクトップ¥7700・スウェット¥35200/ボウルズ(ハイク) パンツ¥29700/ラルフ ローレン(ポロ ラルフ ローレン) ブレスレット¥30800・リング(右手)¥30800・(左手人さし指)¥28600・(左手小指)¥19800/エナソルーナ ネックレス/本人私物 靴/スタイリスト私物

20代の頃

佐田真由美「私が雑誌『ViVi』のモデルとして活動し始めたのは20歳の頃。当時は雑誌がとにかく売れる時代だったから、撮影現場も常にエネルギッシュで。お正月休み以外は毎日、早朝から夜まで撮影が続くハードスケジュールでした。月に1回は必ずと言っていいほど海外撮影へ行っていたし、たった数ページの撮影のために約20時間かけてジャマイカに飛んだことも。

一方で、仕事だけでなく遊びもちゃんと頑張ってました(笑)。いつも、遊ぶ時は女子だらけの女子校ノリ。派手な印象を持たれがちなViViモデルですが、実はみんな真面目なんです。長いおつきあいの彼がいる子がほとんどだったし、遊び場に男っ気は皆無。「なんで浮いた話がないんだろう」って、よく話していましたからね(笑)」
2002年8月号『ViVi』
たびたび表紙を飾った『ViVi』が原点。これは24歳の頃
2002年8月号『ViVi』

30代の頃 ——20代につくった教科書を手に大人の道を歩き始めた30代

佐田真由美「体力も気力もあるうちに仕事も遊びもひたすら頑張る。振り返ると、20代はとにかく経験を積んで自分のベースとなる“教科書”をつくるための時間だったような気がします。

モデルの世界は華やかに見えるけれど、実はとても厳しい世界。なんの保障もなければ、明日どうなるかもわからない。周りの期待に応えることができなければ仕事はどんどん減っていく。そんな環境の中でいろんな人の背中を見ながら、ときに自分自身も失敗しながら、20代は本当にたくさんのことを学びました。信頼関係の大切さや、自分の心身のバランスを整えることの大切さ、学んだことはたくさんあるけれど、いちばんの学びはやっぱり“誰かのせいにしないこと”。人生にはうまくいかないことや、思いどおりにいかないことが必ずあるもの。それを誰かや何かのせいにしている限り前に進むことはできない。自分の道は自分自身で切り開いていかないといけないんですよね。

そんな私が30歳目前に始めたのがジュエリーブランド『enasoluna(エナソルーナ)』でした。幼い頃から大好きだった鉱石や宝石を長く愛せるジュエリーにしたい。話題性で売るのではなく、商品をちゃんと愛してもらいたいからこそ、すべてを他人任せにせず、自分で勉強しながら小さな規模でブランドをスタート。そして、気づけば今年でもう16年目。本当にありがたいことです。

30代は出産と子育ても経験。毎日は忙しく過ぎていって……。ひと言で表現すると「時間が足りない!」時期でしたね(笑)。でも、30代はその後に続く40代や50代の“道標”になる時期。いろんな経験をしながら“この先の自分”を考えることができた、それはとても大切な時間だったと感じています。モデルの仕事と家庭の両立だけでも大変なのに、さらにほかの仕事を増やしていく。その言動力を尋ねられたら、答えは「老後に楽しいことがしたいから」なんです(笑)。年を重ねても楽しく過ごしている先輩たちを見ると、やっぱり若い頃はすごく頑張っていて。つまり、自分も頑張らないとそこにはたどり着けないわけで。そう考えると今の苦労も楽しくなるというか。「老後のため」ってネガティブにとらえられがちだけど、私は全然そう思わない。それどころか、“老後”という未来を楽しみに進むのはすごく素敵なことだと思っています」

45歳の今

佐田真由美「最近ではエシカルブランド『neemee(ニーミー)』もスタート。45歳の私も変わらず楽しく忙しく自分の道を切り開いています。そんな私から読者世代にアドバイスがあるとしたら、それは「ポジティブな妄想力を鍛えよ」。たとえば、周りの視線を気にして「私は可愛くない」、「性格が悪い」と落ち込む日があるとする。でも、それってたいていが自分の思い込みなんですよね。他人がどう思っているかなんて、その人にならない限り一生わからない。つまり、自分の世界は自分の思い込みでつくられているんです。だったら、それをポジティブな世界につくり変えませんか? どうせ自分の考えも他人にはわからないんだから「自分は可愛い」、「いいやつだ」とコッソリ思ってていいんですよ。そうやって生きたほうが絶対に楽しいし、自分も輝ける気がするんです」

悩める読者へのアドバイス

好奇心の扉を開けると毎日はより楽しくなる
佐田真由美「知りたい、経験してみたいなど、好奇心もまた私の原動力。30代は着物に出合い歴史や文化にまで興味を持つように。毎日がつまらないと思うなら、まずは着たい服を着てみる、それだけで何か変わるかもしれませんよ?」

PROFILE

Mayumi Sada
1977年8月23日生まれ、東京都出身。スカウトをきっかけに3歳からモデル活動をスタート。雑誌『ViVi』の専属モデルとして絶大な人気を誇り、同世代のカリスマ的存在に。以降、女優、デザイナーなど多岐にわたり活躍。今年の8月に45歳を迎える。2児の母
Sada's 45years
3歳  モデルとして活動スタート
21歳 雑誌『ViVi』の専属モデルとなる
23歳 シングル『pray/discovery』で歌手デビュー
26歳 映画『天使の牙B.T.A.』で女優デビュー
28歳 ドラマ『花より男子』出演
29歳 ジュエリーブランド『enasoluna』を立ち上げる
31歳 結婚
    第一子出産
33歳 第二子出産
43歳 エシカルブランド『neemee』をスタート
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撮影/TISCH(MARE) ヘア&メイク/平元敬一 スタイリスト/樋口かほり(KIND) 取材・原文/石井美輪