【創刊45周年特別連載】45歳。私が選ぶ道 ——小雪さん

今回のゲストは20代の頃、その美しさと抜群のプロポーションで時代の顔となった小雪さん。今も変わらないタフでしなやかな存在感は、確かな経験の積み重ねるによるものでした。

2023年MORE1月号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

「自分と向きあった留学体験が、今、大きな財産になっています」

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「今は東京と北日本の2拠点生活。子どもたちには、自然の中で、命の尊さを学んでほしいですね」

ベスト¥51700・パンツ¥69300(2点ともイレブンティ)・ブラウス¥108900(バンフォード)/三喜商事 靴¥22000/チェルキ(マカレナ) ピアス¥352000・ネックレス¥484000・リング¥1265000/ブチェラッティ

20代の頃

学生時代は部活でずっとバレーボールをやっていて、毎日練習に明け暮れていました。華やかな世界とは無縁だったんですけれど、高2の時、友達に「non-noモデルに一緒に応募して」とお願いされてオーディションを受けたら、受かってしまったんです。

高校卒業後は看護学校に行く予定だったので、モデルの仕事はアルバイト的にやればいいと思って始めたのですが、仕事がどんどん忙しくなり両立が難しくなって。このままではどっちも中途半端になると思い、20歳から本格的にモデルの道へ。その後、女優としてもデビューしました。

できないというふがいなさが、 逆にモチベーションになった

そこからはもうひたすら走り続けていましたね。悩んで立ち止まるというより、試行錯誤しながら突き進む感じ。モデル同様、女優もまったくの未知数でしたけれど、うまくできない自分のふがいなさを知ると、「どうしたらうまく演じられるんだろう」とまた興味がわいてくる。その繰り返しでした。

でも、20代後半、心と体がすっかり疲れてしまって。女優をしていると、役の中では生きているけれど、実生活がすごくおろそかになってしまうんです。それで自分を振り返る時間が必要だと感じて、数カ月お休みをいただいて海外へ。ただのバケーションではなくて「学び」が欲しかったので、一般家庭にホームステイをしながら語学や文化的なことを学んだり、料理をしたりして過ごすことで自分を取り戻すことができました。この時お世話になったホストファミリーの方々とは、いまだに交流があって、海外に行った時には会ったりしています。子どもの話や人生の価値観など深い話もできて、まるで家族のような関係に。留学時の経験が今の自分にとって、とても大きな財産になっています。
小雪さんインタビュー「できない理由を探すの画像_2
「29歳の頃。映画やドラマの作品が続き、濃密な日々でした」
2006年『MAQUIA』5月号 撮影/富田眞光(vale.)

30代の頃

34歳の時に結婚して、3児の母になってからは、ほぼ子育て中心の生活です。子どもたちに何をしてあげられるかなと考えた時、一緒に遊ぶとか、そばにいるということのほかに、私は自分のエネルギーが入ったものを食べさせてあげたいという思いがあって、食べ物はできるだけ手作りしています。みそを造ったり、砂糖の代わりに甘酒を使って煮物を作ったり。日本の伝統的な食事ですね。子どもたちもシンプルな味が好きで、「秋だかられんこんがおいしいね」なんて喜んでいます(笑)。

私がこうなったのは母の影響が大きいですね。母は毎年梅干しを漬けていたし、夏にはしそジュースを作ったりと、なんでも作る人で、おかげで私もとても健康に。何より食べ物がしっかりしていると気持ちも安定してきます。

子どもたちも料理好きなので、娘と一緒に煮干しやカツオでだしをとったり、お庭からねぎをとってきたり。話しながら料理していると、とてもいいコミュニケーションになるし、何品か作れるようになったらひとり暮らしでも不自由しないはず。子どもには早く自立してほしいと思っているので、今はその訓練中なんです(笑)。

45歳の今

40代になって、東京と北日本の2拠点生活を始めました。もともと夫が田舎育ちで、地方でゆっくりしたいという思いがあったのと、子どもたちとも自然の中で暮らしたいと思ったんです。最近は夫と共に、害獣駆除で捨てられるシカやイノシシなどの獣皮をアップサイクルするプロジェクト『momiji(モミジ)』を始めました。革ジャン、帽子、手帳、スリッパなどを作っています。環境負荷を配慮したものづくりと安定した雇用創出のため、国内で一貫する仕組みづくりが今後の目標でもあります。地球の未来を考えた時、社会や環境に還元する生き方をしていきたいし、幸いにも私たちは声をあげたら誰かに聞いてもらえる立ち位置にいます。みなさんが『momiji』の製品を通じて自然環境を見つめ直し、自分ができることは何かを考えるきっかけになれたらうれしいです。

悩める読者へのアドバイス

できない理由を探すより、まずはやってみよう!!
私はモデルも女優も興味がなかったけど、やるうちに、そのおもしろさに気づきました。だから「ヤダな」、「やりたくないな」と思っていることをやってみると意外と勉強になります。まずはトライを!!

PROFILE

Koyuki
1976年、神奈川県生まれ。モデルを経て、1998年に女優デビュー。代表作にハリウッド映画『ラスト サムライ』、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなど。近年はドラマ『きょうの猫村さん』、Netflix『全裸監督』での演技も話題に。主演映画『桜色の風が咲く』が公開中
Koyuki’s 45years
18歳 『non-no』専属モデルになる
21歳 『恋はあせらず』でドラマ初出演、女優デビュー
23歳 パリコレデビュー
26歳 『きみはペット』でドラマ初主演 
        映画『ラスト サムライ』のヒロイン役でハリウッドデビュー
27歳 エランドール賞新人賞、橋田賞新人賞、
       日刊スポーツ映画大賞主演女優賞を受賞
29歳 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で
       日本アカデミー賞優秀主演女優賞受賞
34歳 結婚
35歳 第一子出産
36歳 第二子出産
38歳 第三子出産
(主な活動の一部を抜粋)
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撮影/神谷愛実(TRIVAL) ヘア&メイク/美舟(SIGNO) スタイリスト/カドワキジュン子(impress+) 取材・原文/佐藤裕美 ※MORE2023年1月号掲載