【インタビュー】太鼓芸能集団『鼓童』にハマれ!(前編)
今、MORE世代女子にじわじわ広がる和ブーム。6月号の「和ガール」特集では、相撲や落語、歌舞伎などにハマる女子たちとその魅力を紹介しましたが、まだまだあります、 おすすめが! その一つが和太鼓。大地を震わせ、肚の奥に直接響くそのリズムに、日本人なら血が騒ぐこと間違いなし! そんな和太鼓に演劇的な要素も取り入れ、日本のみならず世界の舞台で高い評価を得ている注目の集団、それが『鼓童』(こどう)なんです。今回はその本拠地・佐渡島から、新作に向けて稽古にはげむ若手イケメンメンバー3人のインタビューをお届けします!
東京から新幹線や船を乗り継いで5時間ほどの、佐渡の山あいにある“鼓童村”。稽古場に到着してみると、坂東玉三郎さんと鼓童メンバーがまさに創作の真っ最中! 歌舞伎界最高の立女形にして人間国宝の玉三郎さんは、実は鼓童の芸術監督でもあるんです。今回、多忙な玉三郎さんが佐渡に滞在して新作の演出をなさる、貴重なタイミングでの取材でした。
「日本の人たちにこそ、邦楽のよさを再発見してもらいたい!」
午後の稽古が終わった夕刻、インタビュールームに最初に登場したのは漆久保さん。太鼓はもちろん、笛の名手としても活躍中! MORE/はじめまして!よろしくお願いいたします。漆久保さんは、今日は他のお二人とは別のお稽古をなさってましたね。 漆久保/はい。鼓童はいくつものチームに分かれていろいろな公演をおこなっているので。ぼくは6月からの『ワン・アース・ツアー』と、全国の学校を回る交流公演の稽古をしていました。 M/『ワン・アース・ツアー2015 〜永遠』は全国ツアーですね。交流公演というのは? 漆/子供たちに和太鼓に触れてもらうのが目的でずっと続けている公演です。子供は反応がすごく素直で、目をまんまるくして見てくれますよ! この公演がきっかけで和太鼓を始めたり、鼓童に入りたいと思ってくれる子もいるので、嬉しいですね。 M/海外公演もたくさん経験なさってますが、国内、海外、さらに子供向けと、見せる相手によって気持ちの違いはありますか? 漆/例えばニューヨークやパリのお客さんは芸術に対して非常に目と耳が肥えていて、生半可なことでは納得していただけません。子供とは違う意味で反応がストレート。それがよくも、怖くもあります。でもぼく個人としては、一番やりがいを感じるのは日本国内の公演なんです。日本の人たちにこそ、邦楽のよさを再発見してもらいたいので。気合が入ります!
ここで坂本さん、住吉さんが合流。お二人は玉三郎さんと一緒に、11月発表予定の新作『混沌』の創作に取り組んでいます。 M/みなさん、改めてお稽古お疲れ様でした。拝見しましたが、すごい迫力でした! 3人/ありがとうございます。 M/新作の公演はまだ先ですが(取材時は4月末)、今の段階での完成度は? 坂本/まだまったく。何%できているのかもわからない状態です。 M/新作を作る場合は、最初に全体図があるのでしょうか? 住/まず楽曲があって、そこに玉三郎さんが演出を加えるのがいつものスタイル。それが今回は、一から一緒に作ることになって。お互いに「さあ、どうしよう?」と。 坂/稽古の中から作っていっている感じです。点と点を結んで線にして、その線を“スルメのように”広げていく。“スルメのように”は玉三郎さんの表現です(笑)
稽古とはいえ、何種類もの太鼓や打楽器が、繊細に、ときに大音量の連打で迫ってくる演奏は大迫力! 玉三郎さんの指示だけでなく、メンバーからの意見も自由に飛び交い、作品が少しずつ姿を変えていく様子は見ているだけでエキサイティング。 M/『混沌』という新作のタイトルは玉三郎さんが? 坂/はい。でもそれが何を意味するかは、まだ見えていませんね。 住/西洋打楽器、つまりドラムを取り入れたいというアイデアだけは最初からあったんですが、それ以外はまだ混沌としています(笑)。 M/住吉さんが指揮者のように演奏をリードしていましたが、あれはいつもですか? 住/あのパートは昨日ずっとやっていて、ついに何も“起こらなかった”んですよ。 M/何も、とは? 住/産みの苦しみですね。みんなで一日中悩んで。でも最後の最後に僕が、ある楽器を使ってみてはと提案したら、玉三郎さんが「はいできた!」って(笑)。それで僕が今日までにまとめてくる宿題になっていたんです。
「玉三郎さんには、自分たちの常識がどんどんひっくり返される!」
取材の日の稽古は非常に順調に見えたものの、そこは芸術作品を生み出す現場。日々、試行錯誤が繰り返されている様子。それにしても、素人にはまったく意味がつかめない玉三郎さんの直感的な指示に、メンバーが瞬時に反応して動くそのスピードと反射神経は、見ていてすごい!のひと言。 M/玉三郎さんが芸術監督に就任されて3年、その間にコミュニケーションの仕方に変化はありましたか? 坂/演出していただくようになって、実際は10年以上になります。最初はとまどうことも多かったですね。玉三郎さん自身の言葉を借りると、“あまのじゃく” なやり方をなさるので。「こうじゃなきゃいけない」という決まりごとがお嫌いで、自分たちの常識がどんどんひっくり返されるんですよ。「え、このバチで打つんですか!?」というレベルから。 M/今では、あうんの呼吸に見えます。 住/慣れたこともありますが(笑)。 坂/やはり感覚が非常に鋭い方で、「このほうがいい」とおっしゃることは、最初こちらが疑問に思っても、実際やってみると確かにいい。その積み重ねですね。 M/そんな玉三郎さんと一から作る新作、見どころは? 坂/まだ詳しくはお伝えできませんが、ドラムは注目してほしいですね。僕自身、バンドでドラムをやっていた経験があり、和太鼓とのコラボは正直難しいと思っていたんです。その違和感がどう馴染んでいくか、自分自身も楽しみです。 住/ドラムが本当に登場するか、まだわからないですけどね(笑)。
3人とも、すごく気さくでトークも軽妙なMORE世代男子。でも太鼓を打つ姿は、エネルギーに満ち溢れていてものすごくかっこいい! 次回のインタビュー後半は、そんな彼らの修行時代のお話をメインに伺います!
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