ブレイディみかこさんと「恋愛・結婚のモヤモヤ」について座談会!結局、何が正解なの?
エッセイ連載「心を溶かす、水曜日」拡大版
ブレイディみかこさんと20代女子の誌上愚痴座談会、開催!
ブレイディみかこさんとMOREが定期的に開催している、20代読者との座談会の様子をお届け! みんなはモヤモヤにどう向きあってる? ブレイディさんを囲んでゆるっとトークしました。
私たちのモヤモヤを“愚痴る”会、スタート!
\参加メンバー/
Aさん
企業で企画・広報を担当する29歳。春頃に転職を予定している
Bさん
新卒からIT企業の人事部で働く入社3年目25歳。もうすぐ入籍予定
Cさん
広告関連会社に勤務し、現在は企画を担当。入社5年目の27歳
モア編集部W
入社8年目、モア編集部歴3年の30歳。愛犬との生活を楽しむ
恋愛と私たちのモヤモヤ……
恋愛も結婚も出産も自分以外の誰かと比べてモヤモヤしがちなのが20代。ついつい周りがうらやましくなった時、どうする?
編集W:20代は、結婚するのか? 子どもを産むか? 人生の分かれ道に遭遇しがちですよね。
Cさん:仲のよい子の結婚や出産は素直に祝福できるけど、特に親しくない人の幸せ報告がSNSから流れてくると、私って少数派なのかも? と、焦ることはあります。
Aさん:地元では、結婚のピークが過ぎて出産ラッシュ。私も結婚したいし、子どもも欲しいけれど、マッチングアプリで出会った東京在住の彼とは、交際してまだ半年。それに私も新しい仕事がある程度落ち着かないと、具体的には考えられないなと。モヤモヤと言えば、彼の年収が私より低く、デート代をおごってくれようとするけど、なんだか申し訳ないし、「私が払うよ」と言ったらプライドを傷つけてしまいそうで。
編集W:彼とは大学時代から4年半交際していて、現在は婚約中のBさんに、意見を聞いてみましょうか。
Bさん:はい。今は同棲していて5月に入籍予定です。交際当初からオープンな関係で、「これはOK」、「あれはイヤ」を素直に伝えていました。
Aさん:なるほど。結婚を考えているなら、違和感は解消しておくべきですね。あ、私の親友の話をしてもいいですか? 結婚前提で同棲していた彼が、相談もなく勢いで仕事をやめてしまって。結局は「将来的に安定しなそう」という理由で別れたんです。歴代の彼とも、目につく部分が肥大化してイヤになって別れるのを繰り返していて。彼女自身、何をもってこの人なら大丈夫なのか? わからなくなってしまったみたいです。
Bさん:私の基準は困っている時にどれだけ真剣に向きあってくれるか、ですね。一緒に生活していくので、何かひとつでも違和感があったら、無理かもしれません。
ブレイディ:完璧なマッチングは不可能で、どんなに素敵な人とつきあったり結婚しても「おや!?」と思うことは必ずあるんですよね。自分にとって何がいちばん大事かを突き詰めたら、ほかの部分は歩み寄ったりフォローする。いろんな学び方があるけれど、Aさんの親友は失敗を繰り返して学んでいくタイプなのかもしれませんね。
編集W:婚活中の20代は、「ほかにもっといい人がいるかも!?」と理想の相手探しの旅に出ている子も少なからず存在します。
ブレイディ:現実と向きあって経験を積むうち、諦めがつくというか、賢くなるのかも(笑)。
彼のご家族とのつながりにモヤモヤ
Bさん:今のところ彼に不満はないけれど、彼のご実家のことで少し心配が。彼の出身が地方で、私の家にはなかった家族や親戚とのつながりや交流が非常に深く、「大丈夫かな?」と不安になることも。私としては、お盆やお正月は「それぞれの実家でゆっくりしてこよう」くらいのテンションでしたが、そうはいかない感じで(苦笑)。
ブレイディ:そのモヤモヤを、彼には伝えているの?
Bさん:「気にしなくて平気だよ」と言ってくれるけど、そういうわけにもいかないよなぁ、仕事から解放されるお正月なのに、負担だなぁとモヤモヤしています。
ブレイディ:仕事を持つ女性にとって、相手の実家まわりに関する負担って実は大きいですよね。何もやらないと、女性が責められがちだし。したい人はすればいいけれど、どうしても無理なら、ギブアップする時があっていいのかも。その際、彼との意思疎通は大切で、「仕事がつらいから、今年は遠慮させてもらってもいい?」、「ストレスがたまってしまい、友達と飲みにいってもいい?」など、理由を含めて誠実に伝える。相手を大切に思っているなら「いいよ」と言ってくれると思います。
Cさん:私の場合はまだふわっとしていて。結婚願望もあるし、いつかは子どもも欲しいけれど、やりたいことと天秤にかけてみると、今は結婚や出産のタイミングじゃない気が。ただ、その選択をせずに年齢を重ねた時に、後悔や難問も出てくると思うと、何を選ぶのが正解なのか、モヤモヤします。
ブレイディ:年齢を重ねるほど妊娠しにくく、出産リスクが高まるという情報もあるけど、子どもを産むタイミングは人それぞれ。やりたいことをとことん楽しんでからでも遅くはないと思うんです。というのも、保育士の仕事をしていた経験から、「子どもは若いうちに産まなきゃ」など固定観念に縛られると、あとになって「子どものためにあれもこれも諦めた」と親に後悔が残るケースが。やっぱり親が幸せじゃないと、生まれてきた子どもも幸せになれないかもしれない。それに、日本も不妊治療の研究や制度、産後の保障も時代とともに変化しているから、それにも関心を持ちつつ、本当にやりたいことにチャレンジするという選択肢もありかも。
「他人の幸せと自分の幸せは違うものだから比べなくてOK。自分らしく生きていれば、いいタイミングがわかるから」(ブレイディさん)
ブレイディみかこプロフィール
英国・ブライトン在住のライター、コラムニスト。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)など著書多数。本誌では読者との座談会をもとに、20代の現状を独自の視点で切り取ったエッセイ「心を溶かす、水曜日」を連載中
イラスト/Aki Ishibashi 取材・原文/広沢幸乃 ※MORE2023年5月号掲載