友情・恋・社会風刺に、Kゾンビまで堪能できるゾンビアクションスリラー

CONTENTS
  1. 友情・恋・社会風刺に、Kゾンビまで堪能できるゾンビアクションスリラー
  2. あらすじ
  3. ここが見どころ!
  4. ■配信サイト

韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。

今回は、2022年のコロナ禍中に配信され、瞬く間に世界的ヒットを記録。今もなお根強い人気を誇るゾンビアクションスリラー、『今、私たちの学校は...』のあらすじや見どころを紹介します。

今、私たちの学校は... 集合カット

『今、私たちの学校は...』
全12話
出演:パク・ジフ、ユン・チャニョン、チョ・イヒョン、パク・ソロモン、イ・ユミ、ユ・インスほか
Netflixシリーズ『今、私たちの学校は...』独占配信中


あらすじ

突然、謎のゾンビウイルスが蔓延したヒョサン高校。女子高生オンジョパク・ジフ)は、幼なじみチョンサンユン・チャンヨン)たちとともに、ゾンビと戦いながら、命からがら教室へと逃げこむ。途中、同級生のナムラチョ・イヒョン)やスヒョクパク・ソロモン)が籠城する教室に合流。だが、仲間の裏切りに遭う。

教師は頼りにならないうえ、警察も助けてくれない絶望的な状況の中、校内に取り残された生徒たちは、生き残りをかけ、壮絶な闘いをくり広げる。そしてゾンビの恐怖は学校から市区域、さらには国全体へと広まっていき……。

ここが見どころ!

韓国と言えば、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』、ドラマ『キングダム』、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』といった、良質なゾンビスリラー作品が数多く生まれています。
今回紹介する『今、私たちの学校は...』は、ゾンビスリラーのいいところを救い上げ、さらに恋愛、友情、家族の情愛、社会風刺まで盛り込んだ最高のエンタメ作品に仕上げられたシリーズ作品。すでにシーズン2の制作も発表(配信日未定)されており、すでに観た方はもちろんのこと、未視聴の方は、お楽しみ倍増が約束された作品なんです。

今、私たちの学校は... 教師イ・ビョンチャン(キム・ビョンチョル)ソロカット

その発端は教師イ・ビョンチャン(キム・ビョンチョル)の科学室から

一寸先の展開すら予測できないスリル、キレのあるアクション、学校→市街地→国全体と大きく移り変わるスケール感! さらに、“人間VSゾンビ”、“人間 VS人間”の物理的&精神的対決の見事な演出によって高まった「そこでこうくるか!」という中毒性も手伝って、一度観はじめたら、最終話(全12話)まで興奮がノンストップ
 
一気観どころか、シリーズ周回ループに突入したという猛者も少なくありません(まさに自分ですが)。
俊敏な動きや、そのおどろおどろしい見た目に定評のあるK(韓国)ゾンビにビビり散らかしながらも周回視聴を果たした自分が感じた魅力ポイントはこちら。

2つの恋に、きゅん♡

本作は学生たちがゾンビと生き残りをかけて戦うサバイバルスリラーですが、“きゅん”も描かれています! 恋愛モードでの主役は、幼なじみのオンジョ(パク・ジフ)とチョンサン(ユン・チャンヨン)、委員長のナムラ(チョ・イヒョン)と元不良のスヒョク(パク・ソロモン)です。

消防官の父親と2人暮らしのオンジョと、彼女の家の隣に住むチョンサンは、オンジョを慕うピュアな地味男子。序盤はオンジョの尻に敷かれて頼りなかったチョンサンがゾンビ出現後は急成長。危険もいとわずにオンジョや仲間を助け、より魅力的に。そんなチョンサンを見て、自分の本当の気持ちに気づくオンジョ。その恋心の過程に、きゅん! 

一方、ナムラ&スヒョクが絆を深めていく描写も最高です。ずっと周囲に心を開かなかった優等生のナムラが、ゾンビパニック以降、スヒョクに少しずつ感情をあらわに。その様子は、なかなか懐かなかった猫が、少しずつ素を見せてきて、ある日突然、甘えてくる感じに似ていて、きゅん! ナムラ&スヒョクのキスシーンは屈指の美しさです。この場面は17テイク(パク・ソロモン談)も撮ったそうで、そのエピソードを思い出しながらループ視聴するのもアリです。

  • 今、私たちの学校は...   パク・ジフ(ナム・オンジョ役)ソロカット

    ゾンビから逃げる途中で見つけたビデオカメラに、自らの動画を残すオンジョ。

  • 今、私たちの学校は... ユン・チャンヨン(イ・チョンサン役)ソロカット

    チャンヨン覚醒! ギター片手に大切な人たちを守り始める

  • 今、私たちの学校は... チョ・イヒョン(チェ・ナムラ役)ソロカット

    ナヨンの鉄面被は、次第にとれていく。

  • 今、私たちの学校は... パク・ソロモン(イ・スヒョク役)ソロカット

    ナヨンを慕うスヒョクの恋心がいじらしい!

秘密は振り付け⁉ 縦横無尽に“踊る”ゾンビたち

韓国発のゾンビ作品に登場するゾンビは、Kゾンビと呼ばれ、「足が異様に速い」「やたらとガッツがある」「行動が予測不能(orありえない動きをする)」のが特徴。本作も例外ではなく、「関節が全部ハズれちゃった⁉ それとも全部CG加工済み⁉」と、ツッコまずにはいられないKゾンビっぷりを披露。縦横無尽に走り回りながら、生徒たちに遠慮なく襲いかかります。全速力で追いかけてくる不死身(といっても、人間としては死んでいますが!)のゾンビが怖い、怖い、怖い! 

その恐ろしさをより高めているのが、予測不能かつ体幹の強靭さがハンパない、ゾンビの動き。この動きを生み出したのは、なんとダンサーや振付師。「首をカクカクと動かす」「足を八の字にした状態のまま、立ち上がる」といった動作を“振り付け”としてゾンビ役の役者たちに指導し、何度も練習させることで体に覚えさせていったんだとか。それって、まるでカムバック時のK-POPアイドルみたい……。そのエピソードを知ってから、ゾンビに親近感がわきました。ぜひ、あなた好みのゾンビを見つかるかも⁉

なお、本作には人間とゾンビの両方の特徴を備えたニュータイプの“ハンビ” も登場。知能だけでなく、超人的身体能力と回復力を備えているため、物語のキーマン……もとい、キーハンビになるので覚えておいてくださいね。

  • 今、私たちの学校は... 校庭に溢れかえるゾンビ

    学校の敷地内に溢れかえるゾンビたち

  • 今、私たちの学校は... 生徒VSゾンビの対決シーン

    衝突する生徒VSゾンビ! さっきまでのクラスメイトだった仲間がなぜ……

こだわり抜かれた演出、つき刺さる社会風刺

「何度も見ると細かい伏線に気づくでしょう」(イ・ジェギュ監督)という言葉どおり、登場人物たちの何気ない言動が、後々重要なモチーフとなる伏線に何度も驚かされます。
また、舞台となる4階建ての校舎(全長100mも!)は、大型セットで用意。そのカフェテリアで生徒たちが初めてゾンビと対峙するシーンは、なんとワンテイク(カット割りなしで長回しで撮影)! 突然現れたゾンビの群れに、200名もの生徒が食堂で逃げ惑うシーンは圧巻

演出だけでなく、いじめや貧困格差、光州事件(1980年)、セウォル号沈没事故(2014年)を想起させる描写、コロナ禍の現在の状況との類似点など、全編を通して織り込まれた社会風刺にもうなってしまいます。ゾンビの出現という甚大な災害が発生しても、強者の救助が優先され、弱者は置きざりにされる。学校には救助隊も警察もやってこないし、非感染エリアに助けを求める老人と幼女は生たまごがぶつけられ……。必死で戦う子ども(弱者)と、安全な場所から静かに見下ろす大人(権力者)の構図の描き方が秀逸すぎて、胸が痛みます。


  • 今、私たちの学校は... イ・ユミ(イ・ナヨン役)ソロカット

    死を恐れ、自分を正当化するために過ちを犯し、孤立するナヨン役を演じたのは、『イカゲーム』でジヨン役を演じた、イ・ユミ。

  • 今、私たちの学校は... 授業中の平和なひとコマ

    授業中の平和な場面。ゾンビパニックの前と後のギャップがすごい

なぜ胸が痛むのか。それはきっと、ドラマの世界が、私たちの生きる現実世界とリンクしているから。「若者たちは生き延びることができるの?」「大人たちは彼らを助けるの?」は、そのまま、自分たちに問われているようで、何度も観てしまうのかも。
観れば観るほどに新しい発見がある本作、ぜひご視聴くださいませ。

■配信サイト

『今、私たちの学校は...』
全12話
Netflixシリーズ『今、私たちの学校は...』独占配信中

今、私たちの学校は... | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
ライター
中川薫

Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。最近の趣味は「各国でローカライズされた韓国料理を食べること」。