ヌナ呼びも悪くない、というか呼ばれたい!

韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。今回は、韓国に年下男子ブームを巻き起こしたチョン・ヘインの出世作『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』のあらすじや見どころを紹介します。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん

『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』
全16話(配信:全24話)
出演:チョン・ヘイン、ソン・イェジンほか
発売元:アクロス / 松竹 / ポニーキャニオン / 韓流ぴあ
販売元:松竹
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配信情報:Netflix、U-NEXT、ディズニープラス、Hulu、Prime Video

あらすじ

35歳のジナ(ソン・イェジン)は、親に結婚を急かされ、上司のセクハラや彼氏の浮気など、息が詰まるような毎日を送っていた。そんなある日、大親友の弟で、自分の弟の親友でもあるジュニチョン・ヘイン)が海外赴任から帰国する。ジナとジュニの会社が偶然同じビルということもあり、ランチをしたり飲みに行ったりするうちに、2人は恋人関係になるが……。

ここが見どころ!

チョン・ヘインにとって初のラブコメ作品&久しぶりのロマンスドラマとなった『となりのMr.パーフェクト』(2024)を観ながらもう一度見返したくなったのが、現在まで続く年下男子ブームを生んだ『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』(2018)。チョン・ヘインがブレイクを掴むきっかけとなった作品です。

『となりのMr.パーフェクト』の記事はこちらから
よくおごってくれる綺麗なお姉さん チョン・ヘイン ソン・イェジン

放送当時、チョン・ヘインは29歳、ソン・イェジンは36歳でした。

韓国の話題性調査会社Good Data Corporationが発表した「2018年の話題性No.1ドラマ」に選ばれた本作。それも納得するくらい、当時韓国で周りの人がみんな「おもしろい!」「今日はドラマの日だから遊べないごめん!」という感じでドハマりしていました。その中でも30代前後のオンニ(お姉さん)たちの熱量がとりわけすごくて。カカオトークのアイコンをジナにしたり、自分はジナだと思って生きる! と宣言したり、“ジナになりたい”という人が続出していたんです。

私もそれなりにハマっていたのですが、オンニたちが42度の熱々のお風呂に肩まで浸かっていたとしたら、当時20代半ばだった私は38度で半身浴をしているような温度差がありました。20代半ばってどの集団でもまだマンネ(最年少)なことが多くて、時々年下と出会うと「私ってもうオンニ/ヌナなのか……」と若干焦るし、年下をかわいいと思う感覚がなかったんですよね。

でも、韓国での放送から約7年。今観たらオンニたちの気持ちがわかる! ジュニがめちゃめちゃかわいい!!当たり前ですがチョン・ヘインが若くてちゃんと年下に見える! 男性が年上女性を呼ぶ時の「ヌナ(お姉さん)」がこんな魅力的な響きだったなんて!! と、自分の目線がドラマの設定と近くなったおかげで、年下男子の魅力がわかるようになりました。

第1話、会社前で3年ぶりに再会したジナの周りを自転車に乗ったジュニがぐるぐると回ってからかうシーン。ただの知り合いや友達にされたらうざいなと思ってしまうかもしれないけど、年下男子(というかジュニ)だと茶目っ気に感じられてかわいい。ちょっと生意気なところも全部かわいい。よく“男性をかわいいと思ったら終わり”と言いますが、物語の幕開けからまさにその状態に。無事、おしまいです。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん

童顔が魅力的なチョン・ヘインですが、この時の透明感は別格かも。

次の日のお昼にジュニから「ヌナ、おごって」とメッセージが届くシーンなんて、まだジュニを親友の弟としか見ていないジナはだるそうに未読スルーしたのに、視聴者のこちらはその一言だけでキュンキュンしてしまいました。ただ、日本人の感覚に合わせて日本語字幕が「ジナさん」で一貫されているのが惜しい……!今なら「ヌナ」のままでも通じそうですが、第4次韓流ブーム(2020~)の前だったのでそりゃ字幕は名前表記を選びますよね。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん チョン・ヘイン ソン・イェジン

ドラマを代表する名シーン。ロケ地は景福宮近くの「セジョン村 飲食文化通り」。

ジュニがかわいいのは世界共通認識として、ジナもかわいいんですよ。

ある程度の社会経験を重ね、役職に就き、後輩もいる。周りから見たら大人の余裕をまとうジナですが、ジュニを意識し始めてから通勤ファッションに気合いが入っちゃったり、ジュニの前では「適当に淹れただけよ」と涼しい顔をしながらオフィスのキッチンを散らかすほど熱心にコーヒーを作ったり(ジナはカフェチェーンの本社勤務)、恋が始まってうきうきする気持ちが出ちゃうところが愛くるしい!

弟的存在から恋愛対象へと変わっていく過程でだんだんとジナの声にときめきが宿っていく感じや、いつも家まで送ってくれるジュニに別れ際もう一度手を振る時のかすかな雰囲気の違いなど、ジナの感情の変化を表現するソン・イェジンの繊細な演技に共感が止まりません。

ジュニ役も、少年っぽさの中に大人っぽさもちゃんとあって、かわいらしい顔立ちと落ち着いた印象を与える低音ボイスを兼ね備えたチョン・ヘインの右に出る者はいないと、2度目の視聴で確信しました。飲み会中にジナにこっそり手を握られてしゃっくりが出ちゃうとか、ジュニの絶妙なかわいさはチョン・ヘインにしかできませんもん。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん ソン・イェジン チョン・ヘイン

ジナの肩を抱きたいけど抱けなくて手が迷子になってしまうジュニ。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん ソン・イェジン チョン・ヘイン キスシーン

付き合ってから初めて訪れたジュニの家でイチャイチャ。

糖度高めなロマンスにうっとりする一方、別の意味でぐさぐさ刺さるのが周囲の反対や職場のセクハラ・モラハラ問題。

母親はジナにいい家柄、いい仕事を持つエリートと結婚してほしいと思っていて、しかも、ジナの家族はジュニと彼の姉を家族のようにかわいがってきたので「後ろ指さされるわよ!!!!」と2人の恋愛に大反対。この干渉が尋常じゃなく、見ていて頭がクラクラしてしまうほど。さらに、ジナはセクハラを告発したことで職場でも孤立してしまいます。

ここがまあしんどいのですが、これまで母親のお眼鏡にかなうエリートと交際し、職場では上司のモラハラ発言やセクハラまがいの行為を苦笑いで流してきたジナが、ジュニとの恋を通じて“その場しのぎをやめて自分を大切にしたい”と成長していく過程も本作の大切なテーマなのだと感じました。あの頃オンニたちが「ジナになりたい!」と言っていたのは、こういう部分もあるのかも。

7年前は遠くから眺めているような感覚だったけど、今回は作品に対する解像度がぐんと高まっていたので、20代、30代、40代…と観る時の年齢によってロマンスも母親との関係も違って見えそう。数年後の自分はどこに共感するのか、また見返したい作品になりました。

DVD情報

『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』
出演:チョン・ヘイン、ソン・イェジンほか
発売元:アクロス / 松竹 / ポニーキャニオン / 韓流ぴあ
販売元:松竹
© Jcontentree corp. all rights reserved

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