男装女子、初恋、三角関係……! あらゆる要素が詰まったロマンス時代劇

韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。今回は、韓国ドラマで初めて国際エミー賞を受賞したロマンス時代劇『恋慕』のあらすじや見どころを紹介します。

恋慕 ロウン パク・ウンビン

『恋慕』
全20話
出演:パク・ウンビン、ロウン、ナム・ユンスほか
Netflixシリーズ「恋慕」独占配信中

あらすじ

王の孫として生まれた双子のフィタミ(パク・ウンビン)。当時は双子が禁じられていたため、女児のタミは死んだことにされて山寺で育てられた。しかし、フィの死により、タミは男装をして王位継承者として生きる運命を背負うことに。自分の正体や秘めた恋心を誰にも明かせないまま、フィとなったタミは波乱の人生を歩んでいく。数年後、学問の師として新しくやって来たのは、初恋相手のジウン(ロウン)だった。タミは正体がバレることを避けるため、あの手この手でジウンを宮廷から追い出そうとするが……。

ここが見どころ!

冬から春へと移り変わるこの季節は、わくわくしたり、春愁という言葉があるように訳もなく切なくなったりと、普段よりエモーショナルになりませんか? そんな時は、どっぷり感情移入できるドラマを観て、思う存分感傷に浸るのも悪くない! ということで、今回は、春気分を高めてくれる色鮮やかな韓服も目の保養になるロマンス時代劇『恋慕』(ヨンモ)の魅力を紹介します。

共感を呼び起こす丁寧なプロローグ

男装女子や女装男子、王と顔や名前が同じ者が王になりすますといったテーマは、これまでにも数々の時代劇で描かれ、どの作品も高い人気を博してきました。本作も亡き双子の兄に変装して生きる男装女子が主人公ですが、女性が世子(王子)、さらには王になるという点が斬新なドラマです。

正体を隠して生きる主人公の過酷な運命、初恋相手との運命のいたずらのような再会、三角関係またはそれ以上にもなる切ない恋模様、最大の敵が身内というドロドロな権力争い……とメインとなる要素がてんこ盛り。きっと作る側としてもすぐに本章をスタートしたいであろうところを、本作は序章となる幼少期のエピソードだけで2話まで進みます。1話の後半に成人キャラクターが登場する手法はよくありますが、まさかW主演のどちらもが2話の終盤まで出てこないとは。それだけストーリーに自信があるということですし、実際に幼少期をじっくり描いてくれたおかげで没入度が何倍にも高まりました。

幼少期のフィとタミを演じるのは、2008年生まれのチェ・ミョンビン。2016年から芸能活動を開始し、『梨泰院クラス』でキム・ダミ演じるイソの幼少期を、『二十五、二十一』ではキム・テリ演じるナ・ヒドの娘役を演じるなど、数々のドラマに出演する人気子役です。フィとタミの演じ分けはもちろん、フィとして生きる運命を受け入れていく過程を迫真の演技で表現していて、「今はいいけど大人になってからも男性のフリを続けるのは難しくない……?」と視聴者が我に返ってしまいそうなところを、ぐっと掴んで物語に引き込んでくれました。特に、死んだと偽ってタミを宮外に逃がしてくれた母(妃)との親子のやり取りにはがっつり泣かされました。

パク・ウンビン演じるフィ様がイケメンすぎる♡

恋慕 パク・ウンビン

数年後、フィ(タミ)は文武両道な立派な大人に成長し、昨日の友は今日の敵となる恐ろしい宮廷で秘密を守るため、直属の家来たちでも5歩離れて歩かせる冷徹な世子となっていました。演じるのは、5歳から演技を続けてきた若きベテランのパク・ウンビン。

デビューから休まずに活躍を続けてきましたが、本作で男性のように振る舞う難しい役どころを見事に演じ切った演技力とそのイケメンっぷりが高く評価され、お茶の間の姪っ子のような存在からトップスターへと躍進。本作の後に『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、『無人島のディーバ』で主演を務め、その人気を不動のものにしました。

恋慕 パク・ウンビン

もう、フィ様がかっこいいのなんのって。ジウン(ロウン)のピンチに颯爽と現れて助けてくれて、転びそうになったところを抱きかかえてくれる姿に、こちらも「フィ様! 恋慕(お慕い)しておりますー!」モードになっちゃいます。どれくらいイケメンかというと、女性であるフィ様の、女性用の韓服姿に違和感を覚えるほど。見た目の華奢さを感じさせないくらい声や表情、オーラで世子を見事に演じています。

ジウンに自分が初恋相手のタミだと打ち明けることも、恋心を伝えることもできないもどかしさ。ジウンや周囲の人を傷つけないためには、ジウンを遠ざけないといけない世子という立場ゆえの苦しみ。ラブコメチックな胸キュンモーメントにくすっとさせられたかと思えば、切ない展開の連続に胸が締め付けられ、どうか2人を引き離さないでくれと懇願しながら見守るという。情緒が大変なことになっちゃうのですが、感情のすべての引き出しを『恋慕』にゆだねてお楽しみください。

立場逆転!? ヒロインっぽいロウンがかわいい!

恋慕 ロウン

ジウン役は、『偶然見つけたハル』、『先輩、その口紅塗らないで』、『婚礼大捷<こんれいたいしょう> -愛結ぶ二人-』など俳優として快進撃を続けるロウン。本作で初めて時代劇に挑戦し、「2021 KBS演技大賞」で新人演技賞と人気賞をW受賞しました。

恋慕 ロウン
  • 恋慕 ロウン
  • 恋慕 ロウン

フィがタミだと知らないジウンは、勉強を教える司書として仕えるうちに、その人柄に惹かれていきます。ソフトな雰囲気のジウンがクールなフィを慕い、うっとりしたりドキドキしたりするさまは、もはや恋する乙女のよう。まるでヒロインのようにキュートなロウンのラブコメ演技が見どころです。

男の俺が男を好きになるなんておかしい! と戸惑うよりも、叶わぬ恋をしてしまったことに思い悩むジウン。性別関係なくフィのことを愛する真っ直ぐさが清々しく、物語が進むにつれて頼もしくなっていく成長とギャップは沼落ち不可避。190cmの長身から繰り出される殺陣も見応え抜群です。

普段は韓ドラを日本語吹き替え版で観ているという人も、告白シーンはぜひ韓国語音声に切り替えて、ロウンの「恋慕(ヨンモ)しております」を耳でもじっくりお楽しみください。ときめきが増し増しになりますよ♡。

“二番手男子”も魅力たっぷり

恋慕 ナム・ユンス

ジウンと正反対の魅力で視聴者をメロメロにさせるのが、フィの従兄弟のヒョン役を演じるナム・ユンス。『人間レッスン』、『今日のウェブトゥーン』などに出演し、最近は『大都市の愛し方』でも注目を集めている若手俳優です。

フィの秘密を知りながらも、彼女を守るために知らないふりをして見守るヒョン。友人のジウンにフィをとられてしまい、兄は王位を狙って謀反を起こすなど、いろいろなことの板挟みになって闇落ちしてもおかしくないのに、最後までフィの味方でいてくれる正義感の強いヒョンも本当に素敵です。一歩引いたところから相手の幸せを願うというヒョンなりの愛し方が切なすぎて、フィとジウンを応援しているのにヒョンにも幸せになってほしくて、ヒョンのことを思うと胸が苦しくなるくらいに感情移入してしまいました。

実は私は、彼のことはモデルとして活動していた高校生の頃からチェックしていました。当時、「ソウルファッションウィーク」などの取材をしていたのですが、周りの人たちもみんな将来絶対売れる! と彼に注目していたんです。なので、俳優として活躍する姿を見ると「ユンスくん、こんなに大きくなって……(感涙)」と勝手に親戚モードになってしまうのですが、そういうフィルターをなしにしても、ユンスくん演じるヒョンは歴代の韓ドラ二番手男子の中でも上位に入るはず!

フィと祖父、ジウンと父、ヒョンと兄を通じて描かれる避けられない運命の物語も見応えたっぷりで、最終話は始まりから終わりまで涙が止まらない状態に。観終わってからもしばらく引きずってしまうくらい余韻の残る作品となっていますので、イッキ見したくなっちゃう面白さだけれど、あえて毎週末に少しずつ見進めてゆっくり味わうという楽しみ方もおすすめです。

配信情報

『恋慕』
全20話
Netflixシリーズ「恋慕」独占配信中

恋慕 | Netflix(ネットフリックス)公式サイト
韓国系ライター
轟 友貴

韓国系ライター。K-POPアイドル、俳優にインタビューを行い、現在はソウルと東京を行き来して活動中。美容/コスメ好きで、美容雑誌やWEBマガジンでは韓国美容のコラムを担当。私生活でも3日に1度はポーチに新入りコスメが増える。韓国人ビューティユーチューバーのメイク動画を見るのが癒し。

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