パク・ボゴムが不正はびこる世の中をアッパーカット! 痛快アクションドラマ『グッドボーイ』【韓ドラオタクおすすめの1本】
そのまなざしで、その拳で、その背中で。パク・ボゴムが全身で語る“真実の青春”
韓国ドラマ大好き! なライターがおすすめしたい作品を紹介する不定期連載コラムです。
今回は、特別採用で警察になったメダリストたちが、不正が横行する世界に立ち向かう青春アクション捜査ドラマ『グッドボーイ』を紹介します。
- そのまなざしで、その拳で、その背中で。パク・ボゴムが全身で語る“真実の青春”
- あらすじ
- ここが見どころ
- 正統派少年マンガのような爽快さが痛快
- なんてったってパク・ボゴム! その繊細な演技
- ストーリー以外も要チェック!
- パク・ボゴムも参加した粒ぞろいのOSTを聴き逃さないで
一体、どれだけの人がパク・ボゴムとボクシングの親和性の高さに気づいていたのか…。
『グッドボーイ』
全16話
出演:パク・ボゴム、キム・ソヒョン、オ・ジョンセ、イ・サンイ、ホ・ソンテ、テ・ウォンソクなど
韓国ドラマ『グッドボーイ』Prime Videoで独占配信中
あらすじ
11年ぶりに復活した国家代表特別枠での警官採用。国際大会のメダリスト、彼らは当時英雄だった。しかし、熱い聖火が消えた今、年金の中断、生活苦、不慮の事故といった厳しい現実が彼らを襲う。そんな事情を抱えながらも、彼らは凶悪犯罪に立ち向かうべく、特殊専門担当チームに結集する。警察内での冷笑や差別にも屈さず、選手時代の意地と根性とそれぞれの特技を生かして、不正に満ちた事件に挑みはじめる。
失われた栄光を取り戻し、新たな“英雄”として奮闘する元アスリートたちの熱き戦いの火ぶたが今、切って落とされる。
ここが見どころ
今回は、7/20に最終回が放送され、自己最高の視聴率8.1%を記録して有終の美を飾った『グッドボーイ』の魅力について語ります!
※本記事はネタバレがありますので、ご注意ください。
正統派少年マンガのような爽快さが痛快
本作を観て思い出したのは、「友情、努力、勝利」という、某週刊少年マンガの三大原則。仲間同士の友情を深め合い、努力を重ね、そして勝利を目指しながら、人間の絆を見せつけてくれる心震える物語でした。
特別捜査チームの面々。
『グッドボーイ』の中心人物は、特別採用によって警察官となった元アスリートたち。主人公のドンジュ(パク・ボゴム)は、拳で戦う元ボクシング選手。W主演の元射撃選手ハンナ(キム・ソヒョン)は、銃を手足のように使いこなす。元フェンシング選手のジョンヒョン(イ・サンイ)は落ちている棒きれをたちまち剣に変える腕前を持つ。元レスリング選手のマンシク(ホ・ソンテ)と元円盤投げ選手のジェホン(テ・ウォンソク)は、人並みはずれたパワーで相手をねじ伏せる。
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金メダリストの元ボクシング選手ユン・ドンジュ(パク・ボゴム)
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金メダリストの元狙撃選手のチ・ハンナ
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銀メダリストの元フェンシング選手キム・ジョンヒョン (イ・サンイ)
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銅メダリストの元レスリング選手コ・マンシク (ホ・ソンテ)
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銅メダリストの元円盤ばげ選手シン・ジェホン (テ・ウォンソク)
そんな個性際立つメンバーで特別捜査チームを結成することになるのですが、後半になるにつれ、痛快さが右肩上がりに。全16回のミニシリーズなのに、トンネル爆破や大人数の乱闘シーンがこれでもかと出てきて、制作費が心配になるほど(笑)。それだけ、悪党と戦うシーンがスカッと爽快、拳を握りしめて応援したくなるのでした。途中、ボロボロになりながらも助け合い、互いの絆を深めていくチームメンバーたちの姿が、映画『アベンジャーズ』ならぬ“グッドベンジャーズ”ようで、とてもカッコよかったです。
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結構重いテーマなのに、いきなりコミカルシーンを入れ込んでくるので要注意。
なんてったってパク・ボゴム! その繊細な演技
愛情にあふれるドンジュ
「いるだけで空気が浄化される」「ワンコのような無垢な瞳が素敵」など、爽やかなイメージで多くの視聴者に愛されてきたパク・ボゴムですが、本作では新しい姿を見せてくれています。
今回演じるドンジュは、元金メダリストの元ボクシング選手でありながら、毎回フルボッコにされる役です(笑)。警察の特殊チームで犯罪者と攻防を繰り広げ、体中から噴き出す汗や血、赤黒く腫れた顔、服だって泥だらけで、かつてスポットライトを浴びていた男とは思えない薄汚れっぷり。しかし、破れかぶれ感はなく、真っ白な炎のような凛とした闘志が宿っていて、カッコいい!(痛そうだけど) なぜなら、彼が拳を振るのは「誰かを守るため」だから。腐り切った世の中……いや、むしろ泥水のような汚れちまった社会だからこそ、清廉潔白なドンジュの存在が際立つのです。
無法者にボコボコに殴られても。
かつての師に裏切られても。
大切な人を喪っても。
ひたすら正義を貫くドンジュがまぶしい!
獲物を逃さない鋭い目
このドンジュという人物は、青春モノにありがちなステレオタイプの熱血キャラではないんですね。過去の栄光と挫折、希望と諦め、そして孤独と責任というアンビバレンツな感情が入り乱れた繊細で荒々しい人物。いいヤツだけどまっすぐで不器用なドンジュの“正義のブルドーザー”として巨悪に突き進む無鉄砲キャラに、最初は「えぇ……」と引いていたのですが、回を追うにつれ心に沁みてくるんですよ。
ちょっと線が太くなりましたよね? 本作のために半年かけて肉体改造したパク・ボゴム。
多分それは、パク・ボゴムが人生の悲哀を全身で語っているから。
スポーツ選手の挫折と再起、社会の矛盾、自己の再生といった人生テーマを、パク・ボゴムは後ろ姿、腕や唇の震え、荒々しい拳に、悔しさをにじませた瞳。ふとした瞬間に垣間見せる表情の変化など、「セリフは添え物」と言わんばかりの演技で魅せてくれました。
若かりし頃はメダル、そして今は犯罪者を追いつつ、自らを貫く正義を追いかけているドンジュ。その泥臭くもひたむきな姿こそが万人共通の“青春”であり、誰もが成し遂げたい理想の人生ドラマなのではないでしょうか。
くやしさをにじませるドンジュが痛々しい。
ストーリー以外も要チェック!
ここからは、個人的に注目した場面をいくつか紹介します。
・ハンナの名スナイパーぶりにきゅん!
元射撃選手のハンナ、序盤や中盤でも銃を撃つシーンはあるのですが、後半は何かが吹っ切れたかのように狙撃レベルのリミッターを切っていて、その鮮やかな手並みに惚れ惚れ♡ あまりのカッコよさに、自分も「ライフル射撃、やってみようかな?」と思ったのですが意外とハードルが高そうなので、まずは縁日の射撃の屋台からはじめてみようと思います!(笑)
銃を取り出す姿からカッコいい
ドンジュとハンナ、釜山の港をバックに
本作のヴィラン、ミン・ジュヨン (オ・ジョンセ)と対峙するドンジュ。
・ドンジュと同姓同名の詩人が実在
余談ですが、パク・ボゴム演じるドンジュは、二十世紀を代表する韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)と同じ名前。脚本家は彼の詩集からインスピレーションを得たように思います。有名かつ心に刺さる一文を紹介しますね。
“死ぬ日まで天を仰ぎ
一点の恥じ入ることもないことを、”
いやはやカッコいい。この詩集を読んだあとに本作を視聴すると、作品の解像度が増すことでしょう。
どんなに打ちのめされても。ドンジュの瞳は一点の曇りもない。
パク・ボゴムも参加した粒ぞろいのOSTを聴き逃さないで
最後にOSTの紹介を。
『グッドボーイ』の挿入歌は名曲ぞろいなのですが、3曲だけピックアップして、本コラムを締めくくりたいと思います。
パク・ボゴム「Waterfall(原題:僕を見つけにいく道)」
パク・ボゴム本人が歌ってます! 彼のブレイク作となったドラマ『雲が描いた月明り』(2016年)以来、8年ぶりの貴重な歌声は、繊細な表現力と深みのある感情、そして淡々としながらも心に響いてきます。
TWS「Brand New Day」
こちらは、SEVENTEENの弟分として2024年にデビューした6人組ボーイズグループ・TWS(トゥアス)が、グループ初のOSTを担当。再び夢に向かって踏み出す“再出発”をテーマに、青春のまっすぐな感情を綴ったブリットポップ調のミディアムナンバー♪ TWSらしいエネルギッシュで明るいボーカルが素敵です。
DAY6のYoung K「Love will find a way」(原題:나무가 될게/木になろう)
苦節9年目でチャート逆走&オールキル(1~10位を独占)を果たし、一気に脚光を浴びたバンドDAY6からYoung Kが楽曲提供しています。穏やかに流れるピアノのメロディーの上に、彼らしいあたたかく叙情的なボーカルが重なるヒーリングバラード。「休んでもいいよ 僕が君のために木になり 僕の影は君の木陰になるから」という歌詞が、ドンジュとハンナ、二人の世界観を表現。
作品概要
満開の菜の花畑でキスするグァンシクとエスン。初ポッポは「鼻の下キス」というおぼこさがよき!
『グッドボーイ』
全16話
出演:パク・ボゴム、キム・ソヒョン、オ・ジョンセ、イ・サンイ、ホ・ソンテ、テ・ウォンソクなど
韓国ドラマ『グッドボーイ』Prime Videoで独占配信中
Kカルチャー・旅・お酒・漫画・音楽・スポーツ観戦好きのライター。ドハマりしたK沼が旅沼に直結し、年間十数回は海外へ。マイブームは「海外の大衆食堂をめぐること」。2023年は釜山&ソウル(韓国)、バンコク&ブリーラム(タイ)、ホーチミン&ハノイ&ダラット(ベトナム)、コロンボ(スリランカ)、リヤド&ジェッダ(サウジアラビア)で爆食。2024年はソウル、ソウル、台湾、ソウルへ。さらに東アジア最大のレインボーパレードである、台湾LGBTプライドパレード「臺灣同志遊行」にも参加。2025年の“海外旅はじめ”はソウル&プサン(韓国)。6月には最低気温10度のシアトル(アメリカ)でプライド月間とFIFAクラブワールドカップを満喫。