井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミが野の画像_1

三浦しをんの『まほろ駅前』シリーズを映画化してきた大森立嗣監督が、三浦作品の中でも異彩を放つ「光」を読み感銘を受け、自ら脚本を担当して映像化したヒューマンドラマ。暴力や狂気といった人間の野生をむき出しにした過激で残酷な内容にもかかわらず、井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミといった豪華キャストたちが体を張って演技合戦を繰り広げ、これまでのイメージを覆す熱演をみせているのも注目です! 舞台は東京の離島・美浜島。14歳の少年・信之と、その恋人である美花、信之を兄のように慕う輔は、豊かな自然に囲まれた地で暮らしていた。ところがある日、信之は美花を守るために殺人を犯してしまう。さらにその後、島を大津波が襲い、3人は家族も故郷も失ってしまう。時は流れ25年後。大人になった信之(井浦新)は島を離れ、妻の南海子(橋本マナミ)と娘と共に都会で暮らしていた。そこへ忌まわしき過去を背負った輔が現れ、女優として活躍していた美花(長谷川京子)、そして信之の妻の南海子を巻き込みながら、運命の歯車が再び動き出していく……。 どこにでもいる普通の家庭人に見えるのに、内に底なしの闇を抱える信之を演じた井浦新、そして人生に絶望し、自身の怪物性を持て余す輔に扮した瑛太という、イケメンふたりが見せる緊迫感のある魂のぶつかり合いは息を飲むほど。そして圧倒的な美貌で男を狂わす美花を演じた長谷川京子のファム・ファタールぶりや、妻であり母であり、女である南海子を生々しく演じた橋本マナミの実在感のある演技は見事です。さらに注目はテクノミュージックの世界的巨匠であるジェフ・ミルズが担当した音楽。冒頭で自然溢れる美しい島の映像と相容れないテクノが爆音で鳴り響く様は、この物語の異様さを象徴しているよう。わかりやすい感動作ではないけれど、とにかく心をガシガシとかき乱される挑発的な1本。気合いを入れて観ることをおすすめします。 (文/松山梢) ●公開中 ©三浦しをん/集英社・©2017『光』製作委員会

映画『光』公式サイト