新たなチャレンジがしたくなる。奇跡の実話の画像_1

乗り越えることが難しい出来事に直面したとき、人はいったん立ち止まって考えたり、他の方法を試したり、思いきってあきらめたりするもの。だって、真正面からぶつかって大ケガをするのはイヤだし、誰かに迷惑をかけたり、衝突することも避けたいから。それが賢い大人になることなのかもしれないけれど、この映画の主人公は真逆。先天性の病気によって突然視力を失うという悲劇に直面しながらも、夢を叶えるというピュアな思いを実現するため、まさに盲目的に、猪突猛進で突き進みます。 舞台はドイツのミュンヘン。ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に生まれたサリーは、ホテルマンになることを夢見ていたものの、網膜剥離によって視力を失い、健常者の5%ほどしか世界を見ることができなくなってしまう。当然、家族からは夢をあきらめるよう説得されるものの、目が見えないことを隠して願書を送り、ついに5つ星一流ホテルから研修生として働くチャンスを得る。献身的な姉と共に“回転ドアを抜けたら12時の方向に20歩、45度左にソファ”などホテル内の配置を丸暗記して臨んだサリー。果たして研修を乗り越えて本採用試験までこぎ着けられるのか……。 無謀にも思える挑戦は、観ていてハラハラするほど危なっかしいけれど、音や触覚、においなど、あらゆる感覚を総動員して立ち向かっていく姿は感動的。そして持ち前の明るさと誠実さで周囲からの信頼を獲得し、助けてくれる味方を次々と増やしていくサリーに、「何をするかではなく、誰とするか」という、仕事の本質や人付き合いの極意を教わるようでした。新たに何かに挑戦したいと思っている人は必見。「もうアラサーだし」とか、「スキルが通用するか不安」など、できないことを数えるよりも、“なりたい”という気持ちに素直に寄り添い、誰のためでもなく自分のために行動を起こす。純粋な欲望に忠実になる勇気を与えてくれる1本です! (文/松山梢) ●1/13〜新宿ピカデリー他全国公開 © ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH

映画『5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜』公式サイト