多部未華子、今月は『透き通った風が吹いて』を読了!
透明な季節を描いた物語。 そして男心は不思議です!
みなさんは自分の高校時代を覚えていますか? 青春って、なんなのでしょう。今回はそんなことを考えた物語でした。 高3の渓哉(けいや)は野球部を引退し、受験の準備を始めます。順調にいけば、春から東京で大学生活が始まるものの、自分の決断に自信が持てず……。親友や兄の大人っぽい姿にも心揺れる中、ある女性と遭遇します。小さな町を舞台にした、一瞬の季節。描かれる風景も、渓哉と親友との会話もきれいで、本当に透き通った風が吹いているような世界でした。同時に、高校生男子って、こんなにキラキラしたまっすぐな目で世の中を眺めていたの? と驚きも。私の高校時代も平和でしたが、ここまで夢の中みたいな感じではなかったような(笑)。あらためて男心は不思議、と感じた作品でした。 毎月1冊の本を通して感じたことをお話ししてきたこの連載ですが、今回で最終回。多くの本と出合う中で、より好きな物語の傾向が見えてきました。私の場合、高校時代を舞台にした作品、同世代の女性の気持ちを描いたもの、そして主人公の変化が見られる長いお話に心惹かれるみたいです。ちなみに本作も渓哉や登場人物たちの、その後が気になりました。今後も本読み生活は続けつつ……。またどこかでお会いしましょう!
『透き通った風が吹いて』あさのあつこ
--------------------- MORE2016年3月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! 取材・文/石井絵里 撮影/露木聡子 ヘア&メイク/赤松絵利(esper.) スタイリスト/轟木節子 ---------------------