多部未華子、今月は『透き通った風が吹いての画像_1
多部未華子、今月は『透き通った風が吹いての画像_2
たべ・みかこ●女優。1989年1月25日生まれ、東京都出身。昨年秋に出演したドラマ『視覚探偵 日暮旅人』のDVDが3月23日発売予定。主演映画『あやしい彼女』が4月1日公開予定。

透明な季節を描いた物語。 そして男心は不思議です!

 みなさんは自分の高校時代を覚えていますか? 青春って、なんなのでしょう。今回はそんなことを考えた物語でした。  高3の渓哉(けいや)は野球部を引退し、受験の準備を始めます。順調にいけば、春から東京で大学生活が始まるものの、自分の決断に自信が持てず……。親友や兄の大人っぽい姿にも心揺れる中、ある女性と遭遇します。小さな町を舞台にした、一瞬の季節。描かれる風景も、渓哉と親友との会話もきれいで、本当に透き通った風が吹いているような世界でした。同時に、高校生男子って、こんなにキラキラしたまっすぐな目で世の中を眺めていたの? と驚きも。私の高校時代も平和でしたが、ここまで夢の中みたいな感じではなかったような(笑)。あらためて男心は不思議、と感じた作品でした。  毎月1冊の本を通して感じたことをお話ししてきたこの連載ですが、今回で最終回。多くの本と出合う中で、より好きな物語の傾向が見えてきました。私の場合、高校時代を舞台にした作品、同世代の女性の気持ちを描いたもの、そして主人公の変化が見られる長いお話に心惹かれるみたいです。ちなみに本作も渓哉や登場人物たちの、その後が気になりました。今後も本読み生活は続けつつ……。またどこかでお会いしましょう!

『透き通った風が吹いて』あさのあつこ

多部未華子、今月は『透き通った風が吹いての画像_3
残暑の岡山。高校3年生の渓哉は打ち込んでいた野球部を引退し、初めて将来について考える。親友、同級生の女子、故郷へ戻ってきた兄――。10代の迷える時間を描いた中編小説。(文藝春秋 ¥1100)
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