女子高を卒業後10年ぶりに再会し、取り壊されることが決まった母校に週末だけ集まる三人。仕事での葛藤や人間関係の悩み、これからの私の人生はどうなっちゃうの!?というモヤッと感を抱えた主人公たちには共感すること必至!  シノノメ色コーデで登場した桜井玲香×岡崎紗絵×三戸なつめの三人に、女子高の同級生を演じた今回の作品『シノノメ色の週末』についてうかがいました。

忘れられないシーン。深夜集合で迎えたシノノメ色の空

桜井玲香、三戸なつめ、岡崎紗絵のシノノメ色の週末インタビューカット3370
――女子高を卒業して10年。美玲(桜井玲香)は、放送クラブで一緒だったアンディ(三戸なつめ)と部長だったまりりん(岡崎紗絵)とともに取り壊しになる母校へタイムカプセルを探しに行きます。雑誌のグラビアを飾ることはなくなった今もモデルを続けている美玲、昔は目立たなかったけれど現在は広告代理店で活躍しているまりりん、以前と変わらずカメラ好きでサブカル系のアンディ。それぞれのキャラクターをどのように演じましたか?

桜井玲香(以下桜井):撮影中はふたりがずっとそばにいてくれたので、主演という気負いはなく楽しく撮影ができました。私が演じた美玲は、自分に自信があって芯の強い女の子だったのですが、穐山(茉由)監督に、あまり強さが前面に出すぎないような、愛されキャラにしたいです、と相談しながら撮影に臨みました。

岡崎紗絵(以下岡崎):まりりんはキャラクターがしっかり者というか、部長としてみんなをまとめる存在。でも私自身はそういうタイプではないので(笑)、憧れを抱きつつ、卒業した10年後も、高校時代のしっかりした部分を意識しながら演じました。美玲とアンディが自由なキャラクターないっぽう、まりりんは、“しょうがないなぁ”って後片づけをするような立ち位置だったので、物が斜めに置かれていたら真っすぐに直してみたり、細かいしぐさも取り入れました。

三戸なつめ(以下三戸):私自身とアンディはそこまでかけ離れてなかったので、自分に近い感じで演じました。まりりんと美玲がちょっと衝突するような関係性だったので、私はふたりの間に入る仲介役で、ふたりを癒すような存在になればいいなぁって思いながら演じました。
桜井玲香
――撮影現場で印象的だったことを教えてください。

桜井:校舎に忍び込むときのドアが本当に錆びていて、けっこう開けるのが大変で! 誰がどこを押さえる?って打ち合わせをしながら、3人で挑みました(笑)。

岡崎:楽しかったですね! 私はクライマックスに、みんなでシノノメ色の空を見た時です。当日は、朝日が昇る前の集合だったので、入り時間がとても早かったですよね。

桜井:夜中の2時か3時に現場に行って。

岡崎:その高揚したテンションで、朝日を迎える感じも楽しかったです。

三戸:私は校舎を3人で走った時が楽しかったです。アンディが3人の中でいちばん足が速い設定なのに、私はあんまり速くないので大丈夫かな?って心配してましたけど、一生懸命走ったらカメラさんが追いつけなくて、意外と速く走れました。

生足、ミニスカ、“なんちゃって制服”も思い出!

――高校時代を思い返して、あの頃は若かったなぁと、赤面しちゃうような思い出はありますか?

三戸:今思うと本当に申し訳ないんですけど、クラスの子がトイレに入ってる時に上からのぞいたことがあって…。

桜井:(笑)

岡崎:えっ? 人のトイレをのぞく…?

三戸:高校生の時って、悩んでそうな子は、ひとりになりたくてトイレにこもったりしなかった? それで、私、勝手に“あの子、悩んでる!”って思い込んで隣の個室の上からのぞいて「大丈夫?」って声を掛けたんだけど、普通に入ってただけでした。その子がトイレに行く時に、暗い顔に見えたの(笑)。

岡崎:(笑)。めちゃくちゃおもしろいじゃないですか! そのエピソード、私も欲しい!!

桜井:おもしろい! いいエピソード(笑)。
シノノメ色の週末のサブカット、岡崎紗絵と桜井玲香
まりりん(岡崎紗絵)と美鈴(桜井玲香) ©2021 映画「シノノメ色の週末」製作委員会
大好きなカメラをかかえる三戸なつめ
アンディ(三戸なつめ)  ©2021 映画「シノノメ色の週末」製作委員会
岡崎:私が高校生の頃はミニスカートの制服がはやっていて。とにかく制服を可愛く着たくて、本当は校則でダメなんですけどスカートを短くしていました。文化祭の準備で、夏休み返上で学校に行ったり、クラスの模擬店で焼きそばを作ることになった時に、自転車で友達と近くのスーパーに行って、キャベツを8玉くらい買って、段ボールを自転車の荷台にぐるぐる巻きにして帰ったのも青春でした。

桜井:青春だね~。私は全然思い出がなくて……。唯一、学生っぽい思い出は、制服風の格好でディズニーランドに行ったくらいです。

岡崎:“なんちゃって制服”ですね。

桜井:生足、ミニスカで(笑)。

岡崎:寒いのにミニにしちゃって。

三戸:本当だよ。若い時って、タイツはかなくても大丈夫だった。

岡崎:大丈夫でした。今は無理ですよね(笑)。

三戸:今はダメ。ひざこぞう出せない(笑)。

――映画の中で制服を着た感想はいかがでしたか?

岡崎:緑ベースの制服で、ブレザーも可愛かったです。

桜井:実は赤っぽいのも候補に挙がってたんだけど、やっぱり緑でよかった。

三戸:へぇー、そうなんだ。緑のほうが落ち着かない?

岡崎:大人でも着られそう(笑)。

桜井:赤は“ときメモ”みたいになっちゃって。

岡崎:ときメモって、何ですか?

桜井:(恋愛シミュレーションゲームの)『ときめきメモリアル』って知らない!? 

三戸:昔流行したのよ(笑)。

岡崎:そうなんですね?(笑)  この制服が着られてよかったです。

三戸:みんな、似合ってたよね。

桜井:似合ってた!

岡崎:私はちょっとソワソワしました(笑)。

桜井:えー?

三戸:似合ってたよ。まだまだイケるぜって思ったよ(笑)。
三戸なつめ、桜井玲香、岡崎紗絵主演シノノメ色の週末のシーンで女子高の制服姿に
「篠の目女子週末クラブ」の3人とあすか(中井友望) ©2021 映画「シノノメ色の週末」製作委員会

映画の現場で感じられた“女子高の延長”

――穐山監督は30代で、ファッション業界でPRとして働きながら、映画制作をあきらめきれずに学校で学んだ異色の経歴の持ち主です。ほかの現場と違ったことや、感じたことはありましたか?

桜井:普段、ファッションのお仕事でお世話になってるスタッフの方が、みなさん、穐山さんとも知り合いの方ばかりだったので、ちょっと照れくさい感じはありました。撮影がけっこうハードだったんですけど、穐山さんご自身はそんな中でも動きやすい格好で、よく見るとパンツの柄がめっちゃ可愛いとか、日によって小さいバッグやアイテムをちゃんと変えてコーディネートされていたのが可愛いなと思って見てました。

三戸:私も小物使いとかオシャレだな、やっぱり違うなと思ってたし、話しやすい雰囲気で役のこともすごく相談しやすかったです。「そのままでいいよ」って言ってもらった瞬間にすごく楽になって演じやすくなりました。

岡崎:監督も女子高出身で、女子高の雰囲気をよくわかっていて、女子高あるあるみたいな距離感が現場にもあったというか。セリフをどういう言い方にしようか一緒に考えてくださったり、一緒に悩んでくださったりする瞬間がけっこうあって、その感じも心地よかったです。映画を作る過程でも、女子高の延長って、今ここで感じられてるかもって思いました。
岡崎紗絵

仕事を続けるうえで支えになった人・言葉

――登場人物たちはお互いがそういう存在だったり、仕事で出会った人の言葉に影響されたりしていましたが、みなさんが仕事を続けるうえで悩んだ時に、支えになった人や言葉はありますか?

岡崎:高校生の頃は名古屋にいたのですが、そのまま大学に進学して、就職して…って考えていました。高校2年生でこの仕事を始めてからは東京への憧れもあって、進路に悩んだ時、今の事務所と出会いました。未来の話をしていくなかで「そのままでいいんだよ」って事務所の方に言ってもらって、すごく気持ちが楽になったのを覚えています。そこで変われたのかなっていう瞬間でした。ものすごく悩んだし、ここから人生が変わってくるぞっていう大きな決断だったなって、今も思い返したりします。

桜井:すごくベタな答えになってしまうんですけど、やっぱり応援してくれる人がいるからですね。乃木坂46時代、不安に押しつぶされそうになって、どうしようもなくなった時期があったんです。気持ちが負けそうになった時でも、ありがたいことにやるべきことがたくさんあって、ファンの人も心配してくださったり、グループの仲間が強引に引き戻してくれたことがありました。それがあったから、今もこのお仕事を続けられていると思います。求めてくれる人がいるのは、本当にありがたいです。

三戸:私は自分の趣味や好きなもの、特に絵を描くのが好きなんですけど、どうしようってちょっと迷った時は、好きなことを黙々とやったり、好きな映画を見たりします。そういう時間があると、“やっぱ私、これ好きなんやわ。頑張ろう!”って、前向きな気持ちになれますね。
三戸なつめ

占い話で盛り上がった!?

――みなさん実際は年齢差がありますが映画では同級生役。お話をうかがっていると、とても仲がよさそうですが、どのように距離が縮まっていったんですか?

桜井:自然と?(笑)

岡崎:これがきっかけ、っていうのは特にないですよね。

三戸:共通の話題っていうと……占い?

桜井:だよね! こういう占い師さんがいるらしいよ?とか。

岡崎:私は、なつめさんに紹介してもらって、前世を見てもらいました(笑)。計50回、転生しているらしいです(笑)。

三戸:何回転生しているかは、人によって違うんですって。紗絵ちゃんは、けっこう転生してたね。私もそうみたいだけど、玲香ちゃんも転生してそう(笑)。

桜井:3人でいると、よくそんな話になるけど、詳しくはまたあとで、ね(笑)。

理想の週末は、緑色&黄金色!

岡崎紗絵、三戸なつめ、桜井玲香、シノノメ色の週末に主演した3人
――最後に、みなさんにとって理想の週末(休日)の過ごし方を教えてください。さらにもしそれを色にたとえるとしたら?

桜井:緑!

三戸:私も緑。パステル系のくすみ緑みたいな。自然とか丁寧な暮らしに憧れてるからかも。玲香ちゃんは、どんな緑?

桜井:自然の緑に癒されたいな。森とかを想像してました。

三戸:わかる、わかる。

岡崎:私は黄金色です。

桜井&三戸:えー!

岡崎:神社とかパワースポットに行くのが好きだから。そういう意味で金色なんです。

三戸:なるほどね!(笑)

プロフィール

●桜井玲香(さくらい・れいか)
1994年生まれ、神奈川県出身。2012年に乃木坂46の1期生としてデビュー。グループの初代キャプテンとして活躍し、2019年に卒業後、ミュージカルに出演するなど活動の場を広げている。最近の出演作は、ドラマ『お耳に合いましたら。』(2021年)、『東京放置食堂』(2021年)など。ファッション誌のレギュラーモデルも務める。

●岡崎紗絵(おかざき・さえ)
1995年生まれ、愛知県出身。2012年にファッション誌『Seventeen』の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン2012」に合格し、デビュー。モデルとして活躍するかたわら、女優としての主な出演作は、映画『mellow』(2020年)、ドラマ『教場Ⅱ』(2021年)、『ナイト・ドクター』(2021年)など。

●三戸なつめ(みと・なつめ)
1990年生まれ、奈良県出身。2015年に『前髪切りすぎた』でCDデビュー。2018年より、本格的に俳優としての活動を開始。主な出演作に、NHK連続テレビ小説『おちょやん』(20~21年)など。2020年まで、雑誌『MORE』で大好きな文房具を紹介するコラムを連載。

『シノノメ色の週末』(絶賛公開中)

三戸なつめ、桜井玲香、岡崎紗絵主演映画シノノメ色の週末メインカット
Ⓒ2021映画「シノノメ色の週末」製作委員会
女子高を卒業して10年。夢見ていた未来とは違う毎日に、ついネガティブモードに落ち込んだりもする3人が、廃校が決まった母校で再会する。ここに来たら輝いていたあの頃に戻れるかもと浮かれる彼女たちに、青春のおかしくてやがて切ないリアルが忍び寄る。

出演:桜井玲香・岡崎紗絵・三戸なつめ/中井友望 山田キヌヲ/工藤阿須加
監督・脚本:穐山茉由 
製作プロダクション:ダブ
配給:イオンエンターテイメント
©2021 映画「シノノメ色の週末」製作委員会

>> 公式サイト
取材・文/都丸優子 撮影/猪岐沙矢佳