俳優・渡邊圭祐さんにインタビュー。『無駄な抵抗』で、3度目の舞台出演となる今の心境は?
話題作に引っぱりだこの俳優・渡邊圭祐さん。11月から世田谷パブリックシアターで始まる、前川知大さん作・演出の舞台『無駄な抵抗』に出演することが決まっています。2021年に『彼女を笑う人がいても』で舞台デビューを飾って以降、3度目となる舞台の魅力を語っていただきました。
“いつ撮っても絵になる役者”が目標。渡邊圭祐が舞台にチャレンジし続ける理由
――舞台『無駄な抵抗』への出演が決まった、今の気持ちを教えてください。
前川さんが作・演出される舞台に出られることがうれしいです。しかも、前川さん主宰の劇団「イキウメ」の俳優の方も出演されるので、まるでカンパニーの仲間に入れていただくような感じがして。これまでとはひと味違う舞台経験になりそうで、今からワクワクしています。
――『彼女を笑う人がいても』(2021年12月)、『アンナ・カレーニナ』(2023年2〜3月)に出演し、今回で3度目の挑戦となる舞台。演劇のどこに魅力を感じますか?
演劇というのは、ひとつのシーンを出演者全員で何度も稽古して、膨大な時間をかけてつくり上げるもの。それだけ稽古を重ねても舞台はナマモノなので、いざ本番で自分や相手役から出てくる表現は、同じセリフでもステージごとにまったく違うんです。だから、相手役の演技に瞬時に応える力=瞬発力が、映像の現場以上に求められるんです。そこが舞台の面白いところだなと。あと、舞台俳優の方は、芝居に対する熱量が尋常じゃないくらい高くて。毎回すごく刺激を受けるので、演劇の仕事は、俳優をやるうえで大切にしたい時間です。
もうひとつ。映像作品の現場でコツコツと増やしてきた演技の引き出しを披露でき、かつ、その引き出しを爆発的に増やせるところも舞台の魅力。映像作品と違って、終演後に観ていた人から直接フィードバックをいただける機会が多くて。以前、舞台「彼女を笑う人がいても」に出演した時に、演出家の栗山民也さんから受けた「お前の声は通るから、そんなに張らなくていいよ」というアドバイスはすごく印象に残っています。僕、自分の声は小さいと思っていたので、「声が響く」という気づきは、ステージを踏むうえでの自信につながりました。
そういえば、僕の演技を見た栗山さんの「脂乗ってんな〜!」っていう感想も忘れられないです。栗山さんは、俳優が自由に、アドリブで演技できるよう余白のある演出をしてくださるんですけど、そこで楽しみすぎちゃって(笑)。そうしたら、僕をニッコニコした顔で指さしながら、「脂乗ってんな〜!」と。「ダメですか? やめた方がいいですか?」って聞いたら、「いや、今のまま行け」と言ってくれてうれしかったです。
――映像作品と舞台とで役づくりの仕方は違いますか? 数時間におよぶ舞台は体力勝負でもあると思います。
役づくりのしかたに大きな違いはないかな。体力づくりは……僕、まったくしないんです。舞台で大変なことをひとつあげるとしたら、公演中、ずっとセリフを覚えておかないといけないこと。しかも、自分のセリフだけでなく、相手のセリフも。その人が、もしセリフが飛んでも瞬時にフォローできるように。
――それは、先ほどおしゃっていた“瞬発力”にも通じると思いますが、どんな状況にも柔軟に対処する “対応力”が上がりそうですね。
対応力は上がったと思います。そういえば、ひとつ面白い話があって。過去に舞台出身の役者さんがいた映像作品の現場で、監督とカメラマンが、「撮るものに困ったら、舞台出身の彼らにカメラを向けとけ。彼らはいつでも役を生きているから絵になる」と話していたことがあって。今年、舞台「アンナ・カレーニナ」に出た時に、その言葉の意味がよく分かったんです。どの役者さんも舞台上では、スポットライトが当たっていなくてもその役を生きていて。だから、どんなハプニングもその役のままで対処できるんだなと。
これからは映像作品の現場でも、舞台でも「いつでも役をまとう」ことを意識していきたいです。カメラマンさんに、「渡邊は、いつ撮っても画になるな」って言われるようになれたら、役者として一人前なのかなと。細部にまで神経がいき届いた演技を追求していきたいです。
渡邊圭祐さんプロフィール
わたなべ・けいすけ●1993年11月21日生まれ、宮城県出身。地元でモデルとして活動後、2018年にドラマ『仮面ライダージオウ』で俳優デビュー。以降、ドラマ『チェイサーゲーム』『私のシてくれないフェロモン彼氏』、映画『ブラックナイトパレード』、『わたしの幸せな結婚』など話題作に立て続けに出演。2021年には、『彼女を笑う人がいても』で舞台デビューを果たし、今年11月からスタートする舞台『無駄な抵抗』に出演。
舞台・『無駄な抵抗』公演情報
【日程】
2023 年 11 月 11 日(土)~11 月 26 日(日) 世田谷パブリックシアター
2023 年 12 月 9 日(土)~12 月 10 日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【キャスト】
(作・演出)前川知大
(出演)池谷のぶえ 渡邊圭祐 安井順平 浜田信也/穂志もえか 清水葉月 盛隆二 森下創 大窪人衛/松雪泰子
撮影/アキタ カオリ ヘア&メイク/木内真奈美(Otie) スタイリスト/荒木大輔 取材・文/海渡理恵
ゼニア カスタマーサービス
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