憧れの先輩に聞く、“私が選んだ今とこれから” VOL.3

どの年代でも、努力を積み重ねて“やりたいこと”を“やれること”に変えてきたMEGUMIさん。力強くてまっすぐな言葉には、自分らしく生きるためのヒントが詰まっていました。

2023年MORE9・10月合併号掲載企画から、インタビュー記事をお届けします。

MEGUMIさん 41歳「自分に向いていることは、時間をかけて見つけていけばいい」

MEGUMIさん

ドレス¥47300/ガニー その他/スタイリスト私物

目標を達成するためには、どんなことをするべきか。常に考えてきたから、今は「この仕事が好き」と胸を張って言える

やりたいことと求められることのギャップに悩んでいた20代

歌手を志して片っ端からオーディションを受けたものの、ひとつも受からなかった18歳の頃。最後の最後に以前所属していた事務所の社長と運命的な出会いを果たして、19歳の時にグラビアアイドルとして芸能界に入りました。当時は16歳とか17歳でデビューする人が多くて、かなり焦りがあったんですよね。だから、自分が思い描いていた形とは違ったけれど、あとから歌手活動もできればいいかなという感覚で。若さと勢いがすべてだったと思います。

そこからの数年間は、バラエティもグラビアも芝居も、とにかく来たものは全部やって、「売れてやるぞ!」の一心で突っ走る日々。でも、仕事をすればするほど、自分のアイデンティティもわかってくる。たとえば、ドラマひとつとっても、憧れるのは主演だけど、実際にいただけるのは主人公の隣で恋愛を応援する役。最初の頃は、若さゆえの自信や鈍感さが邪魔をして、その事実を受け入れられなかったんです。ただ、一方で、毒舌コメントのような、なんの苦もなくサラッとやったことがよろこんでもらえる機会も増えていって。「得意を伸ばしていくことって、おもしろいのかもしれない」。そう気づいてからは、やりたいことと求められていることの折りあいをつけられるようになっていきました。

自分に向いていることがわからなくて悩んでいる人は、きっと少なくないはず。でも、目的意識さえ失わずに、縁を感じたことや目の前のことを続けていくと、「これかな?」っていうものがぼんやり見えて、どんどん濃くなってくるんです。それは、1年で見つかるかもしれないし、人によっては10年かかるかもしれない。大事なのは、すぐに答えを出そうとしないこと。一発で出合えるなんてなかなか奇跡的なことなので、焦らなくていいと思いますよ。

グラビアアイドルをしながら女優業もスタートした20代前半

20代前半のMEGUMIさん

芝居をしたい。想いを叶えるため、できることはすべて実践した30代

私が結婚したのは、26歳の時。子どもを授かったので、タイミング的にまだ早いなんて考える余地もなく、かなりのスピード感で事が運んでいきました。もちろんよろこばしいことではあったけれど、気持ち的にはまだまだ遊びたいし働きたかったから、焦りに焦っていましたね。産後の仕事復帰も驚かれるほど早かったんです。とはいえ、いざ復帰しても、今度はいただく仕事とやりたい仕事がまったく一致しない。「芝居ときちんと向きあっていきたい」と思っていた私のもとに届くのは、ママタレントとしてのオファーばかりだったんです。そこで、芝居をするためにはどうすればいいかを考えて、事務所に意思を表明したり、とにかく映画を観たり、アクティングコーチの方の指導を受けたりと、思いつくかぎりのことをするように。その結果、やりたいこととやれていることがようやく一致し始めたのが、30代後半の頃でした。

30代にかぎらず、どのタイミングでも目標達成までのプロセスを定めて、自分自身をコントロールしてきました。おかげで今も一日にこなさなきゃいけないタスクが基本的に8から12はあるんですけど、無理なくできる理由は「好きだから」。そのひと言に尽きるんです。

振り返ってみると、30代はやっぱり大変でした。若くもなければ大御所でもないし、キャラ設定みたいなものもファッションもすべてをアップデートしていかないといけない。戸惑うことが多いからこそ、素敵に年を重ねるためにはめざしたいイメージを見つけるといいかもしれないですよね。私が理想とする女性像は、イタリア人女優のモニカ・ベルッチ。知的で色気があって、大人っぽさと攻めているバランス感が絶妙。アイコン的な存在です。

一歩踏み出す時、やらない理由はない。これからも心の赴くままに

もがき続けた30代を経た今は、すごく強くなれたし、やっぱりこの仕事が好きなんだなということがより濃くわかってきました。最近は映画やドラマのプロデュースを本当に楽しくやっていて、これからも若い才能ある監督たちと切磋琢磨しながら、生涯作品をつくっていきたい。そして、もうひとつの目標が、日本の作品を海外に届けること。そのために10年くらいずっと英語を勉強しているんですけど、なかなか難しくて。でも、「やってみたら大丈夫でしょ!」みたいな、根拠のない自信はあるんです(笑)。それはきっと、芸能界に飛び込んだ時も、プロデュース業を始めた時も、なんとかなってきたから。大人になると何ごともやらないほうがいい理由を探してあきらめてしまいがちだけれど、挑戦してみたら誰かが助けてくれるんです。だから、読者のみなさんにも一歩踏み出す勇気は大切にしてほしい。大丈夫です、もし失敗しても命まではとられませんから(笑)。

あの頃の私へ、伝えたいこと

どんな自分も受け入れて前へ進め!

20代って女性ホルモンの分泌が盛んだし、感情をコントロールしにくくなることもあるはず。でも、時とともに落ち着いていくもの。今感じていることのすべてが未来の自分を構築する要素だから、そのまま進んでほしい!

MEGUMIさん

MEGUMI’s 41years

19歳 グラビアアイドルとしてデビューしタレントとしても活躍

22歳 ドラマ『プライド』(フジテレビ系)に出演

26歳 『SS』で映画デビュー
    結婚

27歳 出産

35歳 石川県・金沢でパンケーキカフェ『Cafe たもん』をオープン

38歳 映画『台風家族』と『ひとよ』の演技が評価され第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞

41歳 初プロデュースした映画『零落』が公開

MEGUMI

めぐみ●1981年生まれ、岡山県出身。俳優のほかに、ウェブメディア『+COLLABORATE』でのコラボレートや映画『零落』のプロデュース、カフェ経営など幅広く活躍。美容本『キレイはこれでつくれます』(ダイヤモンド社)が大ヒット中

撮影/峠 雄三 ヘア&メイク/加藤恵美 スタイリスト/大浜瑛里那 取材・原文/吉川由希子 ※MORE2023年9・10月合併号掲載