【土屋太鳳】映画『マッチング』の撮影裏話や共演者とのエピソードは?
今や多くの人にとって身近な存在となったマッチングアプリ。インターネット上の出会いから始まる恐怖をノンストップの展開で描いた新感覚サスペンス・スリラー映画『マッチング』が2月23日(金・祝)に公開されます。インタビュー前編では、今作で主人公を演じた土屋太鳳さんに、役と真正面から向き合った日々や、共演の佐久間大介(Snow Man)さん、金子ノブアキさんとのエピソードについて伺いました。
土屋太鳳さんプロフィール
つちや・たお●1995年2月3日生まれ、東京都出身。Netflixで独占配信中の人気ドラマシリーズ『今際の国のアリス』シーズン3への出演が決定している。フォトブック『たおリズム』(小学館刊)も1/29発売! さらに、新キャストとして出演する映画『帰ってきた あぶない刑事』が5月24日公開予定。
輪花を演じながら、家族に心配されるほど追い込まれていった
――土屋さんが演じられたのは、ウェディングプランナーとして仕事は充実しているけれど、恋愛には奥手な輪花。役作りについて、内田英治監督とはどんなお話をされましたか?
土屋さん(以下、敬称略):クランクイン前に、監督が「俺は音楽のライブを観て、本番には本番の強さがある、一回しかできないことがあるんだなと凄く影響を受けたんだ。太鳳ちゃんにもダンスをやっている人ならではの爆発力があるはずだから、これからそんな感じでやっていけたらいいな」というお話をしてくださいました。
撮影が始まったころは、いろいろ試してくださっていたと思います。ある場面で「ダンスだと思ってやってみて」とおっしゃって、からだで表現をできるだけしてみようと思ってやってみたところ、「あ、やっぱりこっちかな」、と別の表現を探してくださったり、一緒に試行錯誤してくださいました。演出としては、リハーサルの時からもっと力を抜いて、もっと声が小さくていい、と声をかけてくださっていて、実は現場では佐久間さんの声が聴こえないほど小さかったのですが、映像でみるとちゃんと成り立っていてさすがだと思いました。
――プロデューサーの二宮直彦さんは、輪花役について「可愛さと芯の強さを併せ持った土屋さんしか考えられなかった」とおっしゃっていましたが、ご自身と輪花が似ていると感じたところはありましたか?
土屋:二宮さんの言葉が凄く嬉しくて、恐縮です。次にお会いしたらお礼を伝えたいと思います。輪花は基本的に、普通の女の子なので実はいろいろな方にとって共通点を見つけやすい人物なのではないかと思います。私が共感できた部分は、家族と仲がいい点です。また、お仕事をしているうえで一緒に仕事を仲良くがんばれる友人がいる点は共感できる部分でもありますし、輪花のよさでもあると思います。
――輪花が涙を流しながら絶叫するシーンが印象的でしたが、演じていて大変だった部分はありましたか?
土屋:大変というか、本当につらかったです。
つらすぎて自分が消えてしまいそうでしたし、家に帰っても輪花が全然抜けなくて、家族も心配するくらい憔悴してました。スカイダイビングをしたら人生観が変わるという話を聞いて輪花と一緒に人生観を変えようと思って、移動中にスカイダイビングを検索したら、あまりにも費用が高かったのでやめたんですけど、それくらいつらかったです。現場で金子さんと佐久間さんが少年のように明るくなさっていてその様子に心を救われていました。
吐夢は、佐久間さんだからこそ作り上げることができた人物像
――佐久間⼤介さんや、⾦⼦ノブアキさんとの共演はいかがでしたか?
土屋:お二人とも背筋が寒くなるほどの異様さや、その中で心が張り裂けそうなほどの切なさを表現されていて本当にすごかったです。
佐久間さんは、音楽番組でご一緒した時の印象と真逆というより、更に想像がつかないほどのブラックホールのような目に言葉を失いました。でも、そんなに冷たい目なのにどこか守りたくなるような目でもあって、あの吐夢は佐久間さんだからこそ生み出すことができた人物像だと思います。
金子さんは、もともと私は『クローズZERO』という作品が好きで、子どもの頃に何度もDVDを観ていたんですけど、そのあとに『花子とアン』でもご一緒して『今際の国のアリス』という作品でもご一緒したのですがどの作品も全然違う金子さんで圧倒されました。今回は特に、すごくつらい場面で輪花と心が通った瞬間を感じさせてくださる演技が本当に印象的でした。
――現場では、どんなお話をされましたか?
土屋:佐久間さんとは、私が18歳の頃にSnow Manさんの出演されている舞台を拝見してすごく感動したことを現場でお伝えさせていただいたら、にこやかに「ありがとう」と言ってくださいました。ほかにも、おたがいの兄弟構成が似ていて、佐久間さんもご家族と仲がいいという共通点があったので、「家族っていいですよね」っていう心があたたまるお話をした記憶があります。
――忘れられないエピソードはありますか?
土屋:役として生きている以外の時間では金子さんと佐久間さんが現場を明るくしてくださっていました。
お二人とも役ではない時は本当に明るいかたで、どうやって切り替えているのか毎回不思議だったんですけど、あるとき金子さんが「ドラムってガチガチに力を入れてスティックを握っていると叩けないんだよ。力を抜くことが大事。演技でもその感覚があるかも」とお話してくださって、「なるほど!」と納得しました。だから金子さんは力を抜きつつ、あんなに強い破壊力を持っていらっしゃるのだと思います。佐久間さんもライブ経験をたくさんお持ちなので、独特な爆発力を培っていらっしゃるのかなと思いました。
――MORE読者世代に向けて、映画『マッチング』の見どころを教えてください。
土屋:ぜひこの作品を通して、人の本質を見つめることの大切さ、人間関係をつなぐことの大切さをあらためて見つめてみていただきたいなと思います。マッチングアプリは今すごく身近な存在で、アプリをきっかけにいい関係を築けている方がいたり、人と出会うツールが増えたという意味ではとてもいいことだと思うんです。
この作品が描いているのはマッチングアプリが良いか悪いかではなくて、人の本質をしっかり見て、丁寧につながるということが大事なのかもしれない、という投げかけなのかなと思います。
観る人によって違う感想を持つ作品だと思うので、ぜひいろいろな感想を、SNSなどで教えていただけたら嬉しいです!
映画『マッチング』
あらすじ
ウェディングプランナーの輪花(土屋太鳳)は、同僚にすすめられ、渋々マッチングアプリに登録。マッチングした吐夢(佐久間大介)と待ち合わせると、目の前に現れたのはプロフィールとは別人のように暗い男だった。さらに、その日をさかいに輪花のスマホは吐夢からの連絡で通知が鳴り止まない状態に。恐怖を感じた輪花は、取引先のマッチングアプリ運営会社でプログラマーとして働く影山(金子ノブアキ)に助けを求める。同じ頃、アプリを通じて結婚した夫婦が惨殺される事件が連続して発生。輪花を取り巻く人物たちの“本当の顔”が次々に明かされ、事件の魔の手が輪花に迫る――。
●2月23日(金・祝)全国ロードショー ©2024「マッチング」製作委員会
撮影/KAZUYUKI EBISAWA(makiura office) ヘアメイク/尾曲いずみ スタイリスト/藤本大輔(tas) 取材・文/吉川由希子