【医師・友利 新】18歳で宮古島から上京。猛勉強した20代を経て見つけた“理想の医師像”とは
今の20代に向けた、素敵な人生の先輩から言葉のエール
恋愛や結婚、仕事、将来への不安……etc. たくさんの悩みや葛藤を抱え、揺れながら生きる20代。同じように雌伏の時を経て、30代、40代で光り輝く先輩に、人生の歩み方のヒントをうかがいました。今回は医師の友利新さんにインタビュー。
勉強と仕事に没入した20代前半。“転科”が世界を広げるきっかけに
情報を楽しくわかりやすく。新しい医師像を模索した20代
医師を目指し、18歳で宮古島から上京。初めてのひとり暮らしは大変だったものの、若い頃に経験しておいてよかったことのひとつと話す友利さん。
「電車に乗るのも初めてという田舎者だったので、まずは東京に慣れるのに精いっぱい。当時はネットがなかったから、暮らしに必要な家電を買い揃えるのにも苦労しました。けれど、頼れるのは自分しかいないという中で、炊事や洗濯、お金の管理などの生活の基本はもちろん、自分で自分の機嫌を整える術を身につけられたのはよかったなと思います」
6年間猛勉強し、24歳で晴れて研修医に。いつか宮古島に戻ることも考え、選んだのは内科。なかでも糖尿病の予防医学の専門医を目指しました。
「診察するうちに気づいたのが、糖尿病の患者は皮膚疾患など見た目に関わる症状が出ると、積極的に治療に取り組んでくれるということ。徐々に皮膚科への興味が高まり、26歳で転科を決めました」
科を変える決断をすると同時に、理想の医師像を見つけたのもこの頃。
「医師って不思議な職業で、大学を出るとすぐに先生と呼ばれ、高い収入を得るようになる。でも、教授に比べると知識も経験も圧倒的に少なくて、特に研修中は、『自分は果たして役に立てているのか?』と悩むことも多かったんです。そんな時に思いついたのが、〝楽しくわかりやすく伝える〟ことだけは、誰にも負けない医師になろう! ということ。その後メディアに出て肌や美容のことを発信するようになり、より積極的にその役割が果たせるようになったのは、私にとってとてもうれしいことでした」
自分をよき方に導いてくれるのはいつも「人との出会い」
友利さんがぜひ20代でやってほしいと話すのは、積極的に人と会うこと。
「転科する時も、テレビや雑誌に出ると決めた時も、たくさんの人が助言をくれて、自分の進む方向を決めることができました。ひとりで考えていても何も生まれない。20代はビッグマウスなくらいが魅力的なので、いろんな人の前で夢を語り、さまざまな意見に耳を傾けてみてください。自分の可能性が広がると思います」
3人の子どもを持つ母でもある友利さんからは、さらにこんなアドバイスも。
「実は私は中学生の頃に子宮内膜症と診断され、子どもは望めないかもと思って生きてきました。ところが、35歳で2度目の結婚をしたあと、幸せなことにすんなり妊娠。病気のおかげで婦人科に定期的に通い、ピルを服用してきたのが結果的によかったようです。今は子どもを欲しいと思っていなくても、いつかは望む日が来るかもしれない。まだ20代なら、焦って卵子凍結を考えるより、不調を感じたら早めに受診する、体を冷やさないなどして、『産める体』に整えておくことが最優先だと思います」
My turning point
18歳(1996)
上京し東京女子医大入学
24歳(2002)
大学卒業、東京女子医大病院研修医に
26歳(2004)
「ミス日本」出場、準ミス日本に選ばれる
内科から皮膚科へと転科
雑誌やテレビで情報発信を始める
30歳(2008)
結婚
32歳(2010)
離婚
35歳(2013)
再婚
36歳(2014)
長男を出産
38歳(2016)
長女を出産
39歳(2017)
琉球大学病院非常勤講師
41歳(2019)
次女を出産
45歳(2023)
梅花女子大学客員教授
My Twenties
(上)医師免許を取得し、大学病院の内科の研修医として2年間勤務。24歳の頃。このあと皮膚科に転科 (下)26歳で「ミス日本」に出場、準ミスに輝く。次第にメディア出演が増加
友利 新さんが迷える20代に明解アドバイス!
Q. 結婚相手に求めるところ、妥協すべきところは?
結婚に憧れがあるのですが、今の彼と結婚して幸せになる未来が想像できません。理由は、相手の給料や、相手の実家、趣味への理解ができないことなど。結婚相手には何を求め、どこまで妥協すべきでしょうか。(25歳・販売)
最も譲れない点さえクリアしていればOK!
1度目の結婚では、夫に「家庭に入って」と言われて2年で離婚。再婚相手は顔や趣味はドンピシャではありませんが、仕事を続けたいという意思を尊重してくれるし、家事は外注などの価値観も合う。ここだけは譲れないという点さえ合格なら、あとはなんとでもなると思います!
Q. 仕事と子ども、どちらか選ぶ必要がある?
仕事に大きなやりがいを感じています。子どもを持ったら、正直今と同じ働き方はできないため、いずれどちらかを取らなければいけないのかと悩んでいます。(30歳・マーケティング)
完璧に両立している人はいない。できるだけ人の手を借りて
仕事が大好きだったので、20代は子どもを持つことをまったく考えていませんでした。それが、今の夫の希望もあり、最後は不妊治療をして3人の子どもを持つことに。仕事を続けるために、家事や子どものお世話を含め、かなりアウトソーシングをしています。とはいえ、生まれた後にクリニックに出る回数を減らすなど、働き方を変えた部分も。その時その時の自分の状況に合わせて、しなやかに変化していけばいいと思うので、あまり悩まないで。
最後に、20代への3つのアドバイス
・誰にも負けないことをつくる
・いろんな人に夢を語り意見に耳を傾ける
・いつか「産める体」に整えておく
Text&Edit : Mizuho Kurita