ブレイクの実感はないけど、それくらいがいいと思っています。

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9月に幕が上がる『サメと泳ぐ』に出演する田中圭さん。大物プロデューサーのアシスタントとなるが、権力に屈して辛酸をなめる、脚本家志望のガイを演じる。

「彼は、キラキラした夢を抱き、一生懸命。なのに、現実に打ちのめされ、諦めてしまいそうになります。どんな世界にも大きな力に勝てないといった、似たような状況は多かれ少なかれあると思うんです」

20代の頃、田中さんもガイと似たような経験があったという。

「オーディションで最後の2人まで残ったんですが、いろいろな大人の事情で落ちたことがあるんです……。でも、そのことを芝居の先生にぐちったら『お前はバカか』と。『それでも使いたいと思わせる俳優になればいい。文句を言う暇があったら自分を磨け』と言われ、救われたんです。あれ以来、『どうせ』とはなから諦めて完全降伏しなくなりましたし、焦りや嫉妬も消えましたね」

それから着実にキャリアを重ね、現在は多忙を極める日々だが年1本の舞台出演を決めている。

「稽古は嫌いですけど(笑)、大前提としてお芝居が大好き。1カ月かけて脚本を読み込み、掘り下げ、本番が始まってからもその世界にどんどん深く潜っていける。そんなふうにひとつの役を濃密に演じられるのが舞台です。とても贅沢な時間を過ごせるからこそ、生意気にも『舞台作品は自分で決めたい』と事務所にお願いしています。ガイは終盤、本人さえわからない感情が芽ばえていきます。それが何なのか。稽古や本番を通じて見つけるのが楽しみです」

この作品に関しては、『僕目当てで来たら、ケガするよ』とだけ伝えておきます(笑)

田中圭さんといえば、最近は春のドラマ『おっさんずラブ』のヒットを受けて絶賛ブレイク中。

「この前、山下(智久)と会ったら『圭くんがすごいことになってる!』と喜んでハグしてくれたんですけど、あまりピンときてなくて(笑)。それほどブレイクの実感はないです。でもそれくらいでいいのかな、週刊誌に狙われても困るから(笑)」

ドラマでは、鍛え上げられた肉体を披露し、ファンを喜ばせた。

「ドラマの間は鍛えていなかったんですけどね。舞台の時こそ毎回、鍛えてやるぞと意気込むんですが、どうでしょう(笑)。時間がないほうがやる気になるタイプなんですよ」

ブームを受けて、劇場には田中さんを求めて観客が殺到しそうだ。

「もし、僕という存在が観劇のきっかけになれるのだとしたらうれしいです。ただこの作品に関しては、『僕目当てで来たら、ケガするよ』とだけ伝えておきます(笑)」


たなか・けい●1984年7 月10日、東京都生まれ。2003年、ドラマ『WATERBOYS』で脚光を浴びて以降、映画『図書館戦争』シリーズや『伊藤くん A to E』など数々の話題作に出演。現在はドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系・火曜21:00〜)に出演中

『サメと泳ぐ』は9/ 1(土)から! 地方公演もあり☆ 

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『サメと泳ぐ』

華やかなショービズ界の裏側でうごめく駆け引きや権力闘争を描く。演出は、俳優でもある千葉哲也。共演に田中哲司、野波麻帆ら。◆ 9 / 1~ 世田谷パブリックシアター(地方公演あり) ●サンライズプロモーション東京 ☎0570・00・3337