12星座全体の運勢

「快活さの追求」 

暑くも寒くもない、過ごしやすい時期ではあるものの、暦の上ではもう晩秋に入っていく10月6日にてんびん座13度(数えで14度)で新月を迎えていきます。 

今回の新月のテーマは、「力の抜き方を知ること」。人間は、というより、生物は、休息なしに健全な生活サイクルを維持できませんが、コロナ禍が長期化してきた今だからこそ改めて、質の良い休息の仕方だったり、休息にどれだけ創意工夫を凝らしていけるかということに取り組んでいきたいところ。 

例えば、一日のなかで感情的に落ち着かせるためにゆるむ時間をきちんと作るということだったり、そもそも身体のリズムを尊重することだったり。いずれにせよ、ただでさえしんどい現実のなかで喜ばしくない側面を追い払い、生命としての健全なリズムに入っていくための自分なりの切り口をひとつでも明確にしていくことが大切になってくるはず。 

スポーツの秋というように、今では秋の季語になっているものに「運動会」がありますが、官僚としての最高職まで昇りつめた富安風生が引退後に詠んだ「秋晴の運動会をしてゐるよ」という、まるで子どもみたいな一句などは、力の抜け加減としては大いに参考にしていきたいところ。 

そうして、今期はすこしでも朝起きたときにざらりとした不快な目覚めを迎える瞬間を減らし、自分のために快活な人生を組み立てていくことを大事にしていきましょう。 
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蠍座(さそり座)

今期のさそり座のキーワードは、「大いなる同一性」。

蠍座のイラスト
ステイホームの常態化によって日本社会では分断と孤独とが以前よりグッと深まったように感じますが、宗教学者の上田紀行によれば、悪魔祓いの儀式が今でも残っているスリランカにおいても悪魔は「孤独な人に憑く」のだと言います。 
 
具体的には、生気を失い、魂の抜かれた姿でさまよい続ける人を見ると、あちらでは「悪魔が憑いた」と見なし、すぐに村人総出で「悪魔祓い」の儀式を行い、治してしまうのだとか。一方で、上田は帰国後に日本人を見て、「何かが憑いている」と感じたのだとも述べています。人ごみの中で感じる、生気のなさやピリピリ感、何とも言えない息苦しさや抑圧された感じ。その謎を解くヒントを上田はスリランカでみつけたと感じたのだと。 
 
その成果をまとめた『スリランカの悪魔祓い』では、孤独に陥りがちな現代日本人に、社会や人とのつながりや、何よりある種の儀式の重要性を問いかけているのですが、例えば次のような箇所には今読んでも示唆に富んでいるように思います。 
 
なぜ宗教的な儀式のはじまりには意味不明の呪文が置かれているのだろう。悪魔への供えものの段も意味不明の呪文からはじまっていた。そしてなぜ、古より人々は聖なる場所に入っていく前に呪文を唱えたのだろう。それは呪文によって左脳の分析的な流れを止めることで、感覚的な右脳の働きを活性化させるためではなかったか。そして呪文によって活性化された右脳は、ふだんは見えない悪魔を呼び寄せ、ふだんは感じられない聖域に漂う何ものかをキャッチするアンテナとなるのだ」 
 
ここで「右脳」という言葉が使われているのは、多分にニューエイジの影響も感じるのですが、上田は他のものとの差を見つけ出して分析する左脳に対して、右脳は同一性に基づいたアイデンティティを導きだすのだと述べた上で、右脳の働きがたどり着いていく先にあるのが「大いなる同一性」としての「いのち」であり、「同一性に焦点が合わされたとき、そこには「つながりあったいのち」というもうひとつの世界が開けてくる」のだとも述べています。 
 
今期のさそり座もまた、自分自身を寛がせる何よりの方法として、そうした「いのち」の感覚の滋養ということを考えてみるといいでしょう。 
 
 
参考:上田紀行『スリランカの悪魔祓い』(講談社文庫) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ