12星座全体の運勢

「あえて空気を読まない」 

落葉の季節である「小雪」をいよいよ迎えていこうかという11月19日に、今年2回目の月食満月がおうし座27度(数えでは28度)で起きていきます。 

そんな今回の満月のテーマは「逆張りによる自己解放」。それは与えられる幸せや恵みをただ素朴に受け取り、自然な流れとして黙って従っていくのではなく、むしろ世の中の「普通」やこれまでの自分だったら「当然」と感じるような展開に思い切って反することで、人生に対する新しい見方・考え方を抱くことをみずから可能にしていくということに他なりません。 

つまり、迷ったらあえて大変そうだな、とか普通ならこうしないな、という方を選んでいくということで、これは変に豊かな経験にとらわれた愚かさから脱却し、結果的に心からの「若返り」を図っていくということでもあります。 

たとえば、今でこそ本来の季節以外でも手に入る花が増えましたが、昔は冬には花は咲かないのが普通でした。そんな中でキンセンカの花は歳時記では春の季語ですが、花期がひときわ長いために、「時不知(ときしらず)」と呼ばれ、冬でも咲いています。 

しかし本来、おそらく一番の時不知は私たち人間でしょう。ときに時間の流れや法則さえも超えてしまうことこそが人間の自然な本質でもあり、年齢や性別、社会的立ち位置などに囚われず、行動していくことは人間的な愉しみの原点でもあるように思います。その意味で、今期のあなたもまた、そんな「時不知」のひとつとなって、狂い咲いていくことになるかも知れません。 
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山羊座(やぎ座)

今期のやぎ座のキーワードは、「一生の問い」。

山羊座のイラスト
禅のさまざまな公案のうちでも、いちばん難しいとされ、もっとも卒業しにくいものとされる公案に「婆子焼庵(ばすしょうあん)」というものがあります。これは逆に言えば、この問題がある限りは決して修行を卒業できず、生きている限り禅の修行は一生続くのだと考えられていたということでもある訳です。 
 
ざっと公案の大意を説明すると、あるお婆さんが一人の青年僧の衣食住すべての世話をして、二十年がたったところで、年頃の娘に飯を運ばせ始めます。そしてある日、娘に青年僧へぴたりと抱きつかせて「このあたしをどうしてくれます」と言わせたのです。それに対して、青年僧は「枯木寒巌に倚りて、三冬暖気なし」とあらかじめ用意していた出来あいの句で答えた。ところが、娘の報告を聞いたお婆さんは、あれは俗物のニセモノだとして、青年僧を追い出し、草庵を焼き棄ててしまったのです。 
 
さあ、この話をどう捉えたらいいか。柳田聖山の『一休 「狂雲集」の世界』という本によれば、一休はこの老婆は親切が過ぎており、さながら泥棒にはしごを貸してやるような老練なやり口だとして、ポジティブに捉えたのだそうです。どういうことか。 
 
娘の誘惑を拒否した青年僧は立派ではあれど、「枯れ木が寒さ厳しさにすっかり馴染んでいる(ように俺は娘になんか眼中にない)」というその答えはいかにも四角四面であり、温かみや柔らかさに欠ける訳ですが、一休はそれに「枯れ木に再び春が巡って、青い芽を吹く」という詩を付したのです。 
 
これはつまり、老婆が娘を与えるという余計なこと(老婆心の発揮)をしたばかりに、書物や先人に教わるだけでは決して会得することができなかった、「内側から芽生えてくる力」が青年僧に促されたのであり、柳田によればそれくらい、「禅と言えども、男女の問題だけは決まった解答を出せない」し、「自分自身で処理していく他はない」のだと考えられていたのであり、むしろ、禅の修行者ゆえに、それが求められるということを、まさに一休の答えは象徴しているのだと言うのです。 
 
同様に、今期のやぎ座もまた、自分自身も「枯木寒巌に春が巡って、花が咲く」ために、あらかじめ答えが決まっている訳でもない、一筋縄ではいかない問題にどうぶつかっていくべきか、ということが多かれ少なかれ問われていくことでしょう。 
 
 
参考:柳田聖山『一休 「狂雲集」の世界』 (人文書院) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ