【乙女座】哲学派占い師SUGARさんの12星座占い<12/12~12/25> 月のパッセージ ー新月はクラい、満月はエモいー
12星座全体の運勢
「最初の思い」
年末が近づき、慌ただしさが増すとともに、華やかに街がにぎわうこの季節。そんな中、冬至直前の12月19日にふたご座27度(数えで28度)で今年最後の満月を迎えていきます。
ふたご座28度のサビアンシンボルは「破産宣告を認められた男」。ここではもはや「優れた個人であることを証明する」という不毛な競争のフェーズが終わり、これまでどこかで違和感を感じていたアイデンティティやセルフイメージを不可逆的に壊していくことがテーマとなっていきます。
ただ、それは本質的には必ずしもネガティブなものではなく、どんな人間もひとりで生きている訳ではない以上、自分がどんなコミュニティに属していて、いかなる仕方で持ちつ持たれつの網目の中にあるのかということを改めて可視化していく通過儀礼であると同時に、救われたい、誰かに、ないし社会に良いことをしたい、と心から最初の思いを発揮しなおしていく大きな節目ともなっていくように思います。
ちょうど、この時期には「南天」が鮮やかな赤い実をつけますが、実に咳止めの薬効があり、葉にも腐敗防止の作用があるとされ、何より「難を転じる」という語呂合わせから、古来より縁起がいいとされてきました。
今期のあなたもまた、みずからの未熟さ、つたなさを念頭に初心にかえり、これから自分は何をしていきたいのか、という「最初の思い」を真っ白な紙の上に書き出してみるといいでしょう。
ふたご座28度のサビアンシンボルは「破産宣告を認められた男」。ここではもはや「優れた個人であることを証明する」という不毛な競争のフェーズが終わり、これまでどこかで違和感を感じていたアイデンティティやセルフイメージを不可逆的に壊していくことがテーマとなっていきます。
ただ、それは本質的には必ずしもネガティブなものではなく、どんな人間もひとりで生きている訳ではない以上、自分がどんなコミュニティに属していて、いかなる仕方で持ちつ持たれつの網目の中にあるのかということを改めて可視化していく通過儀礼であると同時に、救われたい、誰かに、ないし社会に良いことをしたい、と心から最初の思いを発揮しなおしていく大きな節目ともなっていくように思います。
ちょうど、この時期には「南天」が鮮やかな赤い実をつけますが、実に咳止めの薬効があり、葉にも腐敗防止の作用があるとされ、何より「難を転じる」という語呂合わせから、古来より縁起がいいとされてきました。
今期のあなたもまた、みずからの未熟さ、つたなさを念頭に初心にかえり、これから自分は何をしていきたいのか、という「最初の思い」を真っ白な紙の上に書き出してみるといいでしょう。
乙女座(おとめ座)
今期のおとめ座のキーワードは、「自己承認欲求の血の池地獄」。
「自己承認欲求」という言葉をよく聞くようになった、と橋本治が書いていたのは2017年になったばかりの頃のエッセイでした。
どうもその頃から、私たちは「どうでもいい写真をSNSに載せるのは自己承認欲求だ」とか、そういう言い方を頻繁にするようになったのだそうですが、それが「下らない自己主張」ではなくて「自己承認欲求」なのは一体どういうことなんだ、と橋本は考えました。
相手がいなくても勝手にできるのが自己主張ですが、自分を認めてくれる相手を必要とするのが自己承認欲求なわけで、そうすると自己承認欲求というのが当たり前のように広がっているということは、誰もがみな「私は認められてしかるべき」だと思う根拠を勝手に持っているということで、橋本さんはそうすると、誰がそうした承認欲求を満たしてくれるんだろうか、と畳みかけます。
芥川龍之介の昔なら、認められたいと集まったみんなが集まる地獄につながってる極楽にお釈迦様がいて、これはと思った場合は蜘蛛の糸を下ろされたりもしようけれど、特別な立場をもつ人がいなくなって、みんなが平等に自己承認欲求を抱いて自由に口にできるようになっちゃうと、いつの間にかみんな「自己承認欲求のさざ波が立つ平等の血の池地獄」に立ってあえいでいるんじゃないか、と。
そして、それは「他人に認めてもらいたくてジタバタする不幸な子供」であり、世界情勢に目を移すと、「世界の警察」の役割をしていたオバマのアメリカに対する金正恩なんか、まさにアメリカと平和条約を結びたくて「こっちを認めてくれ」と言っている不幸な子供そのままだろうと指摘してみせるのです。
一方で、橋本は自身の経験を踏まえて「世の中って、そんなに人のことを認めてなんかくれないよ」と漏らし、「自己承認欲求というのは平和がもたらした贅沢な産物」であり、もう自分は一人前の大人なんだ、という明確な自覚を持てなかった人がかかる現代病なのだと釘を刺します。
その意味で、おとめ座から数えて「世間」を意味する10番目のふたご座で満月を迎えていく今期のあなたもまた、そうした自己承認欲求そのものがほとんど成り立たない社会状況のなかで、「人生ってそんなもんだよな」と、北風が吹く荒野をひとり歩いていけるかどうかが問われていくのではないでしょうか。
参考:橋本治『思いつきで世界は進む』(ちくま新書)
どうもその頃から、私たちは「どうでもいい写真をSNSに載せるのは自己承認欲求だ」とか、そういう言い方を頻繁にするようになったのだそうですが、それが「下らない自己主張」ではなくて「自己承認欲求」なのは一体どういうことなんだ、と橋本は考えました。
相手がいなくても勝手にできるのが自己主張ですが、自分を認めてくれる相手を必要とするのが自己承認欲求なわけで、そうすると自己承認欲求というのが当たり前のように広がっているということは、誰もがみな「私は認められてしかるべき」だと思う根拠を勝手に持っているということで、橋本さんはそうすると、誰がそうした承認欲求を満たしてくれるんだろうか、と畳みかけます。
芥川龍之介の昔なら、認められたいと集まったみんなが集まる地獄につながってる極楽にお釈迦様がいて、これはと思った場合は蜘蛛の糸を下ろされたりもしようけれど、特別な立場をもつ人がいなくなって、みんなが平等に自己承認欲求を抱いて自由に口にできるようになっちゃうと、いつの間にかみんな「自己承認欲求のさざ波が立つ平等の血の池地獄」に立ってあえいでいるんじゃないか、と。
そして、それは「他人に認めてもらいたくてジタバタする不幸な子供」であり、世界情勢に目を移すと、「世界の警察」の役割をしていたオバマのアメリカに対する金正恩なんか、まさにアメリカと平和条約を結びたくて「こっちを認めてくれ」と言っている不幸な子供そのままだろうと指摘してみせるのです。
一方で、橋本は自身の経験を踏まえて「世の中って、そんなに人のことを認めてなんかくれないよ」と漏らし、「自己承認欲求というのは平和がもたらした贅沢な産物」であり、もう自分は一人前の大人なんだ、という明確な自覚を持てなかった人がかかる現代病なのだと釘を刺します。
その意味で、おとめ座から数えて「世間」を意味する10番目のふたご座で満月を迎えていく今期のあなたもまた、そうした自己承認欲求そのものがほとんど成り立たない社会状況のなかで、「人生ってそんなもんだよな」と、北風が吹く荒野をひとり歩いていけるかどうかが問われていくのではないでしょうか。
参考:橋本治『思いつきで世界は進む』(ちくま新書)
<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ