12星座全体の運勢

「持ち越して行くべきもの」 

いよいよ激動の2021年も終わり、年が明けてすぐの1月3日にはやぎ座12度(数えで13度)で2022年初となる新月を迎えていきますが、そんな今回の新月のテーマは「超越への意志」。 

ちょうどこの時期は七十二候で言うと「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」にあたり、この雪の下で芽を伸ばす麦のことを、別名「年越草(としこしぐさ)」と呼んだりするのですが、これは秋に発芽して冬を越し、次の年になって実を結ぶ植物(一年草に対して越年草とも言う)の代表が麦であるということに由来しています。 

同様に、年が改まったからと言って、それまでのものが何もかも終わってしまう訳ではなく、むしろ次の年へと何が何でも持ち越していかなければならないものが必ずあるはず。それは大切な人との縁であれ、経験を通じて得られた学びであれ、まだ解決できないままくすぶっている問題であれ、事柄の種類は何であっても構いません。いずれによせ大切なのは、それが確かに在るからこそ自分が強くなれたり、エネルギーが一気に引き揚げられたり、また、人生が未来へと開けていきそうだと心から感じられるかどうかなのです。 

もしそういうものが一つでも見つかったならば、改めて今回の新月の期間には、岩に忘れてはならない教えや掟を刻むがごとく、旧年から持ち越していくべきものとの合一や血肉化を試みてみるといいでしょう。 
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水瓶座(みずがめ座)

今期のみずがめ座のキーワードは、「さようなら」。

水瓶座のイラスト
2020年の年末から1年間にわたって、世の中の潮流を司る木星と土星という二つの惑星がみずがめ座に滞在していた特別期間が2021年の年末で終わり、みずがめ座の人たちにとっては今回のやぎ座新月が次なる新たなステップに踏み出していくにあたって、これまでの総決算のタイミングとなっていきそうです。 
 
そして、こうしたタイミングにぴったりなのが、日本語の「さようなら」という言葉なのです。哲学者の竹内整一の『やまとことばで哲学する』によれば、一般に世界の分かれ言葉は①「グッドバイ」のように神の加護を願うもの、②「再見(サイチェン)」のようなまた会うことを願うもの、③「アンニョンヒ、ケセヨ」のような「お元気で」と願うものの3タイプに分かれるそうなのですが、「さようなら」や「さらば」はそのどれにもあてはまらないのです。 
 
竹内によれば、そこには「別れに際して、「さようであるならば」と、いったん立ち止まり、何事かを確認することによって、次のことに進んで行こうとする(逆に、そうした確認がないと次に進んでいきにくい)という、日本人に独特な発想がある」わけですが、それは自分が為してきたあれやこれやを、バラバラなまま放置してしまうのではなく、ひと繋ぎにまとめて「物語」にしていくということに他ならないのではないでしょうか。 
 
つまり、「さようなら」には、これまでの過去をふまえて現在を「さようであるならば」、あるいは「そうならねばならないならば」と、どれほどかは確認する意味が込められている。/如意の「みずから」と不如意の「おのずから」とは、両方からせめぎ合いながら、その「あわい」で人生のさまざまな出来事が起きている。「さようであるならば」の確認とは、そのふたつながらの(むろんあいさつとして、いつも意識的ではありえないが、含意としての)確認・総括なのである。/先につながる事柄の何たるかは問わないままに、ともあれ「こちら」を生き切ることによって、「向こう」の何かしらとつながっていく、といった発想を日本人が持っていたということである。」 
 
世の中には出会いや別れも含めて、自分の力だけではどうにもならないことがありますが、「さようなら」にはそれをそれとして静かに引き受け、物語に昇華していくことで、その「向こう」の何かしらと繋がっていくある種の儀式的なパワーがあったのだと思います。 
 
今期のみずがめ座もまた、そんな儀式に臨んでいくつもりで過ごしてみるといいでしょう。 
 
 
参考:竹内整一『やまとことばで哲学する』(春秋社) 
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<プロフィール>
應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ