12星座全体の運勢

「先見の営み」 

暦の上では春となり、旧暦では一年の始まりとされた「立春」直前の2月1日には、新たなスタートを先がけるようにみずがめ座12度(数えで13度)で新月を迎えていきます。 

秩序と権威を司る土星と重なり、変革と逸脱を司る天王星と鋭い角度でぶつかりあう今回の新月のテーマは、「先見」。すなわち、近い将来へのプランニングです。 

動物は秋口になると、冬の厳しさに応じて毛皮が厚くなるものですが、そうした近い将来へ向けた準備と計画が可能なのは、未来の可能性がすでに現在において作動しているからに他なりません。それと同様、今回の新月においてもいかに時代の流れがどこへ向かって変化しつつあるのか、そして、今の自分は新しい流れと古い流れのどちらに属しているのかといったことをきちんと見極め、ごまかさずに認識していけるかどうかが問われていくはず。 

例えば、この時期の季語に「明告鳥(あけつげどり)」というものがあり、これは早朝に夜明けを知らせるように大きな声で鳴くニワトリの異名ですが、これは毎日必ず東から朝日が昇るという周期的プロセスを認識すること、誰よりも早く夜明けの兆しに気付くこと、それから気付いたことを周囲に分かるように伝える手段を持っていることという、三つの条件がそろって初めて成立している先見の営みの好例と言えます。 

今期の私たちもまた、夜明けの到来だけでなく、どんなにかすかでも未来へ通じる兆しをいち早く感じ取り、その見通しを知らせるニワトリとなって、希望を広げる一助となっていきたいところ。 
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双子座(ふたご座)

今期のふたご座のキーワードは、「“生きた自然”の回復」。

ふたご座のイラスト
全体運のところで、「秩序と権威」を司る土星と、「変革と逸脱」を司る天王星のせめぎ合いから、やがて来るだろう未来を先取りしていくことが今期のテーマだと述べましたが、こうした議論で私たちが生きている「今」という時代を捉えている人は少なくありません。 
 
例えば、公共政策と科学哲学を専門に、新しい社会の在り方について提言し続けている広井良典もまた、大きなレベルで「今」を特徴づけるのは、二つの相反するベクトルの「せめぎ合い」であるという見方をしています(『無と意識の人類史』、2021)。 
 
一つは、「地球環境の有限性や持続可能性という価値に目を向けつつ、環境・経済・福祉の調和した社会を志向するという方向」の流れで、広井はこれを「持続可能な福祉社会」や「ポススト資本主義」といった社会像と結びつけています。 
 
対するもう一つは、「様々なレベルでの「限りない拡大・成長」という方向をあくまで追求する方向」であり、そうした流れを代表するものとして「①人工光合成(に示される究極のエネルギー革命)、②地球脱出ないし宇宙進出、③ポスト・ヒューマン(人間そのものの改造ないし進化の次なる段階)」の三つが挙げられ、それは現代版不老不死という夢にそくした具体的テクノロジーと結びついた動きで、経済的なレベルでは「スーパー資本主義」と呼べるような姿と重なるのだといいます。 
 
ただ、広井個人としては後者の流れには、現在の人口過密や格差社会、環境破壊などの問題を深刻化させるだけなのではないかという点で、根本的に懐疑的だとした上で、現在の私たちにとって重要なのは、かつての「心のビッグバン」や「精神革命」に匹敵するような新たな世界観の創出であり、それを人間と人間以外どころか生命と無機物のあいだに絶対的な境界線を引かず、連続的に捉えていく「新しいアニミズム」という言い方で表現しています。 
 
それは「“生きた自然”の回復」とも呼びうるものな訳ですが、これは何も広井が言及しているような物理学などのアカデミズムが独占する領域ではなく、むしろドラえもんに親しみ、虫や花や月をごく身近に感じてきた日本の伝統文化が得意としてきた領域でもあるのではないでしょうか。 
 
今期のふたご座もまた、自分のごく身近なところから、そうした「“生きた自然”の回復」への流れを、改めて再発見していくことがテーマとなっていくでしょう。 
 
 
参考:広井良典『無と意識の人類史』(東洋経済新報社) 
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ