12星座全体の運勢

「先見の営み」 

暦の上では春となり、旧暦では一年の始まりとされた「立春」直前の2月1日には、新たなスタートを先がけるようにみずがめ座12度(数えで13度)で新月を迎えていきます。 

秩序と権威を司る土星と重なり、変革と逸脱を司る天王星と鋭い角度でぶつかりあう今回の新月のテーマは、「先見」。すなわち、近い将来へのプランニングです。 

動物は秋口になると、冬の厳しさに応じて毛皮が厚くなるものですが、そうした近い将来へ向けた準備と計画が可能なのは、未来の可能性がすでに現在において作動しているからに他なりません。それと同様、今回の新月においてもいかに時代の流れがどこへ向かって変化しつつあるのか、そして、今の自分は新しい流れと古い流れのどちらに属しているのかといったことをきちんと見極め、ごまかさずに認識していけるかどうかが問われていくはず。 

例えば、この時期の季語に「明告鳥(あけつげどり)」というものがあり、これは早朝に夜明けを知らせるように大きな声で鳴くニワトリの異名ですが、これは毎日必ず東から朝日が昇るという周期的プロセスを認識すること、誰よりも早く夜明けの兆しに気付くこと、それから気付いたことを周囲に分かるように伝える手段を持っていることという、三つの条件がそろって初めて成立している先見の営みの好例と言えます。 

今期の私たちもまた、夜明けの到来だけでなく、どんなにかすかでも未来へ通じる兆しをいち早く感じ取り、その見通しを知らせるニワトリとなって、希望を広げる一助となっていきたいところ。 
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乙女座(おとめ座)

今期のおとめ座のキーワードは、「創造的な眠り」。

乙女座のイラスト
オミクロン株の猛威を受け、1月21日より東京都を含む16の都県を大正にまん延防止等重点措置が実施されることになり、改めて社交的な活動が制限される状況となりましたが、もはや完全にコロナ以前の生活に戻すことができなくなった以上、できる限り社交に依存しない形で日々の生活を創造的なものにしていく方法論について、各自で確立していく必要性に迫られているように思います。 
 
特に、仕事の創造性をいかに落とさず、むしろ高められるかという命題は、リモートワークやオンラインでの打ち合わせがデフォルト化してきた昨今では、喫緊の課題と言っていいでしょう。 
 
例えば、現代アメリカを代表するベストセラー小説家であるスティーブン・キングは、誕生日も休日も休まず、毎日必ず二千語分小説を書くというノルマをみずから課していることで知られています。その秘訣について、キングは回想録『書くことについて』のなかで、小説を書くことを「創造的な眠り」にたとえ、それは訓練や習慣づけによって可能になるのだと述べています。 
 
寝室と同じように、執筆する部屋はプライベートな空間でなくてはならない。そこは夢を見にいく場所だ。そこに入る時間は毎日だいたい同じだが、出るのは自分の千の言葉が紙やディスクの上に記録されたとき。スケジュールは習慣をつけるため、夢を見る態勢を整えるためにある。毎晩同じ時刻にベッドに入ったり、毎晩決まったことをしたりして、寝る準備をするのと同じだ。執筆でも睡眠でも、我々には物理的にはじっとしていながら、昼間の平凡で合理的な考えから精神を解放させることを学んでいく。頭と体が毎晩、一定量――六、七時間かできれば八時間――の睡眠に慣れていくのと同様に、起きているときの頭も訓練によって創造的に眠り、空想による鮮やかな白昼夢を作りあげることができるようになる。その白昼夢がすなわち、よくできた小説なのだ。」 
 
つらくしんどいことの方が多い執筆作業(それは他のどんな仕事も同じだろう)を、きもちよく寝て夢を見るための準備というイメージにすり替えるという自己暗示それ自体が、おそらくキングなりの習慣づけだったのではないでしょうか。 
 
今期のおとめ座もまた、キングを参考にしつつ創造的に眠れるようになるための自分なりの習慣づけを行ってみるべし。 
 
 
参考:スティーブン・キング、田村義進訳『書くことについて』(小学館文庫) 
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<プロフィール>
慶應義塾大学哲学科卒。卒業後は某ベンチャーにて営業職を経て、現在西洋占星術師として活躍。英国占星術協会所属。古代哲学の研究を基礎とし、独自にカスタマイズした緻密かつ論理的なリーディングが持ち味。
文/SUGAR イラスト/チヤキ