東京いい街住みたい街~直美の三軒茶屋ライフ~
東京に住んで約10年。 私は引っ越し回数7回という一般的とは思えない回数の引っ越しをしてきました。 周りの友達も比較的引っ越し回数が多く、色々な街を知っているので引っ越しを考える方の為に記事を書いてみようと思います。 個人情報でもあるため、人物は仮名にして物語形式で東京の街をご紹介していきたいと思います。 まずは、直美(仮名)の三茶ライフから。 美容師として渋谷で働く直美は23歳。 彼女は東京で働き東京に一人暮らしをするのが憧れだったという。 「やっと夢がかなえられたんです。三軒茶屋に住んで自転車で渋谷のサロンに通う三茶ライフ。」 目を輝かせながら直美は語る。 元々関東出身の彼女は学生時代から週末は基本原宿で遊んでいたという。 サロンモデルやスナップなどで雑誌にも出たりして目立つことが大好きだった彼女。 美容業界の勝ち組は渋谷原宿のトップサロンで働き、おしゃれな自転車で街をさっそうと駆け回る。美容師の知り合いも多く、業界人のつながりもそれなりにあった直美はもちろん人気サロンに就職が決まった。 朝は誰よりも早く出勤し、夜は営業終了後に掃除と自主練習。 毎日が終電帰りだった。 最初はお金を貯めるために実家から通っていたという。 ただ体力にも限界が来て半年で一人暮らしを始めることを決意したとのことだ。 その時、以前高校時代の先輩が住む池尻大橋の高層マンションに行った時「この町に住みたい」と心が高鳴ったのを思い出したという。 こうして彼女の家さがしは始まった。
まず彼女をどん底に落としたのが、池尻大橋の家賃相場。 1Kでさえ10万を超える相場は彼女の給料にはとてもでないが手が届かなかった。 リッチなマンションが多い池尻大橋では美容師1年目には厳しいという現実を突き付けられた。 引っ越しなんてしたことが無かった彼女は家賃相場なんて知らずに地元のノリで家賃を考えていたという。 世間を知らないということは怖いことだ。 落胆した彼女はそこから毎日、賃貸サイトとにらめっこしたという。 一つだけ決めていたことは「東急田園都市線上の駅で自転車で通勤できる範囲」という条件だった。 「絶対自転車通勤したいし。あとなんか田園都市線、オシャレっぽいじゃないですか」 苦労しないで育ってきた世間知らずの女の子の安易な考えとは怖いものである。 大体相場もわかったはずの彼女だがそれでも条件は譲りきれていなかった。 1K バストイレ別 敷金礼金1/1以下 2階以上 オートロック付き 室内洗濯機 と、随分つらつら出てくるものだ。 それなのに家賃は7万が限界という。 むしろ7万も出して平気なのかと心配になるが彼女は副業もしていたため月当たり20万は使えるのだと言う。 でも7万でその条件の物件は確実にない。 不動産屋に言われたという。 「条件に優先順位を付けてください」 彼女は真っ先に「場所だけは譲れない」と言ったらしい。 「田園都市線上の駅で渋谷まで自転車圏内」 これが彼女の絶対条件である。
とある日、不動産屋が物件を2件出してきた。 それはなぜか 「完璧に条件がそろっている物件」と「2割しか条件を満たさない物件」だったという。 先に連れて行かれたのは「完璧に条件を満たす物件」 1K26平米 10階建ての6階 バストイレ別 築年数3年 駒沢大学駅徒歩5分 敷金礼金なし フリーレント付き 完璧な物件だ。もちろん中もものすごく綺麗だったという。 条件満たしても家賃払えない物件を見せて諦めさせようと言う魂胆だろう。 しかし不動産屋はこういったようだ「家賃は5万8千円です」 「・・・・・ただし事故物件です」 それは噂に聞く事故物件だった。 「お客様の条件すべて当てはめるとこういった物件しかありません。ただ、事故物件でも気にしない方もいるので一応見ていただきました。」 直美は悩んだという。 こんなきれいで条件も揃った物件が相場よりものすごく安く借りられる。 いままで見た物件との格の差を見せつけられたからだ。 悩みながら次の物件に行く。 「2割しか条件を満たさない物件」 1K28平米 築15年 三軒茶屋徒歩5分 敷金礼金1/ゼロ ユニットバス 3階建ての1階(バルコニー側は2階の造りになっている) オートロックなし(女性専用物件) 家賃6万5千円 今まで見た中では悪くなかった。 相場から言うとかなり安いのもわかっていた。 鉄筋コンクリートでガスキッチン洗濯もバルコニー側は1階ではないので安心。ゴミ置き場も24時間OK。駐輪場も無料利用OK。三軒茶屋駅徒歩5分と言う好立地。周りも住宅街で静か。 敏腕、不動産屋は見事に上手い選択肢を出してきたようだ。 直美は1日考えると言って不動産屋を後にした。 初めての引っ越しなので引っ越し慣れをしている先輩方に相談しまわったという。 周りは冷静だった。 事故物件なんて住むのはやめたほうがいい。もう一つの物件もかなり相場的には安いしみんな2割しか条件を満たさない物件を進めてきた。 それでもあきらめきれず、色々なサイトで事故物件に住んでいる人の記事を読んでみたが、震えるような内容ばかりだった。 実は引っ越しを決めてから2か月もたっていた。 もうこれ以上の物件は出てこないことはわかっていた直美は早速不動産屋に行き契約した。 胸高鳴った高層マンションの夜景は程遠い初めての引っ越しとなったが、現実を受け止めた瞬間である。
あれだけ悩んで決めた「条件を2割しか満たさない物件」だったが、彼女の生活は一変した。 まさに憧れの東京ライフが予算内でバッチリおさまったのだ。 築年数は結構たっているがリノベーションしてあるので床も壁もきれいだった。 洗濯ものも安心して干せる1階だった。 ユニットバスは懸念していたが毎日深夜帰りの彼女はシャワーで済ませるので問題なかった。 結果、休みもほとんどなくたまのやすみも外出が多い彼女には十分な物件だったのだ。 何よりも「三茶」という響きが素晴らしい。 家賃を言うと驚かれたそうだが、相場よりお得に住めているという実感を感じられ家に愛着が湧いたという。 美容関係者は三軒茶屋、下北あたりに住む人が多い。 その為、遅い時間からでも友達と遊ぶことができるという利点があった。 実家から通ってたころ疎遠になっていた友達とも時間が取れるようになり交友関係が一気に広がったという。 そして、スーパーも充実しており、SEIYUやfoodium、東急ストアと選び放題。 飲食店はコスパ良く味もいいお店が夜遅くまで空いている 昼間はオシャレなカフェも充実しているので三茶から出ることなく楽しめると言う 無印良品、ピカソ(ドンキホーテ)などもあり生活用品も困らない 電車は半蔵門線と直結しているので東側に行く際も楽々だという 「お給料が上がったらもう少し新しい物件に引っ越したいけど絶対に三茶から離れない」 と彼女は笑顔で語った。 彼女みたいに活発で時間を無駄にしたくない女性は三茶がおススメかもしれません。 プライベートも仕事も全力で、おしゃれに敏感、美味しいもの大好きならおススメだと彼女も語っていました。 地方でゆったりとはかけ離れていますが、夜遅くでも人通りがあり若者が多い街なので女性の一人暮らしも安心なようです。 AKKY