【宮世琉弥インタビュー】「昔は考えたことをまとめて話すのがすごく苦手だった」【『映画 マイホームヒーロー』出演】

人気コミック（原作:山川直輝、漫画:朝基まさし）をドラマ化した『マイホームヒーロー』の最終回から7年後を描く『映画 マイホームヒーロー』が、3月8日（金）公開！

2023年に放送されたドラマ版は、どこにでもいる普通の父親・哲雄(佐々木蔵之介)が娘に危害を加えようとした彼氏を殺めてしまう衝撃の幕開けから、殺した彼氏が所属する半グレ犯罪組織に狙われながらも家族を守るための命がけの騙し合いが繰り広げられ、大きな話題に。

今回は、原作に登場する小沢からイメージを膨らませて誕生させた映画版新キャラクター・大沢隼人を演じる宮世琉弥さんにインタビュー。映画の見どころや撮影エピソードから今後の抱負まで語ってくれました。

──ドラマ『マイホームヒーロー』は、展開が予想できないどんでん返しの連続の果てに衝撃的な結末を迎え、大きな話題になった作品です。宮世さん演じる大沢隼人は、映画版からの新キャラクター。出演が決まった時の感想を教えてください。

宮世さん（以下敬称略）：人気のノンストップファミリーサスペンスという作品の中で、途中参加かつアクションもあって、しかも原作とオリジナルを混ぜたキャラクターを演じるということで、すごくプレッシャーを感じましたが、同時に演じ切りたいという意欲もわきました。というのも、大沢くんは、哲雄の秘密を知り、行動を共にする作品の重要なキーマンで、原作に実在するキャラクターの要素を混ぜた、映画オリジナルのキャラクターだったからです。

大沢の行動理由はたったひとつ、復讐だけ。その目的を果たすためなら、手段を選ばないまっすぐな男なんです。彼なら、僕だけの大沢くんを吹き込めるんじゃないかと思いました。すでに監督やプロデューサーさんたちが大沢くんの枠を作ってくださっていたので、僕は「復讐相手を潰す」ことを大事にして演じました。観てくれた方が、「大沢くん、ヤバいね……」と思ってくれたら、すごくうれしいです！

──演じる中で、宮世さんらしさを出した部分はありますか？

宮世：人に近づく時、自分から心を開いているかのように、明るく振る舞う部分です。秘密を打ち明け合うと、人は仲よくなるものじゃないですか。でも、明るすぎても「なんだこの子は……」と思われちゃうので、その距離感はちょっと考えました。出会った当初に哲雄に警戒されるのも、そのせいじゃないかな、と。

あと、大沢くんはかわいい帽子を被ったり、白い服を着るんですが、それはスタッフさんの発案です。僕が撮影に合流した時、ペンギンのかぶりものが楽屋に置かれていて、普通の（ラブコメのような）作品でかぶっていたらなんてことないのに、サスペンス作品にかぶりものキャラが出てくると、違和感しかなかったです（笑）。ただ、バカなことをバカらしくやるより、バカなことを大真面目にやったほうが観ている方は面白いと思うので、ぱっと見、ふざけたかぶりものをしていても、気持ちはブレず、復讐のみの、まっすぐな大沢くんを真剣に演じました。

──宮世さんと大沢隼人に共通点はありますか？

宮世：家族思いなところですね。家族に起こったことをキッカケにして復讐を誓うほどなので。復讐はともかく、大沢くんの家族への強い思いは、誰よりもわかってあげたいなって。だから、空き時間はずっと、その感情を昂らせていました。大沢くんの心にある復讐の起爆スイッチのような感情をキープするため、ある登場人物の写真をスマホの画面に映しながら、台本を読み込んで、待機時間や空き時間も恨みごとを唱えながら、負の感情をチャージしたり（笑）。おかげで、スッと爆発させられました。泣くシーンで使っていたこの方法、今回は恨みで活用できました！

――鳥栖哲雄役を演じた佐々木蔵之介さんとのシーンが多いですが、何かアドバイスをもらいましたか？

宮世：大沢くんの部屋で、彼が哲雄に長いセリフをしゃべるシーンがあるんです。最初は何も持たずにいたら、途中で佐々木さんが「こんなに小道具があるんだから、何かをいじったり、作業をしてたほうがいいんじゃない？」と。たしかに大沢くんがとある武器を使うシーンがあったので、それを手にお芝居をしたら、後半のシーンがグッと引き立っていました。あのまま手ぶらで演技をしていたら、それが目立たないままになっていたなと。僕は目の前のことばかりに気を取られている、視野が狭いなあと反省しました。広い視野を持った佐々木さん尊敬すると同時に、吸収して今後に活かしたいです。

――今回、ゲーム仲間の高橋恭平さん（なにわ男子）も、間島恭一役で出演されています。宮世さんの出演が決まったとき、どんなお話をされたんですか。

宮世さん（以下敬称略）：別件で連絡をとった時に急に「映画に出るじゃん」と言われて、「そうなんだよね」と返しました（笑）。ただ、去年、恭平のドラマ出演が決まった時は、一瞬、アドバイスがほしいような流れもあったような気がします。でも、そのときはそのまま流しちゃいました（笑）。

多分、僕がサスペンスというか、アンダーグラウンドな世界を舞台にしているドラマ（『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』）の出演経験があるから、聞いてみようと思ったんだと思います。お互いにお仕事があって会う時間も取れなくて……というか、僕から連絡しても、返信すらあんまり返さないのに、なぜ僕にアドバイスを求めようとしたのか、その経緯が知りたいです（笑）。

———言葉の端々から、おふたりが気の置けない間柄だということが伝わってきます（笑）

宮世：いつも適当な話しかしてないのに（笑）。でも、だからこそ、気楽にいられるんだと思います。

———映画のタイトルにちなんだ質問です。あなたのヒーローは？

宮世：この質問、よく聞かれるんですよね。だから、全部変えようと思って（笑）。最初は「家族」次は「マネージャーさん」と言ったんで今回は……「ペット」で！　うちのパル（ワンコ）を見ていて感じるのですが、彼は僕を「癒してあげよう」とは思ってないんですよね。ただなでられたくて、僕に甘えてくる。 忠実で信頼できる、裏切ることが絶対になくって。こっちは、それがかわいくて仕方がないし、僕自身も素に戻してもらえるんです。疲れている時は特に。だから、パルは僕のヒーローです！

———映画は家族の絆もテーマになっていますが、宮世さん自身のご家族との印象的なエピソードは？

宮世：僕、今年の1月に、20歳になったので、家族と一緒に記念に食事をしたのがうれしかったですね。あと、１月に僕がライブをした時、東京まで駆けつけてくれた親戚みんなで集まって、焼肉屋に行けたことも楽しかったなぁ。

ライブの日の夜が定休日だったんですけど、知り合いの焼肉屋さんが特別に開けてくれたんです。そのご好意もうれしかったし、親戚一同で一緒にごはんを食べながら、いろんな話ができたこともよかったです。しみじみ、大人になったなあ、なんて（笑）。

その日は16人くらい集まったんですけど、親戚には子供たちが多くて、次から次へと「おにくー！」の声が（笑）。みんなおなかいっぱいになるまで食べました(笑)。

——今年20歳になったご自身の抱負を教えてください。

宮世：家の中にサウナを作ること。テントのような簡易的なものじゃなく、ちゃんと工事をして設置するサウナを作ってみたいですね。ありがたいことに、最近はお仕事をたくさん頂けているので、撮影や取材終わりに外出するのが大変で。大好きなサウナに行けないのもあって、お家にあれば好きなタイミングで整うことができるな、と。わりと最近本気で考えています。

——最後に、異動や転職、引っ越しなどイベントも多いモア世代にメッセージをお願いします。

宮世：新しいことを始める時って、本当に大変ですよね。次から次へと覚えなきゃいけないことが増えたり、環境になじめなかったり。でも、そのときに過ごした時間のおかげで、自分に足りないものが少しずつ見つかると思うんです。僕だとたとえば、今日のようなインタビューです。昔は考えたことをまとめて話すのがすごく苦手で、国語というか話術の勉強もたくさんしました。でもそれでもこの場に立てているから、少しは成長できているんだと思います。

僕のように、大変なことでも、笑って話せる日が、絶対にきます。人生の先輩たちいわく、「30代は、20代よりも楽しい！」そうです。笑える未来がくるまで、一緒に頑張りましょう、全力で！

「映画 マイホームヒーロー」
2024年3月8日（金）全国公開

【ストーリー】
愛する家族を守るため、半グレ組織と“命がけの騙し合い”を経て、平穏を取り戻した鳥栖家。だが、7年後、土砂崩れによって、父・哲雄が山の中に隠した遺体が発見される。警察官となった長女・零花は父親を疑い、半グレ組織のボス・志野は遺体と一緒に消えた10億円を追うのだが……。
【出演】
鳥栖哲雄：佐々木蔵之介
鳥栖零花：齋藤飛鳥
間島恭一：高橋恭平（なにわ男子）
大沢隼人：宮世琉弥
窪：音尾琢真
安元浩司：立川談春
志野寛治：津田健次郎
鳥栖歌仙：木村多江

【原作・漫画】：山川直輝、朝基まさし『マイホームヒーロー』（講談社『ヤングマガジン』連載中）

【監督】：青山貴洋

【脚本】：船橋勧

【音楽】：堤博明

【配給】：ワーナー・ブラザース映画

【主題歌】「インソムニア」Eve（TOY‘S FACTORY）
(c) 2024映画「マイホームヒーロー」製作委員会