20年後、どんな人生を送っていたい? 未来の選び方をダメな大人たちが教えてくれる映画『T2 トレインスポッティング』
1996年に公開された『トレインスポッティング』は、スコットランドのエディンバラに暮らす4人の若者の青春を描いた作品。ドラッグに溺れる登場人物たちの無軌道な日々を描いた衝撃的内容と、疾走感溢れるスタイリッシュな音楽や斬新な映像表現により、90年代ポップカルチャーの代名詞として社会現象を引き起こしました。観たことのない人でも、オレンジ色のロゴが印象的なビジュアルはなんとなく知っているのでは? この作品がなんと同じ監督、同じキャストで20年ぶりに復活! 若くエネルギッシュだった俳優たちがすっかりオジサンになってしまったビジュアルは時の流れの残酷さを感じますが、演じた役のようにドラッグに溺れたり業界から干されたりせず、それぞれが俳優として活躍し続けたことこそは奇跡です。 前作で仲間を裏切り、大金を持ち逃げした主人公のレントンを演じたユアン・マクレガーはこれが出世作となり、『スター・ウォーズ』シリーズのオビ・ワン役を演じたことで世界的スターに。最近では実写版の『美女と野獣』(4月21日公開)でろうそくの燭台に変えられたルミエールを演じ、美しい歌声を披露しています。シック・ボーイを演じたジョニー・リー・ミラーは、前作公開当時になんと、あのアンジェリーナ・ジョリーの夫だった人。現在はテレビを中心に活動していて、甘いビジュアルは健在です。凶暴なベグビーを演じたロバート・カーライルやジャンキーのスパッドを演じたユエン・ブレムナーも、強烈な個性を放つ演技派俳優として活躍中です。 映画は20年ぶりにレントンが故郷に戻るところからスタートするのですが、スパッドは未だにドラッグをやめられず妻子に愛想を尽かされ、シック・ボーイはパブを経営しながらも裏では売春やゆすりに手を染めている設定。さらにベグビーは刑務所に服役中という、あきれるほど大人になりきれないダメダメな人生を送っています。私たちはよく、まだ見ぬ未来に希望を抱きますが、今の自分と未来は地続き。劇中で「未来を選べ」、「人生を選べ」という台詞が象徴的に使われているように、自分で選んでつかみ取らなければ理想の未来にたどり着けないということを、痛いほど突きつける作品です。20年前と変わらない日々を送る登場人物たちの選んだ人生、そしてちょっとだけ垣間見える未来への希望とは……? 未見の人はこの機会に1996年の『トレインスポッティング』も見てみると、100倍楽しめるはずです! (文/松山梢) ●4/8〜全国ロードショー