12星座全体の運勢

「自分を変えるための学びを」

木々の若葉が青葉に変わり、夏の兆しが一気に濃くなっていく二十四節気の「小満」が5月20日。その直後にあたる5月23日に、私たちは双子座で新月を迎えていきます。今回の全体キーワードは「学力の形成」。これは何か本を読んだり出来事を向きあったときに、「それでいったい何が解ったことになるのですか」と自問するということであり、「解ることによって自分が変わる」ということを身に沁みて感じていくということでもあります。今回の新月前後は「自分を変えるための学び」をどこに見出し、そこに手間をかけていけるかを改めて意識していきたいところ。

射手座(いて座)

今週のいて座のキーワードは、「ご大切」。

射手座のイラスト
個人的な話をすると、以前久しぶりにあった友人との会話の中で、何気なしに「恋愛はしてるの?彼女とかさ」と話を振ったとき、「恋をしています」とだけ返され、以来その友人のことをどこか尊敬の念をもって見るようになったことがありました。

考えてみれば、日本人が「愛」という言葉を今のようなポジティブな意味合いで使うようになったのは、明治時代に「Love」の翻訳語として「愛する」という言葉を使い始めたことに端を発している訳ですが、キリスト教の考え方ではもともと自己中心的な人間には「愛」は不可能であり、それゆえに絶対的存在としての神を要請し、その神の命令や、神への祈りや懺悔を介して、わずかに可能になりえものとして追求されてきたのです。

つまり、絶対的存在としての神などという発想や、懺悔などの慣習をもたない日本人が、しんどい部分は見ないで口当たりのいい分だけをすくって「愛する」とか、そこから派生した「恋愛」などという言葉を使っても、それは多分に欺瞞や虚偽が含まれていて当然なのはないでしょうか。

『岩波古語辞典』によれば、キリスト教が日本に伝来してきたとき、キリシタンはキリストのLoveを「愛」と訳さず、「ご大切」と言ったとあります。

願わくば。いて座の人には、今とりわけ情熱を傾けるべき対象へ、どこか歯の浮くような言葉を投げたり、便利ではあるけれど心の奥底と直結していない行動をとるばかりでなく、自分に実感に深く根差した言葉や態度をきちんと選んで臨んでみてほしい。そんな風に思います。


出典:大野晋ほか『岩波古語辞典 補訂版』(岩波書店)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ