12星座全体の運勢

「大きな物語に取り込まれていく」

6月21日の夏至の日の夕方16~18時にかけて、蟹座1度で部分日食(新月)が起こり、晴れていれば日本全国で欠けていく太陽が観測できます。これは日食と新月、そして一年のうち最も日が長くなる夏至が重なる特別なタイミングであり、時代の移り変わりの上でもひとつの節目となっていきそうです。そのキーワードは、「大きな物語」。これは例えば「むかしむかし、あるところに……」といった語りで始まる昔話のように、歴史ないし共同体のもつ空間的・時間的射程の中に自らを位置づけ直していくことで、個人として好き勝手に振る舞う自由を失う代わりに、手で触れられる夢のような生々しい物語の中へと取りこまれていく。今季はそんな"クラい”感覚の極致をぜひ味わっていきたいところです。

獅子座(しし座)

今週のしし座のキーワードは、「背後」。

獅子座のイラスト
戦後日本を象徴する進歩的知識人であった丸山眞男が『日本の思想』で指摘した学問におけるタコツボ型の閉鎖主義や、欧米の流行思想を真似たり、ちょっと洒落たことを言えば「思想」や「金言」として通用してしまう状況は、1961年の発売から約50年が経った今でもそう変わりないどころか、悪化さえしているように思えます。

丸山は、たとえ社会の現代化や「ハイカラな外装」のかげに隠れることによっていかに影がうすくなったように見えたとしても、日本人の生活実感や意識の奥底には、「無常感や「もののあわれ」や固有信仰の幽冥観や儒教的倫理」などの日本の「伝統思想」が深く潜入しているのだと述べた上で、次のように述べています。

むしろ過去は自覚的に対象化されて現在のなかに「止揚」されないからこそ、それはいわば背後から現在のなかにすべりこむのである。

例えば自分の仕事の進め方を否定されたりすることがあった場合に、それを受け止めた上で一つ上の次元へと高めていくことは、必要であるとわかっていてもとても難しいことであると思います。そういう意味で、いまの日本社会や日本人の多くが「止揚」できていないのは、未だに丸山の言う通りでしょう。

丸山はさらに「思想が伝統として蓄積されないということと、「伝統」思想のズルズルべったりの無関連な潜入とは実は同じことの両面に過ぎない」と言い募っていくのですが、これなどは今季のしし座にとっても耳が痛いはず。

すなわち、これまであえて見ないようにして避けてきた批判や問題、そこに隠れている断片的な真実を重い腰をあげて受け止めにいくということ。それが今季のあなたに課されたテーマなのだと言えます。


出典:丸山眞男『日本の思想』(岩波新書)
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<プロフィール>
慶大哲学科卒。学生時代にユング心理学、新プラトン主義思想に出会い、2009年より占星術家として活動。現在はサビアンなど詩的占星術に関心がある。
文/SUGAR イラスト/チヤキ